週刊新潮「創価学会に占領された『東村山市役所』の歪み」をいまでもまったく疑わない瀬戸弘幸サン


引き続き、瀬戸弘幸サンが、
「常識を兼ね備えた人物ならば、書店で売られている雑誌に、デッチ上げの記事を掲載するなど、あるはずがないと考えます」
と書いている件について。これに対し、なた5963さん(清風匝地)は次のようにつっこんでいます。

常識を兼ね備えた人物ならば、書店で売られている雑誌の記事を鵜呑みにしませんよ。どこかすら疑います。
例えば週刊新潮は裏を取らない飛ばし記事が多く、裁判で負けまくってます。
せとサン自身も、週刊新潮の「赤報隊事件告白記事」のデマを信じて赤恥かいたはずですがお忘れですか?


ありましたね、そういう事件(松沢呉一の黒子の部屋〈お部屋1773/瀬戸弘幸でも情報を疑う〉参照)。「書店で売られている雑誌」どころか、ネットで流れた情報に飛びついて〈緊急UP! 創価学会要人に怪情報:これだけのサイトが報じているということは?〉とやっちゃったこともありましたっけ(7月26日付〈踊る!潰れる!ゼリー御殿〉参照)。


で、矢野穂積朝木直子両「市議」の情報を垂れ流したマスコミ*1の情報を鵜呑みにしたお仲間は、次々に訴えられていると(9月17日付〈矢野・朝木両「市議」が決して触れない新風連関連裁判をめぐるデンパな動向〉参照)。もっとも、“マスコミでも報じられている”云々というのは後付けの言い訳の可能性が高いと思いますが。


そんな瀬戸サンは、都議選の直前、14年前の週刊新潮に掲載された「創価学会に占領された『東村山市役所』の歪み」(文末資料で抜粋)という記事を、まったく疑うことなく取り上げていました。

 公明党はキャスティングボード〔ママ〕を握って議会を牛耳り、行政の支配を目指していた。この頃、既に東村山市役所においては、公明党の暗躍によって不正な人員採用や人事配置が行なわれていると見られていたのです。
 公明党公営住宅への優先的な斡旋や福祉行政における同じような優先的な受給にも関与していると囁かれていました。また一部のゴミ清掃業者との癒着も問題となっていた。
 この年の1995年2月9日発売の『週刊新潮』は、この東村山市の実態を「創価学会に占領された『東村山市役所』の歪み」として大きく掲載した。
 勿論、情報を提供したのは朝木さんと矢野さんの草の根会派でした。
 これに驚いたのは公明党創価学会でした。二人だけのちっぽけな会派と侮っていたが、その二人の力によって、その実態が広く知られることに恐怖感を抱き始めたのです。
瀬戸弘幸ブログ〈東京都議会議員選挙を前にして:公明党の議席を減らすためには何が重要か。〉2009年7月2日付、太字は原文ママ


どうしてこの人は雑誌の発行日発売日の区別がつけられないのだろうと思いますが(2008年10月6日付〈もはや自分の意見さえ書けなくなった自称「ジャーナリスト」〉参照)、この週刊新潮(1995年2月9日号)の発売日は1995年2月2日です。折しも、朝木明代市議と(まだ市議会議員ではなかった)矢野穂積氏が東村山市議会議員26名と一般市民1名を名誉毀損で訴えた2日後(「超党派でつくる新聞」裁判)、そして同年4月の市議会選挙直前のことでした。


この記事は、瀬戸サンも書いているように、「草の根」からの情報提供によって書かれたものです。「常識を兼ね備えた人物」であればその時点でガセネタの可能性を疑うはずですが、自分にとって都合のいい情報源は疑えないのが瀬戸クオリティー7月7日付の記事の末尾でも次のように指摘しておいたのですが(うっかり瀬戸サンの記述を鵜呑みにしていた箇所があったので、先ほど訂正を入れておきました)、瀬戸サンは情報をあらためて検証しようなどとは思わないでしょう。

ちょっと前のエントリーで取り上げていた『週刊新潮』の記事(「創価学会に占領された『東村山市役所』の歪み」、1995年2月9日発売号(*1)にしても、市議会で
「仕組まれた売りこみ記事で、朝木、矢野氏のガセネタ」
などと問題にされたものです(議事録抜粋参照)。朝木明代・矢野「市議」らは裁判を起こして議事録からの発言削除等を求め、敗訴しているのですが、瀬戸サンはこれも完全スルー(概要は鸞鳳〈矢野市議敗訴 議会名誉毀損発言〉を参照)。
*1:【追記】(10月11日)瀬戸サンの記事を鵜呑みにして、きちんとチェックせずに「1995年2月9日発売号」と書いていました。発売は2月2日です。穴があったら入りたい。


この記事が市議会でどのように問題にされたかについてはすでに会議録抜粋を作成済みですが、そこからさらに抜粋しておきましょう。読みやすいように適宜改行を入れました。

◆23番(大橋朝男君) 通告してありますように、法治国家における市政運営と市民意識の高揚についてお伺いいたします。
 最近の、当市の行政及び議会を扱った週刊誌及び市内にまかれている配布ビラ等に見られる、記事内容の間違いや、言論表現の暴力といっても過言ではないほどの誹謗、中傷記事について、市の考えと対応についてお伺いいたします。
 第1点は、週刊誌、週刊新潮の記事内容についてであります。2月9日号に掲載された、「特集・創価学会に占領された東村山市役所のゆがみ」という見出しの記事は、全く事実とかけ離れた内容であり、当市の名誉を著しく傷つけ、なお、市民に不信感を抱かせ、行政への信頼を失墜させるおそれがあると思われる、極めて遺憾な内容であります。その何点かを指摘すれば、
1、この記事内容は、市の人口を13万 8,000人と間違っているのを初め、文中に出てくる数字に多くの間違いが見られ、その上、事実に反した、興味本位の憶測と思われる内容が多く見られること。
2、また、記事の構成は、取材経過や日程などを見ると、当初から朝木議員や、矢野市民新聞編集長の談を中心にして、仕組まれた売り込み記事で、朝木、矢野氏のガセネタに、週刊新潮がまんまと乗せられた感じであること。すなわち、市長、市幹部の談話を入れて、インタビュー形式をとっているが、その見出しと内容はちぐはぐで、意図的であること。
3、リードに、「いつの間にやら組織の中に学会員が繁殖し」とか「増殖し」とか「蔓延ぶりを見せる」等々、人を人とも見ず、病原菌か細菌か何かのような扱いをするなど、全く人権を無視し、学会を軽蔑した表現をしていることで、これは、売るためには人目を引く、センセーショナルな見出しをつけ、事実を興味本位に歪曲した、誹謗、中傷記事であると思います。この裏付けは、朝日新聞の2月7日付の記事で、新潮社の斉藤十一相談役の経営方針を紹介しております。その中で、斉藤氏は、若手編集部員に、「週刊新潮も文芸だ。文芸に正義も真実もない」と述べ、直接的な例として、「人間は、一皮むけば金、女の俗物性」で、これを週刊誌という商品にして売る。売られる側の憤りや悲しみは省みない。これが週刊新潮の個性だ、と解説しているのが、何よりの証拠であると思いますが、市では、この週刊誌の記事に対して、どのように判断され、対応されたか、お答えいただきたいと思います。
4、次に、「学会優先の行政」という見出しの中には、受付の嘱託職員が、採用手続を取らずに、不正に採用されたとか、職員が勤務中に着服したとか、都営住宅に優先入居させたとか等々の談話を載せているが、そういう事実があったのかどうか。また、市役所が創価学会に占領されて、ゆがめられたという見出しがありますが、そういう事実があると思うかどうか。市の責任ある回答について、お伺いいたします。
〔中略〕
◎助役(原史郎君) ・・・
 週刊新潮の関係の御質問がありましたが、記事内容は、雑誌社の論評でありますが、市としましては、その内容が、いたずらに行政への信頼を失墜するおそれがあり、極めて遺憾であることから、発行人に対し、
「貴社は、週刊新潮2月9日号に、特集「創価学会に占領された東村山市役所のゆがみ」、同誌のページ126ページから127ページにわたりまして題し、また、記事中に「学会優先の行政」の小見出しを配し、記事を掲載し、刊行されました。私としましては、取材にお答えいたしたとおり、このタイトル等が表示するような事実はないと考えております。にもかかわらず、こうした表現で報道されたことは、一般市民にいたずらに不信感を募らせる等、地方自治体の信頼にかかわる問題であり、行政運営の責任者として、極めて遺憾のするところでございます。こうした不穏当な記事を掲載することに対し、強く抗議をいたします。」
と市長名をもって、2月6日付で抗議文を送り、また抗議した旨を、市報の2月15日号に掲載し、市では、憲法自治法を初め、法の下に公正な行政運営に真剣に努めており、市民が、市役所に対し誤ったイメージを抱かないよう、お知らせをいたしたところでございます。


ちなみに、市長名で送った抗議文に対し、週刊新潮側からは一言の回答もなかったそうです(宇留嶋瑞郎『民主主義汚染』64ページ)。なお、このときの市議会では、紙版東村山市民新聞」についても厳しい批判が展開されていますので、できれば会議録抜粋もお読みください(ついでに、朝木・矢野vs市川市長(当時)裁判の弁護士費用公費負担問題について取り上げた1995年3月24日本会議の会議録抜粋もなかなか面白いので、ご参照ください)。


上記の大橋市議発言については、朝木明代市議が翌週の本会議でさっそく問題にし、その後、会議録からの発言の削除と損害賠償を求めて東村山市を提訴しています(平成9年(ワ)3136 東京地裁立川支部(当時:八王子支部))。週刊新潮の記事について
「当初から朝木議員や、矢野市民新聞編集長の談を中心にして、仕組まれた売りこみ記事で、朝木、矢野氏のガセネタに、週刊新潮がまんまと乗せられた感じであること」
と評した部分も争点のひとつでしたが、これも含めて矢野氏ら側が敗訴したことは、鸞鳳〈矢野市議敗訴 議会名誉毀損発言〉で報告されている通り。紙版東村山市民新聞」における敗訴のごまかし方も興味深いので、鸞鳳から引用しておきましょう(太字は小見出しを除いて引用者=3羽の雀)。

●2000年5月1日第112号「東村山市民新聞」より
『大橋朝男・元公明市議が(略)名誉毀損発言をするという事件が発生しました。
(略)この結果、以下の通り東京高裁は、私達の主張をほぼ認めたのです。
判決は、大橋市議の
「本件発言中には朝木明代及び控訴人矢野穂積がガセネタを週刊新潮に売り込んだ、東村山市民新聞は誹謗中傷記事を掲載している、
〔控訴人矢野穂積は変質者である、〕*2司法試験を受験したが合格できず、濫訴を繰り返す裁判マニアである等とする部分があり、これらの部分だけを取り出して考察すると、本件発言部分中には、表現が不適切であり、具体的事実を摘示して朝木明代及び控訴人矢野穂積の人格的価値についての社会的評価を低下させるものがあるということができる。」
と大橋朝男元市議が名誉毀損発言をした事実を明確に認定したのです。』


相変わらず、「自分に都合のいい」ところだけを取り上げる記事内容の東村山市民新聞。
それでは、彼等があげた判決文の続きを見てみよう。
「大橋朝男は右部分が虚偽である事を知りながら、朝木明代及び控訴人矢野穂積を誹謗中傷しその名誉を毀損するという目的の下に、あえて本件発言を行ったと認めるべき証拠はない。」
東京高裁は、大橋元市議の発言は、「名誉毀損発言にはならない」と認定しているのだ。
この一件を見るだけでも彼らの手口が明らかである。


名誉毀損訴訟においては、ある表現が他人の「社会的評価を低下させるもの」等に当たるかどうかをまず検討し、裁判所がそれには該当しないと判断すれば、それ以上は検討せずに請求を棄却します(例:『フォーラム21』事件控訴審)。そのような表現に当たるとなれば、その後、公益性、真実性、相当性等の基準に照らし、名誉毀損不法行為責任が問えるかどうかを検討するわけです。


上記の裁判では、大橋市議の発言が朝木明代・矢野穂積氏の「社会的評価を低下させるもの」であることは認めつつ、違法性阻却事由があるとして名誉毀損の成立は認めませんでした。紙版東村山市民新聞」では、この前半部分だけを取り上げ、虚偽宣伝をやっていたわけですね(後掲追記2も参照)。こんな人達の言うことをまったく疑わずに信じてしまう瀬戸サンは、やっぱりどうかしています。


こういう経緯がありながら、矢野「市議」らはいまだに週刊新潮のこの記事を利用するのですから、たちが悪い。


かつて、週刊新潮が「創価学会に占領された東村山市役所の歪み」という記事を掲載しましたが、現在は、さらにひどい状態です。・・・


この記述は、2009年2月7日付更新でトップページに登場したものです。当時も紙版東村山市民新聞」週刊新潮のこの記事を紹介していたそうですが(『民主主義汚染』65ページ)、まさに「マツクロSTEP」を地で行っています。

・メディアが誤解するような情報を出す

・メディアがその意図通りに誤解をした記事を出す。

・その誤解をフィードバックして、「週刊××も××説を報道!!!!!」と騒ぐ
松沢呉一の黒子の部屋〈お部屋1647/矢野穂積に学ぶ2〉;シリーズ第1回および第3回も参照)


ちなみに、朝木直子「市議」と相談しながら街宣名誉毀損裁判への対応を進めている西村修平サンも、書証としてこの記事(乙23)を提出しています。


東村山市議会議員でありながら、自分達の利益のために東村山市のイメージを必死で低下させ続けようとする矢野穂積朝木直子両「市議」を、市民はいつまで許しておくのでしょうか。


【追記】平成7年3月17日の本会議会議録抜粋をあらためて読み直していたら、都市建設部長(当時)が次のように発言していることに気づきました。うまいこと言うなあ。
「この東村山市民〕新聞なるものに、常々引用される『ムラ議会』なる表現をもってすれば、この新聞に追従する議員は、大変お言葉が強く、申しわけありませんが……ムラの下の、まさに字、アザ議員とでも呼ぶ存在ではないか、ふと考えてみたとこであります」


【追記2】(10月12日)
Tomatotic-jellyさんのところでねずさんから指摘を受けて紙版東村山市民新聞」112号第3面を確認すると、いちおう敗訴の事実は伝えていたことがわかりました。前掲引用部に続く記述を引用しておきます(*は原文では黒三角)。

*しかし、高裁判決は、憲法が国会議員にしか認めていない院内発言の免責特権を地方議員にも認められるかのような理由で、東村山市に対する国家賠償請求を認めなかったので、私達は判例違反を理由に、最高裁に上告しています。
*このように、大橋市議は、事実無根の発言で、私達の名誉を毀損したことが東京高裁で認定されたのですから猛省し私達に対して深く謝罪するよう要求したいと思います。

【資料】週刊新潮創価学会に占領された『東村山市役所』の歪み」(1995年2月9日号)抜粋
*宇留嶋瑞郎『民主主義汚染』62−63ページより

リード創価学会という集団の恐ろしさは、その凄まじい「金集め」や選挙の際に示される「団結力」ばかりではない。いつの間にやら組織の中に入り込み、気づいた時には学会員だらけ、という蔓延ぶりをも見せるのだ。東京都下の東村山市でも市役所に学会員が増殖。いまや「一〇人に一人が学会員」という声さえあるという。これでは、健全な自治体運営など夢のまた夢。行政の歪みが露呈するのも当然ではないか〉
矢野穂積(「東村山市民新聞」編集長)「市職員は一〇〇〇名余ですが、うち約一割が学会員といわれているんです。……部長級に二人、課長級にはっきりしているだけで六人。しかもそれぞれが役所で要職を占めています……」
朝木明代氏(市会議員)「職員の中には、親の代から学会員という人が多いこともわかりました。東村山の公明党を作ったといわれる古株の元市議の息子さんも市役所にいます。この元市議の場合は夫人も学会の有力者で、現在の助役もその人の自宅に出入りしているそうです」
矢野穂積「当市では選挙をやると投票数は約六万票なのですが、公明党はそのうち一万票とれるんです。当然影響力は大きく、市長も抵抗できないんです。市議会は現在定員が二八ですが、自民一一、公明六、社会三、共産四で、以下民社、元社民連、生活クラブ、草の根市民クラブが各一という構成。自民だけでは過半数が取れず、公明抜きでは予算も通りません。このままでは次の市長も学会、公明党に牛耳られるのは目に見えています。東村山は嫌な町になってしまいそうなんですよ」

*1:矢野・朝木両「市議」の情報を鵜呑みにしたがために「書店で売られている雑誌」が完全敗訴してしまった例として、『週刊現代』事件『週刊新潮』事件を参照。

*2:【追記】(10月12日)紙版東村山市民新聞」112号第3面を確認したところ、この部分が省略されていたため、付け加えた。