「事件は、大詰めに!」どころかとっくに「詰んでいる」と思われる朝木明代市議「殺害」説


さて、ゆっくり休んだら少し気力が戻ってきたので、矢野穂積・朝木直子両「市議」の不可解な主張について少し詳しく検討を加えることにします。


先に結論から書いておけば、今回の大騒ぎもまた、整合性のある全体像を組み立てることができず、自分達の行動との矛盾*1も説明できず、使えそうなネタを見つけ出しては無理筋の理屈をひねり出して大騒ぎするという、一貫したパターンの繰り返しだと言えそうです。


私は1年以上前に矢野穂積・朝木直子両「市議」と瀬戸弘幸氏には本当に真相解明を求める気があるか(いやない)と指摘しておいたのですが(2008年9月2日付)、今回の大騒ぎを目の当たりにして、あらためてその感を強くしました。「真相究明」など名ばかりで、どんなに無理筋な理屈であってもとにかく騒ぎ続け、朝木明代市議が「殺害」されたという印象を何が何でも維持することこそが、矢野・朝木両「市議」の目的としか思えません。市議選が1年数カ月後に迫っていることとも、何か関係があるんでしょうね(矢野・朝木両「市議」の前回の選挙公報を参照)。


では、東村山市民新聞」の12月13日付更新で新たに登場した囲み記事(トップページ)を中心に、矢野・朝木両「市議」らの言い分を順次検討していきます(追記〔12月16日〕:Tomatotic-jellyさんの報告を基本に、テキスト部分に12月15日付の更新〔2009/12/15 18:25:24〕を反映させました)。


遺族側が、懸命に追及していた殺害事件のカギを握る唯一最大の物証・「カギ束」の真相の詳細(発見者は詳細説明を拒否していた)
決定的事実がついに判明しました!
朝木明代議員が事務所に施錠して所持し、その後、行方不明となっていた問題の「カギ束」は、「現場ビル2階焼肉店裏口(階段踊り場)においていたカゴに入った使用済みおしぼりの間に入れられていた」(チバ)事実を副署長チバは裁判所に提出した書面で自ら認めました。副署長チバが、朝木明代議員が当日所持した「カギ束」について、これほど具体的に証拠事実を公表したことはこれまでにはありませんでした
所持していた朝木明代議員から「カギ束」を奪った殺害関係者以外に、すでに朝木明代議員の死亡が確認されてから数時間も経過していたのですから、しかも「警察犬が帰った後に」(チバ)はなおさらのこと、問題の「カギ束」を現場ビル2階の焼肉店裏口に置かれた「おしぼりの間に入れることができる者がいないことはいまさらいうまでもありません。
「カギ束」の経過からすると、公表すれば「自殺」説強調の副署長チバには都合の悪い事実が、まだまだ出てきそうです。
★「警察犬が帰った後に朝木明代議員の鍵束が置かれた可能性がある」(チバ)⇒「自殺説」を自ら全面的に否定!
▼「警察犬が帰った時刻の数時間も前(午前1時)に、すでに、朝木明代議員は死亡が確認されており、所持した「カギ束」を殺害されていた朝木明代議員自身が「おしぼりの間に入れる」ことはありえません。
*取消線・太字は12月15日付更新時の加筆修正箇所。


そもそも矢野・朝木両「市議」が「『カギ束』の真相」について「懸命に追及していた」という印象もないのですが、それはともかくとして、矢野「市議」らが大騒ぎしている千葉さんの陳述内容(準備書面(5))は次の通りです(Tomatotic-jellyさんによる文字おこしを一部修正)。

 鍵が発見されたのは朝木市議死亡当日の9月2日午後5時30分頃で、発見者が警察に届けたのは9月4日午前0時45分である。その後、警察が所要の捜査をしたところ、鍵は転落現場のビル2階の廊下に置いてあったカゴに入った使用済みのおしぼりの間に入っていたもので、入れられた時間は前日の1日午後1時頃から翌日の9月2日午後5時30分頃までの間であること、何者が何の目的で置いたかは解明できていないが、警察犬が帰った後に置かれた可能性がある。


さて、「草の根事務所の鍵が、平成7年9月2日夕方になってから、本件マンションの2階踊り場付近で発見されたこと」こと自体は『潮』事件判決でも言及されており、早くからわかっていました。


また、何者かが鍵束を置いたのが「警察犬が帰った後」である(可能性がある)ことは、宇留嶋さんがとっくの昔に明らかにしています。

 鍵が発見されたのは、警察が警察犬を動員して捜索した九月二日夕方。現場マンション二階の焼肉屋店員がマンション敷地内で拾ったのだった。もとより現場はそれ以前、警察犬を動員してくまなく捜索している。つまり、あとから鍵が出てきたということは、何者かが現場にやってきて置いていったということを意味していた。
(宇留嶋瑞郎『民主主義汚染』169ページ)


どうしていまさら次のように大騒ぎする必要があるのでしょうか。


朝木明代議員の「カギ束」が「警察犬が帰った後に置かれた可能性がある」とまで自供しながら、これまで「万引き苦に自殺」と頑迷に主張しつづけた副署長チバの捜査指揮とは一体何が目的だったか!!
「警察犬が帰った後」というのは「2日午前1時ころ死亡の確認された朝木明代議員の遺体」がようやく東村山警察に搬送されたころなのである。


つまるところ、今回明らかになった新事実(と矢野「市議」らが主張しているもの)は、鍵束が「カゴに入った使用済みおしぼりの間に入れられていた」というだけの話に過ぎません。鍵束がおしぼりにくるまれて発見されたというのはどうやら瀬戸サンの早とちりだったようですが、どっちにせよ、何をどのように解釈すればこれが「殺害」説を裏づける「決定的事実」になるのでしょうか。


そりゃすでに亡くなっていた明代自身が鍵束を「おしぼりの間に入れる」ことはないでしょうが、「所持していた朝木明代議員から『カギ束』を奪った殺害関係者以外に、・・・問題の『カギ束』を『おしぼりの間に入れることができる者がいない」という理屈が成立しないことは、昨日付の記事ですでに指摘しておいた通りです。


矢野・朝木両「市議」は、明代が鍵束を「所持していた」不自然なほどに繰り返していますが、そもそもそのこと自体が証明されていません。「草の根」の事務所や明代の自宅を警察が調査し、そこに鍵束が存在しなければ明代自身が「所持していた」可能性も出てきますが、宇留嶋さん千葉さんの説明によれば、警察の調査を拒否することによってその可能性を証明する機会を潰したのは矢野「市議」および遺族側です。


続いて、矢野・朝木両「市議」は次のように主張しています。

★元副署長チバは、やはり知っていた!
▼地検支部担当検事は、「カギ習得〔ママ〕関係者は「在日」なので、呼び出しても出頭しないのでため、事情聴取等捜査ができない」と矢野議員らに説明していました。が、副署長チバはやはり知っていたのです!焼肉店主は「在日」ですが、届け出たのは日本人女(M・I)だから捜査ができないはずはなかったのです。
*取消線・太字は12月15日付更新時の加筆修正箇所。


米軍や大使館の関係者ではあるまいし、「在日」だから捜査ができないということはありません。検事が本当にこのような説明をしたのかどうかはともかく(「東村山市民新聞」の迷宮〈「フォーラム21」裁判:検察官発言〉参照)、矢野「市議」ならそんなことはわかっているはずでしょう。お友達の瀬戸サンや西村サンなら信じてしまうかもしれませんが。


「呼び出しても出頭しないので、事情聴取等捜査ができない」というのが事実であったとすれば、それは単に店主が任意の事情聴取に応じず、かといって強制捜査をするような理由もなかったというだけの話です。店主が任意の事情聴取に応じなかった理由は不明ですが、矢野・朝木両「市議」は同じことをしょっちゅうやっているんですから、店主の対応を非難する資格はありません。


ちなみに、矢野・朝木両「市議」はこのあたりの話について「東村山市民新聞」事件で次のように主張していました(東京高裁判決に引用された両「市議」の主張)。

本件転落死亡事件の当日夜に、現場から約100m離れた場所にある「草の根共同事務所」の出入口の鍵をかけたのは明代以外に考えられないが、瀕死の状態で発見された明代は上記の鍵を所持しておらず、この鍵は17時間以上も経過した平成7年9月2日午後5時半ころになって現場ビル2階踊り場付近で当該ビル内の焼肉店店主によって発見され、それから2日経過した同月4日午前0時45分になって同店女性マネージャーが東村山駅前交番に届け出たとされている。しかし、その経過は極めて不自然であり、また、届出に係る焼肉店関係者は出頭を拒否したままであり、同店主は約1年後に急死するなど、事件の解明のための補充捜査は全く行われていない。


発見から届出までに時間がかかったことを「不自然」と言っているのかもしれませんが、果たしてそうでしょうか。


矢野・朝木両「市議」が今回の更新で「遺族関係者の誰にも確認もしないで、どうやって朝木明代議員の所持したカギ束だとわかったのでしょうか!」と述べているように、焼肉店の関係者にしてみれば、使用済みおしぼりの間にあった鍵束が明代のものであることなど、わかるはずがありません。客か出入り業者か誰かの落とし物かもしれないと考え、しばらく店で保管しておくのはごく自然な対応です。それでも落とし主が名乗り出ないため、普通の拾得物として警察に届け出たというのが真相なのではないでしょうか。


新規ページ〈「鍵束の捜査をしていない」と追及され、元副署長(チバ)は隠匿していた重大事実をついポロリ!〉の書きぶりを見ると、矢野・朝木両「市議」はどうやらこの焼肉店の店主・店員が怪しいという印象を醸し出したいようです。


これまで発見者(実名M・I−も判明済)も、「焼肉店(店名は店主の氏名からつけた「金龍閣」)の裏口付近」としか報道に対しても回答していなかった。報道関係者にも「遺族がくれば発見場所は説明する」といいながら、朝木直子さんが同行しても、結局、具体的な説明はしなかった。あたかも詳細に説明すると極めて都合が悪いかのような態度だったのだ。この問題の具体的な発見場所と発見状況が、ついに判明したのだ。


 「焼肉店」裏口の廊下の「カゴに入った使用済みのおしぼりの間に入っていた」という朝木明代議員の鍵束、副署長チバは、またしてもこれについた「指紋等」も調べてないということはないだろうね。「発見者」の氏名はすでに判明しているのだから。そして、「使用済のおしぼり」。いよいよ実行犯らが絞られてきた。副署長チバは、これまで、なぜ「カギ束」が「『焼肉店』裏口の廊下の『カゴに入った使用済みのおしぼりの間に入っていた』」事実を隠匿したか、これも重大な問題だ。


洋品店に対する嫌がらせを扇動するかのような発言と同様、これまた悪質極まりない印象操作ではないでしょうか。あえて「在日」ということを強調しているのも、矢野・朝木両「市議」の言い分をほいほい鵜呑みにしてくれる特定の(そしてごく限られた)人々に向けたメッセージではないかとも考えられます(文末追記も参照)。店主は亡くなったそうで、店名で検索をかけてもヒットしませんからこの焼肉屋はすでに営業していないのではないかと思いますが、そのこと自体は印象操作の妨げとはなりません。妨げになるどころか、だからこそ印象操作をやりやすいとも言えます(あんまりこういう下劣な発想をしたくはないのですが、闇を理解するためには闇に身を置いてみることも時には必要です)。


ちなみに、「副署長チバは、またしてもこれ〔鍵束〕についた『指紋等』も調べてないということはないだろうね」などと嫌みったらしく書いてますが、宇留嶋さんによれば、「警察が家族に鍵を返すといった時点ですでに指紋ぐらいは取り終わっている」そうですよ(『民主主義汚染』171ページ)。ついでに、
「指紋採取をするか、しないかは、その事件の性質などを考慮して『指紋による犯人特定』の必要性を判断した上で決することであり、全事件で指紋採取を義務付けられるものではなく、犯人特定がなされている本件万引事件で警察が指紋採取をしなかったことは捜査の常識に違背するものではない」
という千葉さんの主張も参照(凪論〈「万引きで指紋採取しなかった」ことの是非を考えるその1その2、資料屋◆bfimNvQTbのブログ〈万引き事件処理、統計からみる実像〉も参照)。


さて、矢野・朝木両「市議」はさらに次のように述べます。


★元副署長チバは、遺族に1週間以上も発見した事事実さえ知らせずに、どうやって、この「カギ束」が朝木明代議員の所持したものだと、わかったのでしょうか!
 元副署長チバを含め東村山警察の誰も、朝木明代議員が所持していたカギ束がどういうものかは、事件発生以前には全く知らなかったはずです。なぜ焼肉店員Mの届け出たカギが、朝木明代議員のものとわかったのでしょう?朝木議員からカギ束を奪い殺害した犯人でもなければ、わかるはずがない話です。
決定的事実を知りながら、なぜ、今まで一度も公表しなかったのでしょうか ! 証拠事実の隠匿は明らかですが、その前に、遺族関係者の誰にも確認させることもしないで、どうやって朝木明代議員の所持したカギ束だとわかったのでしょうか!実行犯でもなければ、朝木明代議員の所持したカギ束だとはわからないこの事実!捜査の責任者副署長チバには、どうしても具体的に詳細を語ってもらう必要があります。
*太字は12月15日付更新時の加筆修正箇所。/太字+アンダーラインは12月19日付の加筆修正箇所。


りゅうさんが指摘しているように、警察がこの鍵束を明代のものだと推測しても不思議ではありません。そもそも、千葉さんの説明によれば、警察は朝木直子「市議」に対し、
「探していた鍵らしいのが発見されたので確認に来るように」
と連絡したそうじゃありませんか(アンダーラインは引用者=3羽の雀)。連絡から3日も経ってようやく遺族らが警察を訪れ「遺族関係者の・・・確認」が済んだわけです。いったいこれ以上何を語る必要があるのでしょうか。


というわけで、囲み記事の末尾に書かれている以下の宣伝については、いちいちつっこむ必要はなくなりましたね。

★やはり、殺害の最大の物証だった!!
「自殺説」を木っ端微塵にし、高裁7民判決も吹き飛ばし、 殺害事件を決定付けただけでなく、実行犯に肉薄しうる重大事実の自白であることが、本人も自覚していなかったようですが、殺害事件の徹底究明を14年続けてきた遺族関係者は見逃すはずはありません。そんなに甘くはないのです、14年たって、「カギ束」の「捜査はした」ことを言いたいために、隠していた重大事実をうっかり公表してしましましたね。「万引き苦に自殺」というシナリオ崩壊という捜査責任者としては命取りの重大自白となってしまいました。朝木明代議員のせいにしてきたこれまでの捜査・広報の全体の洗い直しが、ついに必要という事態となってしまいました。
〔後略〕


矢野「市議」らは、「隠匿し続けることは不可能なのだ。結局、真実は発覚した!/いよいよ事件は、大詰めに!」と騒いでいますが、大詰めというより、朝木明代市議「殺害」説はとっくに詰んでいると言った方が正確なようです。



【追記】(12月17日)
りゅうオピニオン〈焼肉屋をターゲットにする矢野穂積市議らとMIDNIGHT MESSENGERの共通項。なぜ千葉氏が証拠を消す必要があるんですか?〉を見て、MIDNIGHT MESSENGERなる人物が、今回の矢野「市議」らと同じような主張を掲示板で行なっていたことを知りました。タイムマシンでスクリーンショット画像を作成できたので、宇留嶋さんがあえて省略していた部分も含めて画像を掲載しておきます。


もうひとつ、ある!「ウリシマタロー」やい 投稿者:MIDNIGHT MESSENGER  投稿日: 9月 9日(土)03時11分57秒
 あのな,あの殺人事件の現場のビルじゃ、東村山駅のそばの朝木議員が落とされて殺されたあのビルじゃ。あのビル2階で「焼肉や」の店員が朝木議員の持ってた金色のはでなわっかのついた「かぎ束」ひろたちゅうて、交番にとどけたはええが、警察のよびだしにも、地検の呼び出しも拒否したあの「焼肉や」じゃ。東村山警察の千葉のどあほが、証拠消すために、立ち入り禁止のロープも張らんかったよって、野次馬から「ブンヤ」まで、あのビル中をじゃ、さがしまわったのに、でてこんかった「かぎ束」が12時間もたって、この2階の「焼肉や」の裏口ドアあけたところで、見つけたちゅうて、駅前交番に持ってたのが、この「焼肉や」の女じゃ。名前もわかっとる。この焼きぬくや、やっとた在日韓国人が××××こと「×××」じゃ。この男も4年前の10月、総選挙のときに、心不全でしんどるのよ。おまへの仲間の××も、総選挙、まぎわじゃったなぁ!死んだのは。「うりしま・たろー」××××〔洋品店店主〕が死ぬようなことはないじゃろなー。「シアトル事件」の「クロウ」も反対尋問の前に死んだなー!それでも、東京地裁の裁判官・下田め、「掻垢」を勝たせたんじゃ、あいつは、臭い!「掻垢」じゃ。風呂に入ってない、臭い!ぷんぷん、におうぞー!


【追記2】(2010年1月20・21日)
鍵束の件については、エアフォース〈西村修平事件第6回口頭弁論〉その16その17、りゅうオピニオン〈転落死事件発生直後の「早すぎる段階」から「鍵がない」と騒ぎすぎて墓穴を掘った「可能性の高い」矢野穂積市議〉も参照。

*1:一例だけ挙げておけば、司法判断によって「他殺」が確定したなどとさんざん宣伝しておきながら、少なくとも瀬戸弘幸らが空騒ぎを始めるまでは再捜査の要求を行なわず待望の政権交代後も、検察審査会への申し立てをはじめとする具体的行動を起こした形跡がないことなど。