気に食わない表現の取締りを求める瀬戸弘幸サンが「言論・表現の自由を守るシンポジウム」を主催するという茶番


昨日(14日)は東村山市民新聞の更新はありませんでした(追記:今日は「最終更新日」を1月16日付に修正しただけでした〔2011/01/15 17:41:40〕)。


さて、今日は午後から瀬戸弘幸サン主催のシンポジウムが秋葉原で開かれます。



「[http://www2.atwiki.jp/kusanonemaze/pages/111.html:title=襲撃する運動]」関連の街宣等には「せと弘幸blog『日本よ何処へ』」として名前を連ねることが多い瀬戸サンですが、今回は「国会記者クラブ所属・日刊中央通信社 主幹 瀬戸弘幸」として主催するようです。[http://www.pot.co.jp/matsukuro/20090818_173550493908622.html:title=日刊中央通信社については以前松沢呉一さんが触れていましたが]、東村山市民新聞社と同様に会社としての実態はなく、思い出したように[http://blog.livedoor.jp/central_press/:title=ブログ]を更新したり怪文書然としたビラを発行したりする任意団体以上のものではありません。[http://blog.livedoor.jp/central_press/archives/51791741.html:title=2010年3月1日付で発行されたビラ]には「社主 瀬戸弘幸」と書かれており、肩書きもその時々で変わるようです。


シンポジウムを前に、瀬戸サンはブログで〈表現の自由と出版社の倫理観〉と題したシリーズ記事をアップしました。


他に、〈オヤジがコミック規制なんかするから…:この警官もとんだトバッチリですね。〉(1月7日付)という、酔っ払いがくだを巻いているとしか思えないエントリーもあります。これらのエントリーの内容については詳しく触れませんが、瀬戸サンが都青少年健全育成条例に関するシンポジウムを主催するだけの知識も見識もない人物であることは、一読すればおわかりいただけるでしょう。


それ以前に、瀬戸サンは自分が気に入らない表現の弾圧を切望してきた人物でもあります。何しろ、「『高校無償化』からの朝鮮学校排除に反対する連絡会」が菅総理に要請書を提出したという記事を見て、
ここまで言うなら、もう強制送還しかないでしょう
と憤激し、朝鮮学校も無償化の対象に含めるよう要求する人々の表現の自由や政治活動の自由を全面否定するのですから。しかもそのエントリーをアップしたのはシンポジウム当日の朝なのですから、開いた口がふさがりません*1



ブーメランの超絶妙手として有名な瀬戸サンですが、前掲「毒物」ということで思考停止に陥ってはいないか?はそれを象徴するエントリーのひとつと言えます。何しろ瀬戸サンは、毒物の上映阻止は民族の安全保障であるなどと主張して映画『ザ・コーヴ』の上映粉砕行動を展開した主権回復を目指す会に賛同して
『ザ・コーヴ』上映禁止を求める運動はナショナリズム運動です
テロリストが創った映画に表現の自由が認められないということは、これは常識
などと調子を合わせ、実際の行動にも少なくとも2回は参加しているのです。


この点、主権回復を目指す会の掲示板に投稿された以下の見解は、その是非はともかくとして、いちおう首尾一貫していると言えるでしょう。

所謂「漫画条例」 毒物販売の規制と表現の自由を混同してはなら・..  投稿者:主権回復を目指す会事務局 投稿日:2011/01/11(Tue) 17:43
【投稿】
<所謂「漫画条例」は現実を把握したうえでで判断を>
NPO外国人犯罪追放運動 小野寺秀一
私は、単純所持等を規制する児童ポルノ法改悪には反対の立場ですが、今回の都条例改正には反対ではありません。
所謂漫画条例は、表現の自由規制云々ではなく、あくまで「表現の自由を盾にした毒物」を区分するものと私は認識しております。
ザコーブ・慰安婦強制連行・天皇有罪論といった毒物に表現の自由を認めてはならないように、我々の立場とすれば「表現・言論の自由」が適用されるためには、それ自体が「表現・言論」として認知できるものでなければ為らないという前提条件があると考えます。毒物は言論ではない。
一般図書・表現を装った毒物から子供を守るのは大人の責任ではないでしょうか。
〔後略〕


なお、主権回復を目指す会の行き過ぎた抗議行動(関係者の自宅襲撃を含む)に対しては複数の仮処分申立てや本訴提起が行なわれており、主権回復を目指す会と西村修平代表に対して計110万円の損害賠償が命じられています。ちなみに、『ザ・コーヴ』上映粉砕行動については公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」平成23年版でも取り上げられていました(2010年12月30日付〈2010年回顧(1)法治主義の発動によってようやく追い詰められてきた「襲撃する運動」勢力〉参照)。


それだけではありません。瀬戸サンは、「慰安婦」問題について訴える目的で関西で行なわれてきた「水曜デモ」についても、
日本人を激しく貶すような街頭行動などは言論の自由でも何でもありません
などとして、通行の妨げになるか否かという外形的基準ではなく、その内容に基づいて警察が取り締まるよう要求しています(2010年1月24日付〈国家権力による検閲を求め、ヘイトスピーチ規制の道を開こうとする瀬戸弘幸〉参照)。



こんないい加減ででたらめな瀬戸サンが「言論・表現の自由を守るシンポジウム」を主催するなど、まさにへそで茶を沸かすようなものです。ほかにもいろいろ例を挙げることは可能ですが、このぐらいにしておきます(当ブログの[http://d.hatena.ne.jp/three_sparrows/searchdiary?word=%2A%5B%B8%C0%CF%C0%C9%F5%BB%A6%C2%CE%BC%C1%5D:title=〈言論封殺体質〉カテゴリー]も参照)。


なお、[http://blog.livedoor.jp/sanjyuri/archives/51250027.html:title=最近在特会からもハブられてますます孤立の度を高めている日護会](代表=行政書士・黒田大輔)ですが、置いてきぼりにされまいと必死なようで、とりあえず瀬戸サン主催のシンポジウムには参加するそうです。


日護会も以前から都条例改悪に反対しており、全ての都議会議員への陳情、都議会議事堂前での反対街宣など行い、瀬戸さんに街宣の弁士に加わって頂いたことがある。当然に日護会も今回のシンポジウムに参加する。
瀬戸さんから日護会として生放送の許可も頂いた。都条例改悪の危険性について、多角的に知る最良の機会となるであろう。より多くの御参加を。


瀬戸サンも何を考えているのだろうと思いますが、かつてうっかりニューリーダーなどと持ち上げてしまった相手だけに、
不愉快なんだよー。出て行ってくれよ。なめてんじゃねえぞこら
などと冷たい対応をするわけにもいかなかったのかもしれません。なお、瀬戸サンが参加した街宣については、瀬戸ブログの2010年3月18日付エントリーで報告されています。また、日護会は昨日(14日)も秋葉原で簡単な街宣をやっていましたが、その内容については私のツイート(午後4時ごろ以降)を参照。


瀬戸サン主催のシンポジウムの後は在特会東京支部による「アニメ・マンガ規制断固反対デモ in 秋葉原」が予定されていますが、面倒くさくなったので詳しくは触れません。この問題に関する桜井誠・在特会会長の認識も、2010年12月28日付エントリーの冒頭で述べたように「アホかとしか言いようがない」ものですが、関心のある方は桜井会長ブログ(Doronpaの独り言)の下記エントリーをご参照ください。


ちなみに、在特会は2010年12月1日以降、デモ等の取材について「完全許可制」をとっており、
「許可なく取材活動を行った場合は、警備の警察に排除を依頼します」
とも警告しています(Togetterまとめ〈どんなメディアの取材も受ける!と公言していた在特会の今は昔〉も参照)。



この告知は2010年12月23日に公式サイト「最新ニュース」に再掲されましたが、依然として「直近の12月4日のデモの申し込み締め切りは12月2日中です」と書かれており、今日のデモについてどのような対応が行なわれるのかは不明です。ともあれ、見物に行かれる方はご注意ください。


そういえば、統一教会も「やや日刊カルト新聞」のデモ取材に対して同様の対応をとっていたようですね。マンガ・アニメ規制問題については意見が異なるようですが、体質はよく似ていると言えそうです。


■執拗な取材妨害、大手メディアからは完全無視!  
井の頭公園駅に配置されていた信者が記者の姿を見てアベルに連絡、早速幹部信者が文句をつけてきた。
APTF(真の家庭運動推進協議会)の者と名乗る男性は「取材の許可をしていない」などと言ってきたが、そもそも取材許可など求めていない。取材されるのが困るなら公園・公道でやらなければよいだけのことである。
APTFでは主要大手メディアに「取材してくれ」と報せたそうであるが、もちろん何処も取り上げる筈もなくこの日も取材に来たのはやや日だけである。感謝されるなら解るが拒否される謂れはない。

*1:「こんな朝鮮学校を支援するために、関西地方の弁護士が100人も名を連ねて訴訟しているのですから、日本は根底から腐りきっています」(本文末)という記述については、「東村山市民新聞」の迷宮〈在特会・京都朝鮮学校襲撃事件:裁判編〉参照。