【在特会4/11蕨デモ】「多用な意見」(ママ)を認めろと言う瀬戸弘幸サンは直ちに在特会のデモに反対せよ


東村山市民新聞は「最終更新日」の修正のみでした(4月10日付、2010/04/09 21:04:07)。引き続き、在特会が計画している4・11 外国人犯罪撲滅デモ in 蕨市について。桜井誠在特会会長が、例によって口汚い言葉で誤魔化しだらけのことを書いています。


昨年、不逞フィリピン人不法入国者の即時強制退去などを求めて蕨市でデモを行った際、何をトチ狂ったのか外国人犯罪者を擁護するとして反日極左がデモ隊に襲いかかってきました。反日極左が2名逮捕されるという結果は、改めて左翼人士の犯罪性向を多くの人に広めることになりました。今回も「外国人が犯罪起こしても大目に見るべき」「外国人犯罪に抗議するのは排外主義だ」などと、狂っているとしか思えない主張を振りかざして、犯罪左翼連中がデモ隊の妨害を予告しています。


在特会の排外主義的行動を批判する人々が「外国人が犯罪起こしても大目に見るべき」「外国人犯罪に抗議するのは排外主義だ」などと主張しているのを、私は見聞きしたことがありません。ずいぶん苛立っている感じですが、どうしてこんなつまらない印象操作に必死になっているのでしょうか。


“不法入国等の罪は犯したにせよ、諸事情を酌んで在留特別許可を与えるべきだ”という趣旨の主張なら行なわれていますが、これに対する賛否はともかく、このような主張を行なうことは自由です。にも関わらず、
外国人が日本で暮らしたいなら温情に感謝して大人しくしてろ、調子に乗って権利保障や生活改善を主張するようなら叩き出すぞ
と集約できる主張を、とりわけ特定の国籍の外国人や特定の民族を対象として、いささか常軌を逸した方法で(なおかつしばしば子供を直接の標的として)行なうからこそ、在特会主権回復を目指す会は批判されているのです。


在特会蕨市デモに賛同する人々は毎回のように
「この問題で『在特会』が主張していたことは、法治主義であり、法律を守りなさいという事でしかありません」瀬戸弘幸
「私どもは法律に書かれていること・・・をきちんと履行される政権こそを望む」有門大輔
などと言い訳していますが、そもそも在留特別許可は法律によって認められた法務大臣の権限です。2009年1月12日付〈最高裁判決を無視する瀬戸サンが「日本を無法国家にしたいのか?」と憤るブーメラン〉で次のように指摘した通り。

なお、フィリピン人少女が在留特別許可を求めているという今回の件ですが、在留特別許可とは、法務省のサイトでも説明されているように、「入管法第50条に規定する・・・法務大臣の裁量的な処分」です。裁判所は、強制退去処分の合法性は認めたということですが、法務大臣裁量権を行使して在留特別許可を与えることまで禁じたわけではありません(そもそもそんな権限は裁判所にはありません)。
したがって、今回の問題をどう考えるかに関わらず、フィリピン人少女を支援している弁護士が「最高裁の判決を無視し、そして法を無視しろと言っている」とまで非難するのは、言い過ぎでしょう。フィリピン人少女側は、入管法に基づいて法務大臣に与えられている裁量権を行使するよう求めているに過ぎません。それについての賛否を表明することは、もちろん自由です。
国家運営にはある程度の裁量というのが必要で、それを認めた上で、その裁量権の範囲や行使方法について議論するなら結構でしょう。しかし、行政裁量や司法裁量をいっさい認めないかのような粗雑な議論を展開していれば、検察官の起訴裁量(不起訴・起訴猶予)や裁判官裁量(執行猶予など)も許されないということになり、いろいろ困る人も出てくるんじゃないですかね。


したがって、不法滞在外国人への対応に不満があるなら、子供を標的とした報復的デモなんかやってないで、法務大臣裁量権行使のあり方をめぐって裁判を起こすなり、法改正を要求するなり、しかるべきやり方で行動を起こせばよろしい。その前に、裁判所から言い渡された仮処分決定ぐらい尊重しなさい。


なお、前掲引用記事でも軽く指摘しているように、“不法入国等の罪は犯したにせよ、諸事情を酌んで在留特別許可を与えるべきだ”という主張はそれほど突飛なものでもありません。犯罪を行なった日本人が情状酌量を求めるのは刑事裁判の常道ですし、裁判官がその主張を酌んで刑を軽減したり執行猶予を付したりすることも少なくない。検察官にも、「被疑事実が明白な場合において、被疑者の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないとき」(法務省訓令「事件事務規程」第72条)には起訴猶予とする裁量権が与えられています。


犯罪に対しては厳しく臨むべきだという主張も結構ですが、それならそれで、外国人犯罪者だけではなく日本人犯罪者に対しても同様の対応を求め、検察官裁量の廃止・制限、機械的量刑の義務づけ、執行猶予の廃止等も合わせて求めていくべきでしょう。ついでに、執行猶予5年の有罪判決を受けたことがある西村修平・主権回復を目指す会代表は、今からでも自発的に刑務所に入るべきです。たぶん入れてくれないと思いますが、そんなときこそ街宣を敢行し、
「俺様を刑務所に叩き込め〜!」
シュプレヒコールをあげればよろしい。


この件では瀬戸弘幸サンもいろいろとおかしなことを書いています。瀬戸サンがおかしなことを書くのは毎度のことですから、特に驚くような話でもありませんが。

 そろそろまとめに入ります。我々を批判するのは一向に構わない。しかし、そこにはそのような誤った断定を考え直すべきです。
 多用〔ママ〕な意見があることを認め、そこから何が間違っていて、何が正しいかの議論を行なうべきです。このカルデロン問題は日本の法を犯していることが一番の問題なのです。
瀬戸弘幸ブログ〈「反在特会」運動の誤りと対話の可能性(D):多様性を否定して「差別」にだけこだわる理由は?〉)


ほう、批判されたら逆ギレして他人に創価学会の犬などのレッテルを貼り、「草の根」の批判者はすべて「創価学会を利する人達」と見なして攻撃・糾弾すると宣言したこともある瀬戸サンが「多用〔ママ〕な意見があることを認め」ろなどと口にするとは、盗人猛々しいというか何というか。


しかも、上記引用部の直前で次のように書いているわけですからね。

 蕨市の議会において不法滞在で最高裁でも国外退去処分を受けたにもかかわらず、それを無視して不法滞在者の在留特別を求める決議をしたからこそ、蕨市において訴えたのです。
カルデロン一家〕メディアの愚劣さと保守会派の頽廃! : 新・極右評論
http://blog.livedoor.jp/samuraiari/archives/51303616.html
・・・地方政治への参加だから外国人にも参政権を−という向きもあるが、トンでもない話であり、それをこのほどの蕨市議会での不法滞在外国人問題に対する見解が示していよう。・・・市議会にはそんな不法滞在者を匿う権限がどこにあるのだろう?・・・

 それを反対派は「わざわざノリコさんが住んでいる蕨市に来てまでやったのは、彼らの差別感情だ」などと決めつける。そこには我々が人種差別主義者という断定がある。
瀬戸弘幸ブログ〈「反在特会」運動の誤りと対話の可能性(D):多様性を否定して「差別」にだけこだわる理由は?〉)


最高裁が国外退去処分を言い渡すわけはなく、法務大臣の退去強制処分に違法性はないと認定しただけです。その上で在留特別許可を与えることは前述の通り違法でも何でもありませんし、蕨市議会が「カルデロンのり子さん一家の在留特別許可を求める意見書」を採択したことも、多様な意見のひとつとして認めなければなりません。それを批判するために蕨市議会前で街宣を行なうぐらいはよいにしても、当時13才だった少女をあえて的にかけるようなコース設定でデモ行進を行なったことは、いくら取り繕おうとしても正当化は無理です。


まあ、「多用〔ママ〕な意見があることを認め、そこから何が間違っていて、何が正しいかの議論を行なうべきです」という瀬戸サンの発言については、今後は他人の多様な意見を認める努力もするという前向きな決意表明として、とりあえずは受け取っておいてもいいでしょう。というわけで、「両親と離れて暮らすのはつらいし悲しい。いつか家族3人で日本で暮らせるよう頑張るので応援してください」というカルデロン・のり子さんの希望も多様な意見のひとつとして認め、これに対する報復である「ノリコ・カルデロンの在留特別許可取り消しと速やかな母国フィリピンへの強制送還を求めるデモ行進」有門大輔)には直ちにストップをかけてください。それができなければ、けっきょく“俺達の意見だけはどんなにデタラメでも多様な意見として認めろ”というわがままな主張でしかなかったと理解します。


瀬戸サンはまた、フィリピン政府がカルデロン一家全員の帰国を希望していたという話を引き合いに出し、
何故そのことに反対したのか?
なぜ、そのことを日本のマスコミは報じなかったのでしょう

などと繰り返し述べています。はっきり言って、意味がわかりません。


「自国その他いずれの国をも立ち去り、及び自国に帰る権利」は世界人権宣言13条でも認められている基本的人権のひとつです。フィリピン政府がどのような見解を持っているにせよ、在留特別許可を与えられたカルデロン・のり子さんがフィリピン政府の見解に従って帰国する義務はありません。瀬戸サンは本来この問題というのは日本とフィリピンという国家間の問題でもあった訳ですとも書いていますが、それは、日本政府が退去強制を決定したにも関わらずフィリピン政府が自国民の受け入れを拒否した場合に限っての話です。


そもそも、瀬戸サンが紹介している記事にも書いてあるように、フィリピン外務省は「両親の決定を尊重し、娘を日本に残していくという困難な決定に至った心痛を十分に理解する」と表明するとともに、大使館に対して「のり子の状況を緊密にモニターし、必要な援助を与える」よう指示しているではありませんか。瀬戸サンこそフィリピン政府の意向を尊重し、カルデロン・のり子さんを圧迫するような行動をやめさせるべきです。
祖国フィリピンで学び両親と共に暮らし、祖国の発展に尽くすことこそが一番最適な人生ではないでしょうか?
などというのは余計なお世話に過ぎない。まして、
フィリピンは貧しい国で日本より劣っているから、日本に居たほうが彼女にとって幸せだなどと考えているのなら、それこそ我々はあなた達を軽蔑します
などと、憶測ないし妄想に基づいて他人を軽蔑したりしない方がよろしいでしょう。カルデロン一家の決断についてゴチャゴチャ言う前に、在外邦人を強制的に帰還させて「祖国の発展に尽くす」よう求める運動でも始めたらいかがですか。当然、私は賛成しませんけれども。


最後に、瀬戸サンが日本とフィリピンの入管行政の違いについて述べていることにも触れておきます。

 ここで日本国とフィリピン国の入国管理の違いを最後に述べてみたい。どちらが法に則って厳正に行なわれているかということについてです。
 他人のビザで不法に入国したフィリピン人一家の場合と日本に妻がいながらそれを隠してフィリピンでフィリピン女性と結婚したケースにおける対応の違いです。
 日本の場合はもう皆様ご存知の通りですが、ではフィリピン政府の対応はどうだったのか? 「新・極右評論」にそれが出ているので紹介します。
日刊ベリタ記事 重婚日本人の強制送還
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201002181322074
 何でも妻帯者であった日本人の男(59)=本籍・東京都=がフィリピンで現地の女と結婚(重婚)して暮らしていた問題で、日本にいる男の妻(56)が訴えを起こし、これを受けたフィリピン入国管理局が査証不備の不法滞在であるとして男を拘束・強制送還したという。
 つまり、日本でも母国に妻子がいながら日本人女性と国際結婚(重婚)し、日本での在留資格を取得する不良外国人が少なくないが、それと同様のケースで外国に不法滞在していた「不良日本人」のケースである。
 フィリピンの入国管理局は国外からの訴えに対しても、偽装国際結婚にはここまで厳正に対処して自国民の権利を守っていることの証左と言えよう。

瀬戸弘幸ブログ〈真実を報道しないマスメディアの実態:カルデロン報道で見せたマスコミの真実隠蔽工作〉、太字は「新・極右評論」からの引用)


どうやら、フィリピンは入国管理法を厳正に執行しているのに対し、日本はそうではないと言いたいようです。もちろん、日本の数例とフィリピンの一例を比較しただけでそのような結論を導き出すことはできません。日本でも、偽装結婚等を理由として在留特別許可が認められなかったケースはいくつもあります。偽装結婚で被害を受けた女性等を支援することは(詳細は把握していないので一般論として)珍しく意義のある活動となる可能性がなきにしもあらずだと思いますが、数少ない事例をもとに短絡的なことは言わない方がよろしいでしょう。


そもそも、法務省出入国管理統計統計表」に掲載された資料を見ればわかるように、日本では約3万3千人(2006年)、約2万8千人(2007年)、約2万4千人(2008年)の外国人が退去強制令書により送還されています(各年次の年報の「00-39 国籍別 退去強制令書により送還された人員」参照)。入管行政について云々するのであれば、最低限、こうした統計を参照するべきでしょう。


〔この記事は4月10日の夕方にアップしたものです。〕