相手の人間性を見抜く能力

「東村山市民新聞」の「最終更新日」は１２月２８日付に修正されましたが、実質的更新はありません。このところ、「最終更新日」を１日おきに修正するというパターンが続いていますね。

「越境通勤市議」言いがかり裁判の敗訴確定について、矢野・朝木両「市議」が、
「過去の最高裁判例との関係は不透明のままとなりました」
「最高裁は過去の最高裁判例を無視、前代未聞の佐藤さんの行動を審理しませんでした」
などと悔し紛れのデタラメを言ってる件を片付けておこうかと思ったのですが、ここ数日、手間のかかる記事ばかり書いていて疲れたので、もうちょっと後に回します。

また、凪論 vs クロダイとの間で勃発した紛争も、クロダイ＆その支持者の“小ささ”を際立たせているという点でなかなか興味深いのですが、これにも今日は触れないでおきます。ともあれ、「クロダイ」では名前負けの感が否めませんので、「カスゴ」（１００ｇ以下の稚鯛）ぐらいが適当ではないですかね*1。一部の心ない人たちはすぐ最後に「ミ」をつけたりしそうですが、ダメですよ、そんなことしちゃ。

というわけで、今日は簡単に本の紹介をしておきます。きっかけは、Tomatotic-jellyさんが次のように書いていたことです。

「他人を信頼する度合いが高い人は、相手の人間性を見抜く能力も高いことがわかる。」と、ＮＨＫでやっていた。
一瞬、信じやすい人？
と、疑問に思ったのだが、「信じやすい」でなくて、「信頼する」なんだな。

この番組はＮＨＫの「サイエンスＺＥＲＯ」第２３８回なのですが、「他人を信頼する度合いが高い人は、相手の人間性を見抜く能力も高い」というのは、ゲスト出演した山岸俊男教授（北海道大学）の実験に基づいた話です。

そしてその詳細は、割と最近出版された山岸俊男『日本の「安心」はなぜ、消えたのか』（集英社）で知ることができます。偶然、この本を最近図書館で借りて読んでいたので、若干の解説をしておきましょう。

同書の１５４ページの記述をもとにしてまとめると、こういうことです。
＊他人を信頼する度合いが低い人（低信頼者）は、いったんある人物についての評価を形成したあとは、その人物に関する否定的情報を与えられても、相手の評価をあまり変更しようとしない。これは、このような人々は最初から「他人は信じられない」「他人は裏切る」と決めつけており、他人に対してそれ以上の興味を持たないためだと思われる。
＊他人を信頼する度合いが高い人（高信頼者）は、確かに最初は他人を容易に信頼する傾向があるが、その人に関する追加情報を手に入れれば、それを積極的に活用して評価を修正する能力を持っている。つまり、他人を信頼する度合いが高い人々は、最初から相手を「いい人」だと思いこむお人好しなどではなく、「ひょっとしたら、相手は悪い人かもしれない」と考えるだけの思考の幅を持っていると言えるのではないか。

現物が手元にないので、どういう実験に基づいてこのような結論を導き出したのか、詳しく紹介することができないのですが、それは実際に本を読んで確かめてください。ともあれ、「評価を修正する能力」とか「思考の幅」についての話は、東村山周辺の人間模様を眺めるときにも参考になりそうな気がします。

同書では、地球上には「安心社会」と「信頼社会」という２種類の社会が存在するとも述べられています（以下、２３９〜２４０ページをもとに要約）。

「安心社会」とは、「メンバー同士の相互監視や制裁といった仕掛けを通じて、人間同士の結びつきの不確実さを解消していこうとする」社会で、このような社会では、「集団の外にいる人たち、つまり『よそ者』との関係を持つこと」は可能な限り忌避されます。

一方、「信頼社会」とは、「社会が提供する『安心』に頼るのではなく、自らの責任で、リスクを覚悟で他者と人間関係を積極的に結んでいこうという人々の集まり」です。どちらがよくてどちらがダメだということはないのですが、世界がますます「信頼社会」の原理で動くようになりつつあることは、間違いなさそうです。

また、人類には、武士道に代表される「統治の倫理」と、商人道に代表される「市場の倫理」という、２種類のモラル体系があるとも指摘されています（２５６ページ等）。
＊「統治の倫理」（武士道）＝「社会体制を維持するために権力者が守るべき道徳律」であり、「利益に惑わされず、公平無私の心を貫き、秩序や伝統を尊重する精神」が重んじられる。
＊「市場の倫理」（商人道）＝「権力に頼ることなく、おたがいに反映していくためにはどう行動していくのがいいかと考えたときに生まれたモラルの体系」であり、「おたがいに嘘をつかず、信頼しあい、利益を分かち合う姿勢」が重視される。

ともあれ、なかなか面白い本だったので、興味のある方は読んでみてください。もっとも、帯では、
〈「武士道」「品格」が日本をダメにする！！〉
と大々的にうたわれているので、異論を受け入れられない体質をお持ちの「反日愛国者」の皆さんには、生理的に無理かもしれませんね。

*1:【追記】（１２月２８日）ちなみに、クロダイの小さいやつは関東ではチンチン、関西ではババタレと言うそうです（笑）。ほんとだ、Wikiをよく見るとそう書いてあった。