矢野・朝木両「市議」の言論封殺体質を象徴する“一部勝訴”


9月9日午前5時現在、「東村山市民新聞」にはとくに更新がない模様です。洋品店襲撃事件についての説明・弁明もなし。昨日(8日)付で、サイバーエージェントとの裁判に関する囲み記事が修正されていましたが、まだ報告していなかったので、文末資料で修正状況を示しておきます。


他方、完全に「東村山市民新聞」分館として機能するようになったらしい瀬戸弘幸氏のブログでは、「【番外編】朝木事件ウオッチャー・ブログの正体(6)」という記事とともに、今回の判決がアップされました。自分たちに直ちに跳ね返ってくる問題だとは気づいていないのか、「おはら汁の人格攻撃に司法の判断下る」などと、ずいぶん嬉しそうです。瀬戸氏の記事を直接見たくない方は、Mauiiの日記の抜粋とつっこみを参照。そもそも、虚実ないまぜ(ほとんどは虚)の人格攻撃は矢野・朝木両「市議」のお家芸ですし、松沢さんが最新記事で書いているように、「罵倒語を使用することよりも、虚偽を書くことの方が恥ずかしく、非難されるべきこと」なのですが。


また、瀬戸氏はなぜか、「このブログ〔=C.I.L〕と提携関係にあるのが下記のブログです」として当ブログのURL(ブログ名はなし)を掲載し、ついでに佐藤市議と薄井市議の名前も挙げて「お仲間なのでしょうね」とやっています。言葉遣いまで矢野・朝木両「市議」に似てきたようですが、低レベルな印象操作はかえってみっともないですよ。そんなことより、今回の判決も踏まえて、ご自分の“お仲間”のブログやらをチェックした方がいいんじゃないでしょうかね。


あと、松沢呉一さんも仲間はずれにしないよう、お願いしてるじゃないですか。私も「いいなあ」とうらやましがられて申しわけないんで、お相手して差し上げてください。「お部屋1643/自称『ジャーナリスト』に問う」という記事でも、現職警察官を名乗る「内部告発者」が本当に警察官がどうか確認したのか、どのように確認したのかと質問なさってますので、答えてあげてくださいね。


さて、今回の判決は、荒井さんが運営している「おはら汁」(現C.I.L)に掲載された6月26日付7月1日付の記事について、その一部表現が名誉毀損であると認定した上で、ブログサービスを提供しているサイバーエージェントに対し、次のことを命じたものです。

  • 発信者情報の開示(住所・氏名・メールアドレス)
  • 矢野・朝木両「市議」に対する損害賠償の支払い(請求額各250万円、認容額各50万円)
  • 送信防止措置の実施(当該記事の削除)


C.I.L「矢野穂積とサイバーエージェントの間で争われていた裁判の判決文」でもさっそく触れられていますが、この裁判は矢野・朝木両「市議」の言論封殺体質を浮き彫りにしてくれるものでもありますので、その経緯をあらためて振り返っておきましょう。


まずは最も重大な問題点から指摘しておきます。棄却されましたが(したがってすでに「完全勝訴」ではないのですが)、矢野・朝木両「市議」はサイバーエージェントに対し、次のような謝罪広告を掲載するよう要求していました(太字は引用者=3羽の雀)。

 当社は、当社が提供したインターネットのブログ上に荒井禎雄が東村山市議会議員矢野穂積氏及び東村山市議会議員朝木直子氏に対して、極めて不適切な文言を使用して名誉を著しく傷つける記事を掲載したことについて、矢野氏及び朝木氏よりご指摘をうけたにもかかわらず、これを放置し、両氏の社会的評価を著しく低下させるという多大なご迷惑をおかけいたしました。
 しかし、前記記事は全て根拠がなく誤りであって、ただちに削除するとともに、前記荒井のブログは閉鎖、削除し、今後このような名誉毀損行為〔を〕行わないようお約束するとともに、矢野穂積氏及び朝木直子氏に対して心より深くお詫び申し上げます。


おわかりいただけたでしょうか。矢野・朝木両「市議」は、「バカ」「キチガイ」「狂人」といった罵倒語が用いられている記事を削除するよう求めるのみならず、荒井さんのブログそのものを閉鎖・削除するよう、間接的にではあるかもしれませんが要求していたのです(なお、上記2つの記事についてもその真実性・公益性は認定されている)。これが言論封殺体質の表れでなくて何でしょうか。もちろん判決では、カッコ書きで、サイバーエージェントには「おはら汁のブログ全部を送信停止措置を行う理由はなく、そのような義務は負っていない」と一蹴されています。
【追記】(9月10日)「間接的にではあるかもしれませんが」と書きましたが、よく読むと請求内容の3番目に〈被告は、被告の提供するブログ「Ameba」(アメーバブログ)を使用して開設したブログ「おはら汁」〔URL略〕につき送信を防止する措置を行え〉という項目がありますから、ぜんぜん間接的ではありませんでした。失礼しました。


瀬戸氏は、自分のブログのコメント欄に大量に寄せられる批判的コメントにくらくらしているらしく、「敵はこのブログを閉鎖に追い込もうとして必死なのでしょう」などと書いていますが、実は、司法権力に頼って荒井さんのブログを閉鎖に追い込もうとしていたのは“お仲間”の矢野・朝木両「市議」であったというわけです。まあ、こんな言い分が通るわけはありませんし、ブログなんて別のところですぐに開設できますので、無駄と言えば無駄なんですけれども。


矢野・朝木両「市議」の言論封殺体質をあらわにするもうひとつの例として、辞職勧告請願裁判があります。矢野・朝木両「市議」の言動が市政に関する開かれた議論を妨げているなどとして提出された請願ですが(請願書参照)、両「市議」は、対抗言論の機会をいっさい放棄し、いきなり請願者代表と紹介議員を訴えてきました。サイトで自分たちの言動の正当性を説明しようともせず、市議会における弁明も拒否し、提訴したから請願書の朗読は名誉毀損になるなどとして市議会における審議まで封殺しようとしたのです。この点についてはまた改めて触れる機会もあるでしょうから、詳しくは辞職勧告請願・裁判のサイトをご覧ください。


以上を踏まえた上で、今回の矢野・朝木両「市議」対サイバーエージェント裁判の経緯を振り返ってみましょう。


(1)2007年4月の市議会選挙で初当選した薄井政美市議に対し、矢野・朝木両「市議」が「違法セクハラ・風俗マニア」「超セクハラ市議」などと誹謗中傷して辞職に追い込もうとしていること(薄井市議が両「市議」を名誉毀損で訴えた裁判の訴状も参照)、薄井市議を擁護する市民にまで「セクハラ支持ネットオタク」などとレッテル貼りをしていることが、2007年6月下旬に明らかになる(「職業差別を許しません!」トップページの抗議文等も参照)。
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(2)荒井さん、その事実を知って義憤に駆られ、〈【アイツは元風俗ライターだから辞職させろ!】東村山市議の朝木直子&矢野ほづみが火病って大暴れ〉(2007年6月26日付)という記事で、売り言葉に買い言葉とばかりに、矢野・朝木両「市議」を批判・罵倒する。〈実際に東村山市をあちこち取材してみて分かった。【東村山=雛見沢(ひぐらしのなく頃に)】である。〉(同7月1日付)でも、「狂人」等の言葉を用いて両「市議」を批判(文末追記参照)。なお、7月1日付の記事では「市政など省みない己のためだけの脅迫・恫喝なんでもござれ的な『まるで威圧団体のような活動』」といった表現も用いられているが、これは今回の裁判では問題にされていない模様(少なくとも判決では削除対象とされていない)。
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(3)矢野・朝木両「市議」、主として6月26日付の記事について抗議の意思を表明するとともに、目的を明示することなく、住所を明らかにするよう重ねて要求(東村山市民新聞〈こういう極端な方も薄井さんの「お仲間」ですか? 破綻した「おはら汁」〉参照)。荒井さんは根拠が不明などとして拒否(おはら汁「東村山市議会 朝木直子&矢野穂積市議に『1週間以内に住所を教えろ』と脅迫されました。」〔6月27日付〕など参照)。
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(4)矢野・朝木両「市議」、2007年7月1日付で1週間以内の「謝罪及び削除」を要求。荒井さんは無視し、その後、動きはなくなる。
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(5)2007年11月初頭、矢野・朝木両「市議」がサイバーエージェントを相手どって裁判を起こしていることが、おはら汁のコメント欄への書き込みにより明らかになる。一時話題になったが、同様にアメブロを用いていた他のブログが速攻で閉鎖され、荒井さんのもとにも何も連絡がなかったことから、「矢野穂積が発信者情報の開示を求めたのはウチじゃなかったみたい…。」(11月2日付)という結論で収束。その後も、「東村山市民新聞」のサイトでは、本件裁判に関する情報はいっさい明らかにされなかった。
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(6)2008年9月6日、矢野・朝木両「市議」がサイトで突然の「完全勝訴」宣言(9月7日付)。


というわけで、矢野・朝木両「市議」はこれまで秘密裡に裁判を進めてきたわけです。おそらく、敗訴したら裁判そのものをなかったことにするつもりだったのでしょう。メールアドレスはとっくに荒井さんのサイトで公開されているわけで、裁判をするつもりならその旨通告すればよかったものを、そうなればおはら汁C.I.Lで大々的に取り上げられるでしょうから、それを回避するためにはまずはサイバーエージェントを相手に様子を見る方が好都合だった、と。


数々の敗訴歴をサイトでいっさい報告せず、薄井市議佐藤市議から訴えられていることにもサイトでは触れようとしない矢野・朝木両「市議」ですから、こう推測されてもしかたがありません。サイバーエージェント相手の裁判でとりあえず勝訴したとたんに、“当方の提訴を受けて立て”といきがられてもねえ。「IPアドレス」まで開示要求しているのも、意味がわかりません。


ところが、瀬戸氏は今回の勝訴に乗っかって、恫喝のつもりなのか、「これでこのおはら汁の発信者の住所・氏名が明かされれば、今度は本人に対する名誉毀損刑事告訴が待っています」などと、矢野・朝木両「市議」でさえほのめかしてもいないことを言ってしまうと。いろんな意味で、この人は本当に「ジャーナリスト」なんでしょうか。


第1に、刑事告訴は「被疑者不詳」でも行なうことができ、相手の住所・氏名を把握している必要はありません。犯罪を疑うに足る十分な根拠があれば、被疑者を捜索・検挙するのは警察の役割です。もっとも今回の場合、虚偽事実の摘示ではなく単なる罵倒で、しかも一審とはいえ民事で一定の結論が出た事件ですので、いまさら刑事告訴したところで警察が受理するとは思えず、仮に受理したとしても不起訴に終わるでしょう。


第2に、こちらの方が重要なのですが、言論に対しては言論で対抗するのが原則で、民事裁判に訴える場合にもまずは言論による解決の道を模索するべきです。まして、公職者が名誉毀損刑事告訴するなどというのは、最後の最後の手段でなければなりません。ましてや、仮にも「ジャーナリスト」を自称する者が、公職者による刑事告訴を煽るようなことを口にするのはもってのほかでしょう。


仮に矢野・朝木両「市議」が荒井さんを刑事告訴すれば、彼らが選挙のときに肩書きとして利用するためだけに加入している自由人権協会も、はたして黙っているかどうか。同協会は、2005年1月に「都知事の発言をめぐるTBS報道に関し不起訴を求める声明」(PDFファイル)を発表し、「健全に民主主義社会を維持するためには、表現の自由はきわめて重要であり、とりわけ、政治家に対する批判的言論は最大限に保障される必要がある」などとして、表現の自由の行使を刑事罰によって処断することに原則として反対しています。


このような観点から、私は、『週刊現代』1995年9月23日号に掲載された「東村山女性市議『変死』の謎に迫る 夫と娘が激白!『明代は創価学会に殺された』」という記事に関し、創価学会が『週刊現代』と朝木大統・直子親子を刑事告訴したことについてはきわめて批判的です(1998年7月に不起訴決定、ただし民事では『週刊現代』と朝木親子側が敗訴)。瀬戸氏はアンチ創価という割に、やっぱり“創価体質”が染み込んでいるんでしょうか。


瀬戸氏の高揚は留まるところを知らず、ついには「おはら汁は小物と見ています。その背後には必ず大物がいるはずです。その正体も白日の下に晒さねばなりません。その戦いの一歩がようやく始まったところです」などと言い出します。いいですね、巨大な仮想敵を妄想して英雄気分に浸れる人は(松沢さんが引用しているジャーナリスト・橋本玉泉さんのメールも参照)。文学の主人公にもそういう人がいましたっけ。そうそう、自らを伝説の騎士と思い込み、風車を竜だか巨人だかと間違えて突進していったドン・キホーテという人でしたね。本編の方もそろそろネタ切れのようで、闘いの矛先をそらすことができてちょうどよかったですね。


と、このような記事を書いている間に、瀬戸氏は荒井さんから最後通牒を突きつけられたようです。9月11日いっぱいが最終期限だそうなので、どのような対応をなさるのか、注目しておきましょう。


【追記】(10月21日)
けっきょくサイバーエージェントは控訴せず、判決は確定しました。これにともない、該当する記事も削除されています。C.I.L〈CAが矢野相手の判決をアレで確定させてしまったらしい。(笑いアリ)〉および〈例の送信防止処置についてご報告〉参照。ただし、〈【アイツは元風俗ライターだから辞職させろ!】東村山市議の朝木直子&矢野ほづみが火病って大暴れ〉(2007年6月26日付)に関しては、東村山市民新聞〈こういう極端な方も薄井さんの「お仲間」ですか? 破綻した「おはら汁」〉で読むことが可能です(10月21日現在)。


【資料】「完全勝訴」報告囲み記事の修正状況(9月8日付)
※引用者=3羽の雀=注/【 】が追加された部分、傍線は削除された部分。冒頭になぜか白抜きで「ア」という文字があるが、事実上見えないのでここでは空白とした。太字は原文ママ

「荒井禎雄ブログ」による名誉毀損に勝訴判決の報告
 読者のみなさん、矢野・朝木議員をいいたい放題、名誉毀損をかきなぐっていた荒井禎雄なる人物はずいぶんと強がっていましたね。【しかし、サイバーエージェントは敗訴しました。】
【 ところが、ごらんください、】下は、07年11月2日の荒井禎雄なる人物のブログの掲載内容です。
「矢野が相手だったら絶対に負けない自信があるので(わらい)、いきなり矢野の家にオレの住所とか電話番号を書いたお手紙でも送りつけて、この裁判自体を無意味な物にして遊ぶという手段もあるんだがw」(http://ameblo.jp/oharan/entry-10053589856.html
 【しかし、強がりは表向き、舞台裏の真相は大きく違っていたのです。、】ところが、実はその前日までにアメブロが荒井禎雄なる人物に対して発信者情報開示する件で照会をしていたのです。これに対して、荒井禎雄なる人物は「記事の削除及び発信者情報開示措置を強く拒絶」していたにもかかわらず、同人はブログでは、「矢野の家にオレの住所とか電話番号を書いたお手紙でも送りつけて」などと、ずいぶん強がっています。
 名誉毀損を垂れ流し、アンチなどといいながら、やってることは創価を必死に擁護、このような口先だけの一部ネット族がいるから、ネット利用者全体の信用を落とします【が落ちることになります】。【私どもは、】今後も、荒井禎雄なる人物に対して徹底的にその責任を追及していきます、自分の言葉通り、すぐに【、】アメブロから言われる前に、【警視庁の住所・電話番号が自分の住所・電話番号だなどと逃げ隠れしないで、正々堂々と、】住所、氏名、IPアドレス等発信者情報を開示する【し、当方の提訴を受けてたつことです。【でなければ、ブログで何を言っても、全く信用はありません。】
(07年11月1日付けアメブロ答弁書6頁12行め)
「荒井に対する意見聴取
被告は、原告らからの発信者情報開示請求を受け(乙3)、カスタマーサポート部において、そ.の〔ママ〕形式的要件を確認するとともに、プロバイダ責任制限法4条3項及びガイドラインに基づき、荒井に対し、電話で意見聴取を行ったとこる〔ママ〕、記事の削除及び発信者情報開示措置を強く拒絶された。」