外国人に対する人権侵害の指摘に対して“国連で日本語が使えないのは差別だ!”とガキみたいに言い返す自称ジャーナリスト・瀬戸弘幸サン


朝木明代市議転落死事件から(ほぼ)完全逃亡を続ける瀬戸弘幸サンに続き、まきやすともも対創価学会街宣名誉毀損裁判でずるずると主張の後退を続けているようです。クロダイくん(行政書士黒田大輔)に至っては、どうやら必死でまきやすともの切り捨てにかかっている模様。チーム・クロマキー(もうすぐぼろ負けー)はすでに瓦解しているようです。りゅうオピニオンの一連の記事を参照(適宜追加)。


一方、まきやすとも・お礼参り的面談強要事件を始めとする一連の襲撃する運動の行動について考える上で重要な意味を持つ判決が、大阪高裁により言い渡されました。「三井〔マリ子〕さんの行動に反対する勢力から受けた組織的な攻撃に市が屈した」などとして、襲撃する運動勢力に対する豊中市の腰砕けな対応を厳しく批判したこの判決について、口では女性蔑視追及などと言いながらこういう連中の行政・議会対象暴力を事実上容認し続ける矢野穂積・朝木直子両「市議」はどのような感想をお持ちになるでしょうか。


重要な判決なのであらためて取り上げるつもりですが、とりあえず広島瀬戸内新聞ニュース〈豊中市幹部らの人格権侵害認め、三井マリ子さん逆転勝訴〉を参照(追記:判決書〔PDFファイル〕もアップされました)。なお、東村山市民新聞ではあいかわらず「最終更新日」の修正のみという状況が続いています(3月31日付、2010/03/30 21:19:24)。


さて、在特会等の動きが国際的な批判を浴びつつある中、瀬戸弘幸サンがガキの言い訳としか言いようのないエントリーをアップしていますので、息抜きがてら、さくっとつっこんでおきましょう。



要は、“国連は日本が外国人を差別しているとか言ってるけど、お前らだって日本語を国連で使わせないという差別をやってるじゃん!”というわけです。大人の切り返し方ではありません。


そもそも、瀬戸サンの認識は前提からして誤っています。
「最大の差別は国連の在り方そのものです。国連では日本の代表が日本語を話すことが禁じられているのです」
「実は世界の中で日本人が日本語を話することが出来ない場所があることをご存知ですか?それが国連なのです」

と書いていますが、そんな事実はありません。[http://www.un.org/ga/ropga_lang.shtml:title=国連総会の手続規則]を見てみましょう。

規則53
いかなる代表も、総会の言語〔公用語・作業言語〕以外の言語で発言を行なうことができる。この場合、総会または当該委員会の言語のいずれかひとつへの通訳を自ら用意するものとする。事務局の通訳者による、総会または当該委員会の他の言語への通訳は、最初に行なわれた当該言語〔公用語・作業言語〕への通訳に基づいて行なうことができる。


安全保障理事会でも同様の規則が置かれています(規則44)。


したがって、日本語通訳さえ自前で用意すれば、日本政府代表は日本語で演説を行なうことが可能です。瀬戸サンから電話取材ならぬ「電凸」を受けた外務省の担当者もきちんと説明してあげればよかったのにと思いますが、下手な質問に対しては不十分な回答しか返ってこないことの好例でしょう。さすがは日本に国連本部が存在すると思っていた瀬戸サンだけのことはあります。


もちろん、日本語が他の多くの言語と同様に国連公用語として位置づけられておらず、日本語で発言したければ自前で通訳を用意しなければならないのは事実です。ちなみに、瀬戸サンは知らないかもしれませんが、国連では、常任理事国の言語である英語・フランス語・中国語・ロシア語、(瀬戸サンも「電凸」の中で触れている)スペイン語のほか、同様に世界の広い地域で使用されているアラビア語が(1973年以降)公用語のひとつとされています。


日本語を他の言語とともに国連公用語のひとつに位置づけるというのはひとつの選択ですから、そういう運動をやりたければやればよろしい。もっとも、「こちらで案文をつくりますから署名に協力して頂けないでしょうか」と2006年12月19日に書いておきながら、けっきょく言いっ放しに終わったようですけれども。あらためて署名活動を開始するのなら、ほぼすべての加盟国の公用語が公用語・作業言語(現在23言語)と位置づけられているEU(欧州連合)において、通訳・翻訳等のために毎年11億2300万ユーロ(約1400億円、EUの年間予算の1%)の経費が投じられていることも踏まえて案文をお作りになればよろしいかと思います。


瀬戸サンは「日本国がフィリピン語や朝鮮語を禁止していないのは言うまでもありません」とも書いていますが、だからと言って公的機関における外国語や先住民族言語(アイヌ語等)の使用が保障されているわけではありません。特に裁判では、「裁判所では、日本語を用いる」裁判所法第73条)、「国語に通じない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせなければならない」刑事訴訟法第175条)と定められており、国連の場合と同様に日本語以外の使用は制限されています。民事裁判の場合は通訳・翻訳等の費用は自己負担ですし、刑事裁判でも、有罪判決を言い渡された被告人は(支払能力がない場合を除き)通訳・翻訳料の全部または一部を負担しなければなりません(刑事訴訟法第181条)。


また、有門大輔が次のように嘆いているところを見ると、いずれこの界隈から“日本では日本語以外の使用を禁止しろ!”という声が出てくる可能性も非常に高いと言えるでしょう。

 法的な保護や社会制度は勿論、日常的な生活においてさえも同じ日本に住みながら異なる文化(言語など)を持つ人々に対しての配慮がなされないのはおかしい−という論法で街中のあらゆる公共施設では英語に続き支那語、朝鮮語、地域によっては南米圏の言語さえ併記されるようになった。
 お陰で電車内の画面で表示される案内図は、日本語で記された路線や駅名が表示される時間が短く、とても見難くなった。
 本来的に差別問題など存在しなかった日本社会が過度に外国人に配慮した結果、今、日本人こそが差別されるような状況を生んでいるのである。
(有門大輔ブログ〈言葉狩りが目論む家族破壊と国境破壊!〉)


実際、多文化共生教育に反発する有門は、古くより日本共通の母語を獲得している日本社会で生活しようという以上、日本の言語、文化のみを重点的に学んでもらうよう“強制(きょうせい)”したいとも言ってますしね。


瀬戸サンが「国連の言うことが全て正しいなどと主張する輩は、この問題について堂々と論じてみては如何でしょう?」と書いていたので、私はそんな主張はしていませんけれども、軽く論じてみました。そもそも、“国連は日本が外国人を差別しているとか言ってるけど、お前らだって日本語を国連で使わせないという差別をやってるじゃん!”などと子供みたいに論点を逸らす人間に、「堂々と論じてみては如何でしょう?」などと言う資格はないと思いますけれども。


ちなみに、瀬戸サンが今回のエントリーの冒頭で取り上げているブスタマンテ氏(国連人権理事会・移民の権利に関する特別報告者)は、カルデロン・のり子さんと会見したほか、NPO法人「多文化共生センター東京」在日朝鮮人人権協会の関係者とも会っており、京都朝鮮学校襲撃事件の動画も見たそうです。特別報告者が国連人権理事会に提出する報告書の中で同襲撃事件について触れられる可能性は高いと思いますので、国際的に通用するような反論を今から準備しておいた方がよろしいでしょうね。無理でしょうけど(【追記】〔4月3日〕国連人種差別撤廃委員会に送付する反論文書がアップされましたが、国内的にも国際的にもまったく通用しないものでした)。


【追記】(4月3日)
ブスタマンテ氏が3月31日付で発表した声明も参照。なお、同氏は池袋・中華系商店襲撃事件で標的とされた陽光城も視察していたことがわかりました。



〔この記事は3月31日のお昼過ぎにアップしたものです。〕