コミュニティFMの役割を果たさないどころか、市議が率先して不必要に恐怖を煽る多摩レイクサイドFM


東村山市民新聞では、〈「原発暴発」の天誅云々の更新(3月15日付)以降、断続的に「最終更新日」の修正が続けられています*1。3月17日(木)に再開された市議会予算特別委員会でも、いつもの調子だったようです。


さて矢野穂積「市議」が実質的に牛耳っている自称コミュニティFM局「多摩レイクサイドFM」ですが、同局が今回の震災にあたってコミュニティFMとしての本来の役割を果たしていないのではないかと、この間疑問を呈してきました。


ところが、コミュニティFMとしての本来の役割を果たしていないどころか、不必要に恐怖と混乱を煽るようなことをやっているらしいのです。佐藤まさたか市議が、この忙しい中、報告してくれました。


3日ほど前、私の元に、お年を召した方から1本の電話がありました。「ラジオが、チェルノブイリと同じことが日本で起きている、と言っています。本当ですか?どうしたよいのですか?」と切羽詰った様子です。
何かの間違いではないかと思い、「どこの局の放送ですか?」と尋ねると、「市議会議員の矢野さんがやっている番組です」とのお返事。
金曜日の午前9時、実際に聞いてみました。
3月18日(金)午前9時放送の「ニュースワイド多摩」では、パーソナリティを自認する矢野穂積議員は、次の順番でアシスタントのキリヤマアイさんに原稿を読ませました。3月11日や12日の各新聞記事も扱っていることから、震災発生後に収録したものであることは明らかです。


例によって東村山市民新聞提供のニュースです」と我田引水の前置きをして「越境通勤市議」名誉毀損裁判の宣伝をし、その後30分ほど各種新聞記事をネタに床屋政談に興じてから、ようやく震災の話に移ったようなのですが・・・。

矢野市議コメント)
はい、それでは、経済・社会面を見ていきましょう。
9.3月12日朝日新聞より、「断層600km破壊か」という記事です。今回の地震は…(後略)
矢野市議コメント)
はい、はい、東北福岡から、福岡じゃなくて福島から、宮城そして岩手の方までですね、三陸海岸にかけて大変な被害がでてるわけですね。…(中略)で、特に今回の地震でそれがはっきりと証明されたというかですね、危惧したとおりになったというのが、安全性の問題ですね。もう原発は安全で、ベトナムに政府と民間が一体となって売り込んで、発注することができたということで、非常に民主党政権、意気揚々と言うかですね、評判よくない中で、経済界に対してですね、どうですか、頑張ったでしょ、みたいなことを言っていたわけですが、これがとんでもない大間違いで、要するに原発が安全性ではほとんど保証の無い、高速道路をブレーキなしに突っ走っている車と同じだということが今回ではっきりわかってと言わざるを得ないですね。私がこの番組でこういうことを言うとですね、古臭い反原発グループの生き残りか、ということを思っている人がいたに違いないんですが、そうですね、私もそういう風に見られているだろうと思いながら…(中略)もう1回きちんと検証する必要がある、と。それで記事のほうに行きますが、まずインターネットのニュースが早かったですね、はい。
10.3月12日毎日jpより、「地震福島原発炉心溶融の可能性も セシウムを検出」という記事です。経済産業省原子力安全保安院は12日…(後略)
矢野市議コメント)
はい、えーとですね、何が問題かということで、安全性の問題でついに危惧した問題が起きた、ということを申し上げたんですが、ロシアのチェルノブイリ原発がですね、メルトダウン炉心溶融して、暴発爆発したわけですね。で、放射能をそのあたり一面に撒き散らしたわけですね。だからウクライナなどでは甲状腺がん白血病になる人が未だに絶えないわけですね。…(中略)ついにですね、核燃料棒に含まれているセシウムという放射性物質が検出されたことによって、これはメルトダウン、原子炉が暴発している、止められなかった、ということを示しているということを、政府の機関が認めたということですね
でーそれで、関連記事をもう二つ紹介してからコメントしておきましょう。
11.3月12日東京新聞、「原子炉停止で緊急事態宣言」という記事です。菅直人首相は11日夜、東北関東大地震の影響を受けた東京電力福島第一原発について…(後略)
矢野市議コメント)
はい、ちょっとコメントした方がいいですね。
これは12日の段階でですね、こういう宣言をしたんですが、12日になると、夕方までにもうメルトダウンした、原子炉が暴発してですね、放射能が爆発して、原子炉の外、空中に撒き散らされる、要するに、チェルノブイリと同じ状態になったんだよ、という発表を、官房長官が既に報道発表しています。今の記事は、外に出てませんよ、と暢気なことを言ってますが、とんでもないんですね。
暴発して放射能が外に出たということですね。ここでまとめて次の記事に移りたいと思いますが、要するにですね、こういう事態、原子炉が暴発して止められない。で、セシウムという放射性物質が空中に撒き散らされて、風向きによっては東京の方にも飛んでくる。それから、福島はもちろんのことですね、そこら一帯を放射能で汚染してしまうという事態になったわけです。
したがって私たちとしてはですね、この放射能を体に着けるとか、吸い込むということは、これはやめるといかですね、防がなければいけないわけですね。
したがって、対策を個々の皆さんがお取りになる必要性がありますね。
今、花粉症でもってですね、立体型のマスクをつけてらっしゃる方がいらっしゃいますけれど、こういったことも含めてですね、放射能を吸わないように、あるいは体に着けないように、徹底した工夫を、自主的に防衛していく必要があると思いますので、マスコミや政府がのんきなことを言っている状況をですね、そのまま鵜呑みにしないで、徹底した安全対策をとることをお勧めしたいと思います。
広島の原発、そしてチェルノブイリ原発事故、そしてスリーマイル島はそこまでいかなかったですが、遂にですね、チェルノブイリの2番目が日本で起こってしまったということを、強く指摘して、自己防衛を徹底することをお考えになることを呼びかけておきたいと思います。
(太字は引用者=3羽の雀)


高松聡のブログ〈福島原発で起きていること〉などを読めばこれらのコメント内容が誤っていることは明らかですが、一体何のつもりでこのような煽りに走るのでしょうか。この機に乗じて反(脱)原発派のイメージを打ち出そうとしているのかとも思えますが、矢野「市議」が原発問題等について積極的に発言しているところは、少なくともこの4年間は見聞きした記憶がまったくありません。「古臭い反原発グループの生き残りか」と思われるだけのことを「草の根」がやってきたのかについて、「もう1回きちんと検証する必要がある」ようです。


この件については、Togetter市議会議員が率先して根拠のない恐怖を煽る自称コミュニティラジオ・多摩レイクサイドFM(東村山FM)でも取り急ぎまとめておきました。そこでも取り上げておきましたが、産経新聞〈地域密着の災害情報 コミュニティーFM有効〉という記事(3月18日付東京本社版)の一覧表で、他のコミュニティFMと合わせて多摩レイクサイドFMを紹介しています(ウェブ版は〈【計画停電】災害情報、コミュニティーFMが活躍〉〔本文のみ〕)。



首都圏に存在するコミュニティFM局を、実際の放送内容はいちいちチェックせずに並べた表ではあるのでしょうが、たとえば、計画停電や交通・お店関連の情報を定時に放送し、あわせて他のコミュニティFM局とも連携しながら被災地への支援に取り組んでいるFM西東京と多摩レイクサイドFMを同列にすることには、強い違和感を禁じ得ません。何とはなしに、『AERA』3月28日号と『週刊アスキー』4月5日号との対比を連想させられます(『AERA』編集部はその後謝罪)。


 



佐藤市議が書いている通り、放送免許を与えた総務省には、実態を直視してもらわないといけない問題であり、もう少し事態が落ち着いたら産経新聞等にもフォローアップの報道をお願いしたいところです。多摩レイクサイドFM関連のさまざまな問題については、私のまとめWikiを参照。「東村山市議会などをFM放送で中継することを求める請願」が、主に同局の公平性・中立性への疑問や不信感を理由として不採択とされた経緯についての会議録抜粋も作成しておきましたが、これについては機会があればあらためて検討したいと思っています。


もうひとつ気になるのは、やはり矢野「市議」が理事として密接に関与しているりんごっこ保育園グループで、保護者に対してどのような情報提供が行なわれているのかということです。3月14日付エントリーで指摘したように、矢野・朝木両「市議」がかつて「官製談合疑惑」などと騒いだ東村山市立第八保育園(運営は社会福祉法人ユーカリ福祉会)は、ブログツイッターを通じて広く活発な情報提供を続けています(Togetter〈東日本大震災・その後の東村山は〉シリーズの3月18日分19日・20日分21日・22日分も参照)。


りんごっこ保育園グループにこのような活動を期待するのは無理だとわかっていますし、現場では保護者に対して適切な情報提供その他の対応が行なわれていると信じたいところです。それにしても、NPO法人「林檎の木」の理事を務める立場からも、矢野「市議」は不必要に恐怖心を煽るような発言を慎むべきではないでしょうか。


〔この記事は3月23日夕方にアップしたものです。〕


【追記】(2012年2月8日)
佐藤まさたか市議の前掲記事はその後、矢野穂積「市議」の「公開質問」を受けて撤回・削除されました。下記参照。

*1:3月16日付(2011/03/15 13:19:36)、3月17日付(2011/03/16 17:10:42)、3月18日付(2011/03/18 16:42:28)、3月21日(2011/03/20 13:40:52)、3月22日付(2011/03/21 18:00:04)、3月23日付(2011/03/22 21:50:11)。