朝木明代市議転落死事件をめぐる風向きの変化――『フォーラム21』でさえ「殺害」説を放棄?


東村山市民新聞は、相変わらず「最終更新日」の修正以外に動きはありません(7月25日付〔2011/07/24 15:43:00〕・7月26日付〔2011/07/25 17:19:28〕)*1


一方、宇留嶋瑞郎さんから肖像権侵害で訴えられている瀬戸弘幸サンと弟子の有門大輔(第2次せと弘幸『日本よ何処へ』裁判)は、第1回口頭弁論を明日(27日)に控え、問題とされた記事から写真を削除しました(26日午前9時20分ごろ確認)。動画へのリンクを問題とされていた2008年9月4日付の記事については、記事そのものを削除しています*2


創価関連のお知らせ〉(7月15日付)で表明されていた方針通りの対応です。瀬戸サンは同時に
「相手方が写真を無断で掲載されたと言っていますが、掲載後に何度もお会いする機会があったにも関わらず宇留嶋氏から抗議されたり、削除するように要請されたことは一度もありません。いきなりの訴えであり、その旨に関しては抗弁し損害賠償については応じられないと主張することになりました」
とも書いていましたので、あとは損害賠償をめぐる争いになるのでしょう。なお、瀬戸サン自身が明日の口頭弁論に出席するかどうかは不明です。また、同エントリーでは宇留嶋さんと月刊タイムス社に対して内容証明を送るとも宣言していましたが、これも、実行されたかどうかは今のところわかりません*3


ところで、同エントリーには「柳原滋雄コラム日記」裁判(「重要容疑者」裁判)をめぐる『フォーラム21』7月号の記事も転載されていました。第1審判決の内容が比較的詳しく紹介されているので、一部抜粋しておきましょう。

 ・・・「柳原滋雄Webサイト」内の「コラム日記」における記述が、名誉毀損にあたるとして、今年4月25日、東京地裁民事24部(荻原弘子裁判長)は、被告の柳原氏に対して原告の矢野穂積東村山市議に30万円の損害賠償を支払うよう命じる判決を言い渡した(柳原氏が控訴)。
 周知のように柳原氏は、矢野絢也公明党委員長や山崎正友元創価学会顧問弁護士などの創価学会からの造反幹部や議員、「週刊新潮」や「週刊新潮」のデスクだった門脇護氏、本誌の編集発行人である乙骨正生など創価学会に批判的なマスコミやジャーナリスト、さらには民主党共産党白川勝彦自民党代議士をはじめとする創価学会に批判的な国会議員や矢野穂積東村山市議などを、自らが運営管理するインターネットのホームページで非難・誹謗し続けている人物。
 そうした非難・誹謗の一環としてなされた矢野穂積東村山市議に対する誹謗が、名誉毀損に当たるとして損害賠償の支払いを命じられたのである。問題となったのは「柳原滋雄Webサイト」内の「コラム日記」平成20年9月13日掲載の記事。その中で柳原氏は、平成7年9月1日に、東京都東村山市の東村山駅東口の雑居ビルから朝木明代東村山市議(当時)が転落死した事件について、矢野市議を「この件ではむしろ矢野は重要容疑者の一人」と記述し、あたかも矢野氏が朝木氏の転落死に関与しているかのように記述していた。
 これに対して矢野市議は、平成21年11月、「『この件ではむしろ矢野は重要容疑者の一人』であると記載した部分は、『朝木議員の転落死について、原告が何らかの犯罪を犯し、捜査の重要な対象となっている被疑者である』と理解されるものであり、それが事実を摘示して原告の社会的評価の低下を招く記事になっている」として、東京地裁に柳原氏を被告とする500万円の損害賠償の支払いと、謝罪文の掲載を求める訴訟を提起したのだった。
 被告の柳原氏は、朝木市議の転落死事件は自殺なので犯罪性はなく、矢野氏が重要容疑者と理解する余地は無いなどと主張。「この件で矢野はむしろ重要容疑者の一人」と書いたことは、「あくまでも、朝木議員が転落死する直前に諍いを起こしていた相手が、原告であるとの疑いがあることについての、被告の意見・論評に過ぎない」などと主張していた。
 これに対して東京地裁は、記事の記述と朝木市議転落死事件の事実関係を詳細に検討した上で、「『この件ではむしろ矢野は重要容疑者の一人』という表現は、一般読者の注意と読み方をもってすれば、朝木議員の転落死について、原告が、何らかの犯罪行為、すなわち、自殺幇助のみならず、殺人、傷害致死、過失又は重過失致死等といった容疑を含む行為を引き起こしたとして、捜査機関の嫌疑を受けている『重要容疑者』である事実を指摘する表現であると解さざるを得ない」
「そして、現職の市議会議員である原告にとって、同僚であり、しかも同一会派の所属議員として親しい関係にあったはずの朝木議員の転落死に対し、その原因となる何らかの犯罪行為を引き起こしたとする嫌疑を受けていると指摘されることは、その社会的評価を低下させる名誉毀損事実であることは明らかである」として、記事には真実性も相当性もないとして、柳原氏に対して30万円の損害賠償を支払うよう命じる判決を言い渡した。
(太字は引用者=3羽の雀)


あらためて見ておくと、この裁判で問題とされたのは「柳原滋雄コラム日記」の次のような記述でした。

 確かに、司法解剖の鑑定結果によれば、両腕にアザがあった旨記載されているが、かといって争った際によく見られるボタンが飛ぶなどの痕跡は全くなかった。おそらく、このビルにたどりつく前にだれかと争った可能性も考えられるが、本人が死亡した以上、そのことを確定させることは困難と見られる(ただしそれは事件性の有無と結びつくものではなく、この件ではむしろ矢野は重要容疑者の一人)。
柳原滋雄コラム日記〈「朝木明代」はなぜ救急車を断ったのか?〉2008年9月13日付より。太字は引用者=3羽の雀。なお、文末のカッコ内の文言は、誤解を招くのを回避する目的で2010年12月30日に削除された)


「『この件ではむしろ矢野は重要容疑者の一人』という表現は、一般読者の注意と読み方をもってすれば、朝木議員の転落死について、原告が、何らかの犯罪行為、すなわち、自殺幇助のみならず、殺人、傷害致死、過失又は重過失致死等といった容疑を含む行為を引き起こしたとして、捜査機関の嫌疑を受けている『重要容疑者』である事実を指摘する表現であると解さざるを得ない」
という東京地裁の認定は、やはり相当に無理があるように思えます。控訴審(東京高裁)の裁判長も同様に感じたようで、第1回口頭弁論(7月19日)では次のようなやりとりが行なわれたとのことです。


 矢野穂積東村山市議が当コラム日記の記述で名誉棄損されたとして当方に500万円の損害賠償を求め、一審で当方が30万円敗訴していた裁判で、控訴審の1回目となる口頭弁論が19日、東京高裁で開かれた。
 最初に控訴人である当方側の控訴状や控訴理由書、相手方の答弁書などの書面提出を確認したあと、裁判長は被控訴人である矢野側に向かい、重要容疑者という記述が何らかの犯罪を引き起こしたというふうに読めるかというと「非常に疑問」と切り出し、名誉棄損たる請求原因事実について何か付け加えることはないか、被控訴人側に書面提出するよう求めた。裁判長はさらに、「原判決は重要容疑者という記述に引っ張られすぎている」との感想を口にした。次回の口頭弁論は9月27日(火)午前10時、825号法廷で行われる。
(太字は引用者=3羽の雀)


4月28日付〈「重要容疑者」裁判第1審での勝訴を矢野「市議」が例によって詳細は隠したまま報告〉で、
「要は『一般読者の普通の注意と読み方』が問題になりますので、インターネット『東村山市民新聞』裁判『フォーラム21』裁判で矢野「市議」らが逆転勝訴したのと同様、控訴審で判断が引っ繰り返る可能性も低くはないと思われます」
と書いておきましたが、この指摘がますます現実味を帯びてきたようです。


ところで、『フォーラム21』の記事では一貫して朝木明代市議の「転落死」という表現が用いられており、「殺害」「謀殺」の主張を匂わせる記述さえ見られません。『フォーラム21』裁判で問題になった記事は検証―新事実が明らかになった「東村山事件」 座談会 やはり「他殺」だった朝木明代東村山市議怪死事件というタイトルだったはずですが、今回の記事では「検証―真実が明らかになった『東村山事件』」と紹介されているだけです。もはや朝木明代市議「謀殺」説など通用しないことを、『フォーラム21』関係者も(無意識のうちに?)認めているということなのでしょう(2009年12月22日付〈裁判では「転落死」、市議会では「殺害」となぜか言葉を使い分ける矢野穂積「市議」〉も参照)。


ちなみに、『フォーラム21』の記事には
「周知のように創価学会は、訴訟に関しては自らが勝訴した場合は機関紙誌で大々的に勝訴の事実を報じるが、敗訴した場合は敗訴の事実を隠蔽する。・・・柳原氏も、そうした創価学会のご都合主義的体質に染まっているようだ」
とも書かれていますが、これまた笑わせてくれます。『フォーラム21』裁判とも関わりのある「検察官発言」裁判のほか、最近では久米川駅東住宅管理費等不払い裁判請願潰し裁判などに関して「敗訴の事実を隠蔽」し、「セクハラ市議」名誉毀損裁判ではあろうことか敗訴を勝訴と偽って報告する矢野穂積朝木直子両「市議」などは、まさにここでいう「ご都合主義的体質」の権化ではありませんか。


また、矢野・朝木両「市議」らの主張は、西村修平・街宣名誉毀損裁判対創価学会街宣名誉毀損裁判まきやすとも・機関紙名誉毀損裁判などでも次々に粉砕されてきています。創価学会のご都合主義的体質」を批判する『フォーラム21』は、これらの裁判についてもきっちり報告するべきでありましょう。

*1:【追記】7月27日付(2011/07/26 15:23:09)も同様。

*2:なお、裁判とは関係のない〈創価関連問題のお知らせ:シンポジウムの開催・カルト相談室の開設〉(2010年1月30日付、リンク先は魚拓)という記事も、なぜか削除されている。削除時期は不明。

*3:【追記】(7月31日)なんだかしょぼい展開なので追記するのを忘れていましたが、WAW〈【裁判】第2次師弟裁判、元政党副代表氏ら誹謗中傷を否定〉によれば、まだ実行されていないようです(28日現在)。