やっぱり根拠がなかった「ガイドライン」=「違法な参入障壁」論と、りんごっこ保育園分園計画


松沢呉一さんが久しぶりにゼリの根問題に本格復帰する気になってくださったようで、何よりです。


日本の歩くシーシェパードによる昨日のシナ人掃討街宣については、いまのところ有門大輔が報告しているぐらいでしょうか。
「盗める物を盗んで何が悪い、金品を盗まれるような所に置いておくほうが悪い−とする支那の文化をも受け入れるつもりなのか!?」
と有門は息巻いていますが、
法を破る・・・商店は破壊・たたき壊されたところで文句の言える筋合いではないのだ
というこの連中の法治主義否定文化も、ちょっと受け入れるわけにはいきませんね。ちなみに、
かつて外国人マフィアが跋扈した新宿・歌舞伎町は暴力団のチカラによってようやく秩序を取り戻したんです!
という桜井誠在特会会長の認識は、果たしてどんなもんなんでしょうか。


さて、東村山市民新聞は昨日も「最終更新日」をいじっただけでした(1月11日付、2010/01/10 17:54:36)。瀬戸サンが飛びついたこの問題で捨て台詞的更新ぐらいはやるかなと思ってましたが、請願潰し裁判やらりんごっこ保育園の分園計画やらで、いろいろお忙しいんですかね。


りんごっこ保育園の分園計画については、大塚市議が次のように書いていました。

ひとつ、未だ不確定とはいえ、認可保育園の分園設置が進行しています。児童育成推進部会の傍聴で概容がわかりましたが、りんごっこ保育園が分園の開設を進めているそうで、新たな認可が必要な訳ではなく、都への内容変更届だけで20日で開設が可能とのことです。嘱託医や調理員配置が必須ではなく、本園との一体化が可能であれば多少離れた地域でも開設できてしまいます。市として精査の余地もないとは、やはり不安要素が残ります。数字の上での待機児対策優先では、一日の大半を保育園で過ごす子どもの生活の質の確保が不在では本末転倒、子どもの発達保障をこんなに大事にしない国はありません。既に先進諸国での面積基準調査ではわが国は最低水準にあるというのに、国や都の面積基準緩和の方向性は何をかいわんや・・・
(大塚市議ブログ〈活動開始です〉)


分園の設置手続き等については、2009年12月6日付〈保育園の分園設置に関する資料〉参照。大塚市議と同様の懸念を抱く人は少なくないと思いますが(市議会厚生委員会で委員長を務める福田和子市議の〈待機児対策で分園(認可保育園の)推進?〉も参照)、りんごっこ保育園の経営主体・NPO法人「林檎の木」で理事・監事を務める矢野穂積朝木直子両「市議」は、勝ち誇ったようにこう書いていましたね(2009年12月9日付更新)。


東村山市議会12月定例会 速報
 佐藤、まだ、例の保育園認可の事前協議用「ガイドライン」にしがみつこうとするも、裁判所の見解をふまえた市側の「ガイドラインには法的拘束力はない。」との答弁で一巻の終わり!しかも、市長も「ガイドラインによる協議が不調でも、書類が整っていれば意見書は書きます」と答弁、でケリ。
〔後略〕
/後半の死亡事故問題については、12月9日付〈他園での死亡事故は、矢野穂積・朝木直子両「市議」(りんごっこ保育園理事・監事)にとって佐藤市議の攻撃材料に過ぎないのか?〉、12月11日付〈「規制緩和」と「保育の質」を考えるいくつかの資料〉、12月12日付〈「草の根」と同様に保育園死亡事故への痛みが感じられない厚労省の対応〉を参照。


あたかも、佐藤市議の質問に対してガイドラインには法的拘束力はない。」「ガイドラインによる協議が不調でも、書類が整っていれば意見書は書きます」という答弁が行なわれたかのような書き方になっていますが、これはどう見ても矢野「市議」の質問に対する答弁ですね。

2.「ガイドライン」は保育事業者の参入規制となっている実態と待機児対策
(1)ガイドラインは保育事業者に対して法的拘束力をもつか。
(2)ガイドラインにある協議が不調の場合、市長は当該保育事業者について「意見書」を都に提出しないという態度をとる考えか。
(「東村山市民新聞」の迷宮〈矢野穂積・朝木直子両「市議」の一般質問(平成21年)〉の21年12月定例会参照)


私が高野博子・りんごっこ保育園園長から記事削除要求・発信者情報開示請求を食らうきっかけとなった「東村山市民新聞」の記事でもそうでしたが(私が2009年7月27日付で「はてな」運営に送信した見解の4を参照)、どうして、自分が質問したことによってりんごっこ保育園に関連する答弁を引き出した事実を隠そうとするのでしょうか。〈お騒がせ「市議」の09.3月市議会〉というページでも、なぜかりんごっこ保育園に関するやりとりは省略してましたよね。いまさら隠してもしょうがないんですから、紛らわしい書き方はしないでいただきたいものです。


ちなみに、佐藤市議がガイドライン(東村山市私立保育園設置指導指針)について取り上げた際のやりとりは、次のようなものでした(要旨)。児童福祉施設最低基準に関するやりとりとあわせ、佐藤市議のブログから抜粋します。

1.以下の事がらについての東村山市の認識、見解を明らかにしていただきたい。
1)
国の最低基準の廃止と地方(自治体)への権限委譲。児童福祉施設最低基準の「最低」の意味。現在の最低基準は子どもたちが日々育つ環境として十分なものか、改善を目指すべきものか。自治体に認可・指導権限を委譲しようとする現在の流れをどう受け止め、評価しているか。
子ども家庭部長)
児童福祉施設最低基準第4条には、「児童福祉施設は最低基準を超えて常に設備・運営を向上させなければならない」「最低基準を超えて運営している施設は、それを理由に設備・運営を低下させてはならない」とあり、そのように認識している。
当市では、設置者に対して最低基準の遵守のほか、当市独自で「私立保育園設置指針」を策定し、今まで培われてきた東村山市の保育水準を維持・向上を図るための指導等を事前協議で行っている。
権限委譲については、現段階では新聞報道程度しか把握ができていないので、把握でき次第、議会や児童育成計画推進部会で協議いただくことになると思う。
〔中略〕
6)東村山市私立保育所設置指針」とはどのような経過の中で生まれ、市としてどのような意味を持つものなのか。『「待機児童対策における認可保育所設置」について』が最も重視・強調していることは何か。
子ども家庭部長)
市と保育事業者が認可保育所設置に関する事前協議を行うにあたり、保育行政を見守り続けていただいている児童育成計画推進部会にて、今まで培われてきた当市の保育水準の維持・向上を図るために設置したもの。
「指針」は、東村山市の保育に対する考えの基礎であると保育事業者には指導を行い、行政、保育事業者、市民が一体となった保育所設置等を図っていくためのものであると考えている。
待機児対策における認可保育所設置については、今まで培われてきた東村山市の保育水準の維持・向上を図る協力を保育事業者から得るための事前協議の重要性を強調している。
7)児童育成部会、指針を「参入障壁」として敵視し、当市で保育所整備が進まない理由だと主張する認可保育所が現に存在するが、その認識は正しいか。
子ども家庭部長)
一部の保育事業者の中には理解をいただけない場合もあるが、当市としては、行政、事業者、市民が一体となった保育所設置を図るため「指針」を策定しているので、事業者に対しては当市の保育水準の維持・向上を図ることの必要性を認識し、協力を得られるべく粘り強く指導・助言を行っていきたい。


佐藤市議の質問について取り上げるなら、この7)の点に正面から触れ、“りんごっこ保育園は、ガイドライン(東村山市私立保育園設置指導指針)に基づいて市と協力するつもりなどない!”とはっきり宣言すればよろしいんじゃないですかね。


佐藤市議は、再質問でりんごっこ保育園の分園計画についても正面から取り上げています。

Q.◆分園計画と最低基準について
11月26日夜、「臨時」の部会が開かれた。市内に初の認可保育園「分園」開設の動きがあることが報告され、部会の意見を聞きたい、とのことだった。
各委員から出された意見は、「待機児童解消は重要」だが、「よりよい保育環境を整える責任も重大」というものであり、分園についての東村山市としてのルール、システムを協議し、子どもにとってもよりよい中味での開園を目指すべき、というものであった。
一方で市の担当の発言からは、法に触れさえしなければ、とにかく待機児童「数」を減らしたい、という空気ばかりが伝わってきた。10年後の東村山市を描く次期「総合計画」(23年度から)の案(11/30付)の中でも、数の解消のために「質」は後回しにせざるを得ないというスタンスが読み取れる。
渡部市長が掲げる「子育てするなら東村山」「良質な保育サービスの提供」「地域ぐるみの子育て」を本気で実現する気があるのならば、児童育成計画推進部会での議論を最優先させ、市内保育・子育て関係者等を巻き込んだオープンな取り組みが不可欠のはず。
緩和に緩和が重ねられ、認可外施設よりも安易に分園が設置できることになってしまっている現状も含め、市としての見識が問われていると受け止めるべきである。
待機児童解消は子育て支援の片面に過ぎない。
保育の質の維持向上と、車の両輪の関係です。とにかく数さえ片付けてくれればありがたい、という姿勢は厳に戒めるべきだ。子どもが育ち、親が育つ、幸せになる環境を整えていくために、保育の質を向上させてこそ、子育て世代が他のまちから移り住んでこられることにつながるのではないか。
〔中略〕
このまちなりのきちんとした見識を、「子どもの最善の利益」という視点に立ってつくっていただきたい。
市長の考え方を伺う。
市長)
指摘の通り、単に数だけ解消されればいいと考えいるわけでは決してない。現状の東村山市の水準は、長年、市行政だけでなく数多くの保育関係者や保護者の皆さんとともに築き上げてきた水準であり、なし崩し的に下げるということでなく、今の厳しい状況の中で、数の拡大を図りながら、質的な面をどう維持していくのか、ということが大きな課題であろうと思っている。
なかなか面積的な要件をさらにアップしていくということには厳しさもあるが、確かに、発達程度とか最低基準が定められたころと状況が違っているので、今回、国が分権という形で出してきている考え方が、本当の意味で子どもたちにとって良い方向になるように基礎自治体としても考えていく必要があると思うし、国にはやはり、子ども手当というような直接的な給付も必要だとは思うが、これだけ全国的に待機児が出ている中でなおかつ質の面が問われていることを考えると、そのへんにももう少し力点を置いた政策の構築をぜひお願いしたいと思っている。これは市長会等を通じて国の方に働きかけていきたい。


さて、矢野「市議」らが主張する参入障壁の件については、時事通信が1月2日に待機児解消は期待薄? =保育所面積の地方委任−7割が国上回る基準・23区、政令市という記事を配信していました。時事通信のウェブに載っているものより佐藤市議が引用しているものの方が詳しいので、そちらを紹介しましょう。

保育所の待機児童が多い東京23区と政令指定都市18市で、認可保育所の保育室面積について、国より厳しい最低基準を設けている自治体が11月1日時点で全体の約7割に当たる28市区に上ることが、時事通信社のアンケート調査で分かった。
(中略)
このうち、0〜1歳児の保育室について国より広い面積を最低基準としているのは東京23区中21区、政令市は18市中7市に上った。0歳児については、かつて国や東京都が補助の基準としていた5.0平方メートルを準用している自治体が多く、国以上の基準を設定している理由については、「保育の質の確保」(世田谷区)、「引き下げは保育環境の悪化につながる」(大阪市)などが挙がった。
基準の見直しについては、東京で16区、政令市でも11市が「予定なし」。「現在も定員を超えて受け入れており、見直しによる効果が見込めない」(川崎市)、「(国と同様の現行基準が)保育の質を維持するための最低基準と考えているため」(京都市)との意見が目立った。


ほう、矢野「市議」らが言うところの「参入障壁」を設けている自治体が7割以上に上るんですか。もちろん、「もし『国の最低基準を満たしているのに何の問題があるのか?開設させないのなら訴訟も辞さない』というような事業者が現れれば、自治体側に勝ち目はないのかもしれません」佐藤市議)という話になるのかもしれませんが、ガイドラインそのものが「違法な参入障壁」であるという矢野「市議」らの主張は、ますます根拠のないものになったと言えそうです。