「きわめて危険な反社会的組織」在特会とつながる公職者/立候補予定者たち


市議会3月定例会の開会中ですが、東村山市民新聞では、どうもうまいこと悪口のネタが拾えないのか、「最終更新日」のみの修正が続けられています*1


さて、京都朝鮮学校襲撃事件(刑事裁判)でただひとり最高裁まで争っていた中谷辰一郎・元主権回復を目指す会関西支部長ですが、2月23日に最高裁が上告を棄却したとのことです。これにより、同事件および徳島県教組襲撃事件で起訴された7名全員の有罪が確定したことになります。

被告人     求刑(懲役)     判決/執行猶予
西村 斉 2年 2年/4年
荒巻 靖彦 1年6カ月 1年6カ月/4年
川東 大了 1年6カ月 1年6カ月/4年
中谷 良子 2年 2年/5年
星 エリヤス 8カ月 8カ月/3年
慶次郎(通称) 8カ月 8カ月/4年
中谷 辰一郎 1年 1年/4年


中谷(辰)はこの結果を「ある種の『司法によるテロ』」などと呼び、
法曹関係者は国民を善導し、無法者、不逞の輩による不幸の最少社会実現をするためにも研鑽を積んでいただきたいと思う
と筋違いな要望をしていますが、一連の司法判断こそが「無法者、不逞の輩による不幸の最少社会」実現のための(必ずしも十分ではない)一歩でありました。法曹関係者や立法関係者には、人種差別撤廃条約各国の反差別法についても十分に学んだ上で、中谷(辰)が望むとは真逆の方向でいっそうの努力をしていただくことが求められます。ちなみに、せっかく高裁、最高裁の声を聞こうと思い上訴したのであれば、最高裁の決定だけではなく大阪高裁の判決も全文公開していただきたいものです。


一方、2月26日(日)には、ほぼ一体化している在特会・排害社・日侵会(日本侵略を許さない国民の会)によって、例によって醜悪な光景が繰り広げられました。


自称桜井誠在特会会長が事前に予告していたように、脱原発を掲げる「経産省前テントひろば」にも再び押しかけてみっともない姿を晒しまくっていたようです*2。そもそもデモの呼びかけからし単なる憂さ晴らしであることを隠そうともしない内容でしたから、無理もありません。それにしても、放射性物質による国土汚染の現実から目をそらし、脱原発派にひたすら嫌がらせを続けることがキレイゴト抜きの民族生存闘争とは、随分ご立派な自称愛国者もいたものです*3


東村山市矢野穂積朝木直子両「市議」は、このような連中を利用するだけ利用して墓穴を掘った挙句に切り捨てたわけですが、いまだにこのような連中とつるみ続ける公職者も存在します。行動する保守(社会運動)内の一団体」を自認する日本の自存自衛を取り戻す会を自ら主宰する金子吉晴・大井町議は別格として、最近では「竹島の碑」請願をめぐって赤坂大輔・港区議(東京都)の名前がひとしきり浮上しました。


港区議会に対して2月22日に提出された「韓国大使館前に『竹島の碑』を建立する請願」は本来在特会として提出する予定で、在特会公式サイトにもその全文が2月9日にアップされていましたが、けっきょく別の人の名前で出すことにしたようです。



どうして「港区在住の方」とぼかして書いているのか知りませんが、これは維新政党・新風本部代表であり、「既成政党や権威に頼らず、愛国政治勢力を作り日本を救」うために「次期参院選東京選挙区出馬を目指し」ている鈴木信行氏のことです(追記〔3月11日〕:正確には、鈴木氏は赤坂区議との窓口であり、区議会事務局との手続き役」であって「代表者は青山在住の士である」ことが3月11日になって初めて明らかにされたので、訂正しておきます)。ご本人もブログで一連の流れを報告しています。なぜか、在特会や自称桜井会長の名前は一切出していませんけれども。


維新政党・新風の党声明も出されました(2月27日付)。



一連の流れについては、困った連中〈在特会の請願等に議員が関与?〉関連記事も参照。紹介議員がつかなかったので今回の請願は陳情扱いになるかと思われますが、区議会ホームページにも陳情は原則として、参考送付のため、審査はされませんと書いてあるように、歯牙にもかけられないまま終わるのでしょう。


なお、請願がどのように処理されるのかまともに知らなかったのか、自称桜井会長は2月22日に請願が審議されるかのようなことを書いていましたが、まあいつものことです。



また、前述した「2.26帝都デモ」には、維新政党・新風東京都本部幹事長である荒井泉氏も参加していたことが報告されています。本当に、「民族差別を許さない」という党声明(2009年4月13日)は何だったのやら。



もう一人、在特会東京支部が主催した「[http://www.zaitokukai.info/modules/piCal/index.php?cid=0&smode=Weekly&action=View&event_id=0000000933&caldate=2012-2-25:title=大田区の北朝鮮友好政策に断固抗議! 国民大行進]」(2月25日)にゲストとして参加した、犬伏(いぬぶし)秀一・大田区議(東京都)についても簡単に触れておきます。この方は在特会に宣伝カーまで貸したようです。


 今日は、在日特権を許さない市民の会主催のデモ行進にゲストとして参加した。この団体は、在日外国人であるとの理由だけで様々な特権を得ている実態を明らかにして正常化することを目的とされており、保守系の会合では度々ご一緒している。
 今回は、あまりにも北朝鮮に対して優遇政策を取り続ける大田区、松原大田区長への抗議と、その事実を周知するためにデモ行進を蒲田で行われた。
〔中略〕
 私は地元の議員ということで、宣伝カーをお貸ししたが、警視庁やら公安調査庁などの公安関係者から写真を撮られるは、動画は録画されるは、韓国のテレビ局から取材は受けるは、でさながら「犯罪者扱い」だった。


冒頭で触れたように在特会は複数の犯罪者を出し、しかもその犯罪行為を一貫して擁護し続けている、自称桜井会長自身の基準に照らして「きわめて危険な反社会的組織」であるのですから、そりゃそういう扱いをされても不思議ではありません。
「公安の敵である朝鮮総連をやつけるデモなのだから、実は味方であるはずなのだが、公安のお仕事柄仕方あるまい」
とも書いていますが、在特会が公安の監視対象であり続けていることを、ひょっとしてご存じないのでしょうか。


このあたりについても、困った連中〈在特会主催「大行進」にゲスト参加する議員〉〈予備自衛官の自制は?在特主催ゲスト区議〉〈(公安から)さながら犯罪者扱いされた理由は?〉で触れられていますので、そちらも参照。また、デモ終了後に犬伏区議が行なった街宣の様子は、もげる人〈いぬぶし秀一 蒲田駅 駅前街宣 & 妨害工作員〉に写真がいくつか掲載されています。


人種差別撤廃条約第4条(c)では「国又は地方の公の当局又は機関が人種差別を助長し又は扇動することを認めないこと」が要求されており、日本はこの条項については留保を付していません(2010年3月16日付〈国連人種差別撤廃委員会のヘイトスピーチ関連勧告〉など参照)。「竹島の碑」請願や大田区でのデモが人種差別の助長・扇動に(直ちに)当たるかどうかはともかくとして、憲法第98条2項(国際法規の誠実遵守義務)や第99条(公務員の憲法尊重義務)に照らし、公職者/立候補予定者が在特会・排害社・日侵会のような団体と親しく付き合うこと、それに対して公的機関が何の手も打たないことは、は厳しく批判されてしかるべきでしょう。

*1:2月25日付(2012/02/24 19:45:46)・2月27日付(2012/02/26 14:54:09)・2月28日付(2012/02/27 12:20:39)。

*2:Togetter〈【在特会】「反原発テントは乞食村」「韓国人はけだもの」といつもの調子の自称桜井会長 on 2・9〉も参照

*3:こういう活動にどのような人物が吸い寄せられているかの一例として、もげる人〈2・26 帝都に行こう!逢魔が刻に害人排撃デモ & 朝鮮乞食テント村〉〈平成24年2月26日 反政府・害人排撃in帝都デモ★デモの主催者側から叱られた警察の顔〉なども参照。