矢野・朝木両「市議」が突然「外国人地方参政権」の推進をアピール


東村山市民新聞」で、久しぶりに実質的更新がありました(10月11日付、2009/10/11 17:34:55)。そろそろ瀬戸サンたちと距離を置く必要性を感じるようになったのか、〈外国人への地方参政権付与の推進を!〉と題し、「行動する保守」の面々を暗に批判する囲み記事がトップページに掲載されています(魚拓)。



途中からなぜか「創価公明」の話になって文章の趣旨が曖昧になり、末尾の三者気取りのコメントに至っては何が言いたいのかさっぱりわかりませんが*1、まあいいや*2。ついでに「慰安婦」問題についても瀬戸サンたちを批判なされば、自分達の言動について最低限の整合性を確保することができるんじゃないでしょうか。以下の記事を参照。


余談ですが、この囲み記事の上下にある「日弁連に対する申入書」やら「最高裁への申出書」やらは、けっきょく正式に提出したんでしょうかね。いつまで経ってもその旨の報告がありませんが。


それはさておき、矢野「市議」が賛成したという陳情は、東村山市民新聞」で説明されている通り、1995(平成7)年9月21日の本会議で採択されたものです(「(朝木明代議員殺害事件の直後)」と書いてあることへのつっこみは、この際おいときます)。所管である総務委員会の委員長より次のように報告され、委員長報告通り採択されています。

△日程第4 7陳情第2号 定住外国人に対する地方選挙への参政権に関する議会決議を求める陳情
○議長(清水雅美君) 日程第4、7陳情第2号を議題といたします。
 総務委員長の報告を求めます。総務委員長。
              〔総務委員長 鈴木茂雄君登壇〕
◎総務委員長(鈴木茂雄君) 7陳情第2号、定住外国人に対する地方選挙への参政権に関する議会決議を求める陳情につきまして、総務委員会より報告をさせていただきます。
 当陳情につきましては、6月議会で付託をされて以来、7月13日また9月13日の委員会、7月13日には陳情人代表をお呼びいたしまして御意見を伺う中、慎重に審査を進めてまいりました。その結果、全会一致におきまして採択すべきものと決しましたので、報告をいたします。
 当日、討論は賛成討論につきましては、3名の委員が行いました。集約をいたしまして、その趣旨を述べますと、日本に定住する在日韓国人はその9割が日本生まれの日本育ちであり、日本国民とともに生活をしている。そして、日本国民と同様の義務と責任を負っている。ゆえに在日韓国人を初め、日本に定住する外国人に対し、地方参政権を認めることは国際社会において責任ある地位を占めようとする我が国の国際化への第一歩であり、また、去る2月28日の定住外国人への地方参政権付与を合憲とする最高裁判決に見られるとおり、既に司法判断もなされており、陳情の趣旨にかんがみ、賛意を表し、採択すべきである。このような趣旨で3名からの委員の同様趣旨の討論がございました。
 速やかに御可決賜りますようお願いをいたしまして、報告を終わります。
○議長(清水雅美君) 報告が終わりましたので、質疑に入ります。
 質疑ございませんか。
              〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(清水雅美君) 質疑がありませんので、討論に入ります。討論ございませんか。
               〔「省略」と呼ぶ者あり〕
○議長(清水雅美君) 討論がありませんので、採決に入ります。
 7陳情第2号について、委員長報告は採択であります。
 本件を委員長の報告どおり、採択とすることに賛成の方の挙手を求めます。
              〔賛成者挙手〕
○議長(清水雅美君) 挙手全員であります。よって、本件は委員長報告どおり採択することに決しました。


残念ながら当時の委員会会議録はネットでは公開されていませんが、矢野「市議」が賛成討論を行なったというのは事実なのでしょう。この陳情を受けて、同日、次のような意見書が採択されました。

定住外国人への地方参政権の付与を求める意見書


 国際化の流れの中で、定住する外国人の数は今後ますますふえるものと考えられる。
 現在、日本に定住を希望する外国人の方々は、外国人登録法により、それぞれの地方自治体の住民として届け出をし、当該自治体の住民として納税の義務を果たし、さらには、地域社会の一員として日本国民と同様の責任を全うしている。
 さきには、最高裁判所は「憲法は、国内永住者など、自治体と密接な関係を持つ外国人に、法律で地方選挙の選挙権を与えることを禁じているとはいえない」との憲法判断を示しました。
 ヨーロッパ諸国においては、一定期間合法的に定住した外国人に対して選挙権を認める制度を採用する国はふえており、今後、国際的に責任ある地位を占めようとする日本が進むべき方向として、このことは検討しなければならない課題である。
 よって、定住外国人への地方参政権の付与を求めるよう、選挙制度の改正を強く求めるものである。
 上記、地方自治法第99条第2項の規定により意見書を提出する。


 平成7年9月 日
 東京都東村山市議会


 内閣総理大臣   村山 富市殿
 法務大臣     田沢 智治殿
 自治大臣     深谷 隆司殿


矢野「市議」がこの意見書にも賛成したのかどうかは不明ですが、陳情に賛成して意見書に賛成しない理由もないでしょうから、たぶん賛成したのだと思われますこの意見書には、矢野「市議」も提出者として名前を連ねています*3。「ムラ議会の舞台裏で、こそこそ談合して間に合わせの『意見書』をつくるようなやり方は、謀殺された朝木明代議員以来、一貫して、拒否している」はずなんですが、いろいろ例外があるみたいですね(「東村山市民新聞」の迷宮〈矢野穂積・朝木直子「市議」の議員活動〉も参照)。



東村山市民新聞〈「変えよう!議会を 親創価に」


ついでながら、1995年9月21日の本会議では、「矢野穂積氏の市議会議員辞職勧告を求める陳情」について継続審査とする旨も報告されています。これは同年4月〜5月に起きた議席譲渡事件を受けて出された陳情ですが、翌1996(平成8)年3月22日の本会議で採択され、同日、「矢野穂積議員への辞職勧告決議」が採択されていますので、会議録抜粋を作成しておきました。


東村山市民新聞」の10月11日付更新では、上記のほか、〈9月議会最終日〉の囲みに「追記予定」という文字が加わりました。



この囲みは9月30日付更新で登場し、10月2日付更新で若干加筆修正されたものですが、いまさら「追記予定」ですか。ちゃんと説明する準備が整ってから載せた方がよろしいんじゃないですかね。


ちなみに、「自公連立を続ける鈴木忠文につき、報酬問題で続報予定.。乞うご期待!」というのも、9月16日付更新で予告して以来、ほったらけになっていますよ。



矢野・朝木両「市議」の言うことですから別に期待はしていませんが、続報を載せるつもりがあるなら、鈴木市議から出されている抗議と訂正要求への対応もお忘れなく。

*1:【追記】ああ、ひょっとしたら在住外国人の票が欲しいということなのかな(平成21年1月1日現在、東村山市における外国人登録者数は2114人)。だったら、“国が異なる取り扱いをしている対象は差別しても/されても当然”としか理解できない姿勢を何とかした方がいいと思いますよ。

*2:【追記】なお、オーストラリアはともかく、ニュージーランドで「義務投票制を採用して、投票しなかった在住外国人にも罰金を課している」というのは間違いのようです(Wikipedia義務投票制Compulsory voting)。移民向けのガイドにも、「投票はニュージーランドでは義務ではありませんが・・・」と書いてあります。訂正なさるとよろしいでしょう。/【さらに追記】また、佐藤令「外国人参政権をめぐる論点」〔PDFファイル〕(国立国会図書館人口減少社会の外国人問題 総合調査」2008年1月)ほかによると、オーストラリアでは、ごく一部の州を除き、(定住外国人一般ではなく)英連邦市民に地方選挙権が認められているだけのようです。

*3:Tomatotic-jellyさんのところでねずさんから指摘を受け、訂正しました。ご指摘ありがとうございます。