NPO関係者の自宅前でレイシスト的嫌がらせ(生駒市)を行なう在特会/チーム関西と、このような団体との面会に応じてしまう行政の責任【追記あり】


東村山市民新聞では例によって「最終更新日」の修正のみが続けられています*1。よく考えたら、2007年市議選以降の4年間はむしろ例外的に更新が活発な時期だったのであって、現在のペースの方がむしろ標準なのでしょう。


また、明日(17日)は川東大了(在特会副会長)・水平社博物館前差別街宣裁判の第1回口頭弁論が奈良地裁で予定されていますが(傍聴券交付情報)、在特会公式サイトではとくに言及がありません。チーム関西のサイトでは、原告支援者によるものと思われる「差別街宣を許さない奈良の会(仮)」結成集会等の告知が何の注釈もなく転載されていました。元ネタは以下ではないかと思われます*2



さて、以下の件についてあらためて取り上げておきましょう。



どうやら日本国憲法第94条に「地方公共団体は、・・・法律の範囲内で条例を制定することができる」と書いてあることも知らず、
「この(生駒市の)住民自治条例は自治体の最高規範とある。つまり日本国憲法や法律の上にあるかのごとくの表現をとっている」([http://www.zaitokukai.info/modules/piCal/index.php?action=View&event_id=0000000809:title=在特会公式サイト])*3
などと書き、会長自身も
「[http://togetter.com/li/198060:title=住民投票で人を殺してもいいという条例が成立したら殺人罪が適用されなくなる]」
などと平気で述べるような人間の集まりですから、市役所訪問の内容はまあどうでもいいでしょう。


問題は、この一行がその後、生駒市市民自治検討委員会の委員として[http://www.city.ikoma.lg.jp/kashitsu/01400/07/01.html:title=生駒市自治基本条例](2009年6月可決)の検討に参画していた在日韓国人女性の自宅(NPO法人の連絡先を兼ねる)に押しかけ、およそ15分ほども大騒ぎを繰り広げたことです。[http://d.hatena.ne.jp/three_sparrows/20111014/p1:title=前回の記事]でaramasanさんのツイートを追記しておきましたが、私も[http://www.zaitokukai.info/modules/news/article.php?storyid=548:title=関連の動画]を確認してみましたので、aramasanさんのツイートを再掲しつつ、少し詳しく見ていきます。


動画その3ですが、市役所前で街宣をやっていた仲間に対し、自称桜井会長が
「街宣中止! これからねえ、NPO法人行くから!」
と支持を飛ばし(2分45秒あたり)、移動を開始します。
「韓国人にね、馬鹿にされて黙ってるような日本人ばっかりじゃないってことをね、ちょっと思い知らせてやらないと気が済まない」(桜井、4分9秒あたり)
というのが訪問の目的です。


生駒市市民自治検討委員会は35名の委員から構成されていたもので、生駒市自治基本条例でいう「市民」
「地方自治法上の『住民』(市内に住所を有する人で、外国人市民や法人も含みます。)のほか、市内に勤務している人や市内に通学している人、市内で市民活動や事業活動などを行っている個人や団体」(「生駒市自治基本条例案に対する意見と検討委員会の考え方について」〔PDF〕より)
と定義するよう提案したのは、検討委員会の総意に基づくものです。その中からたった1人の在日韓国人委員をピックアップし、「思い知らせて」やることを目的として訪問するというのですから、レイシスト的動機に基づく行動であることは明らかでしょう。


このような行動に至った経緯について、桜井は次のように説明しています(5分35秒あたりから)。


「『自分が生駒市でこの問題についてやるのは悪くないでしょう』って言うから、あんた外国人でしょうって」
「延々そこでずっとやりあってて、最後……NPO法人の冊子に書いてあんですよ、電話番号と住所が。で、書いてあるから、行ってよろしいんですね、行きますよって言ったら、『ああ、来るならどうぞ。役所の人間呼んどく』って。ああ呼べ呼べって」


実際にこのようなやりとりがあったにせよ、京都朝鮮学校・徳島県教組襲撃事件で執行猶予付判決(確定)を受けたにも関わらず反省の色がまったく見えない犯罪者6名を含む総勢20名弱の集団が押し掛けてくることを、果たして在日韓国人女性側は了解していたでしょうか。後述するように、桜井は自宅前でも“呼ばれたから来た”という趣旨のことを繰り返していましたが、おためごかしにしか聞こえません。


女性宅に向かう間も、一行はNPO法人の名称と女性の個人名を拡声器で連呼しながら移動しています。たとえば動画その4では、道に迷った腹いせもあってか、
「こらぁ、×××(個人名)、出てこい!」
とどすのきいた声で怒鳴ったり、
「安否が心配で、いま捜索中でございます。NPO法人〜(名称)・×××を捜索しております。×××さん、あなたの体が心配なんです。全力で私たちはあなたを助け出しますから」
などと演説したりしていました(5分40秒あたり)。
「×××! どこにおんのや、お前! 手間かけさせやがってこのアホー! ×××!」(7分あたり)
とも怒鳴っており、嫌がらせ以外の何ものでもありません。


動画その5でようやく閑静な住宅街にある目的地にたどり着き、一行の大騒ぎが始まります。


桜井が、
「別にね、私は自宅街宣してないんだよ。喧嘩しに来てるわけじゃないから、そういうところは川東さんが仕切って」
と言いながら呼び鈴を何度か押しますが(4分40秒あたり)、もちろん返事はありません。そこで周囲の連中が
「×さーん! ×さん、いますかー!」「大丈夫ですかー!」
などと騒ぎ始めます。川東大了は、
「ひょっとして倒れてませんかー、中で? くも膜下出血で倒れてるんですか?」
と叫び、続いて「返事なかったら、でも……」と言いかけて途中で止めていました。何か法的にまずいことを言いそうになり、自制したのかもしれません。それ以外の連中も、
「おまえ委員出席して給料もろとるんやからな、生駒市民の質問に回答する義務があるぞー」(西村斉)
「そうだー!」(クロエ)
「市民の声、届けに来ましたよ」
「市民の声聞いてください、×さん」

などと口々に叫んでいました。


7分35秒あたりから、再び桜井が演説を始めます。


「あのね、我々は別に自宅街宣するつもりも何にもないんだ。これだけ大勢来てるのはね、反対してる人間がこれだけいるってことを見せるためなんだよ。別にね、君にね、危害加えるつもりも何にもない。大人しく出てこい。君がだいたい私呼んだんじゃないかよ。役所の人間も呼ぶっていうから、役所の人間いるぞ、ここに。何で隠れる必要があるか? 私さっき電話で言ったろ? 君ね、生駒市役所に行ってね、堂々とね、委員になってやってるんだったら、私と堂々と話すりゃいいだけの話だろうよ。間違ったことやってるわけじゃないだろ? 恥ずかしがる必要ないんだよ。出てらっしゃい。別にね、カメラで写そうとかいう気はない」


動画その6に移っても騒ぎは止まりません。


「あなたね、いるのわかってるんだよ。ガスメータがくるくるくるくる回ってるんだよ、電気メーターが! ×さん、どこ行ってるんですかー? パチンコですかー? パチンコ行ってるんですかー? 電気メーターがくるくるくるくる回ってるの、わかってるんだよ!」(西村斉)
「居留守使うんだったらねえ、ちゃんと電気とか止めてからにしなさい!」(クロエ)


周りでは、救急車や消防車を呼ぶことをほのめかす声や、「集金です!」などの声も聞こえます。


どこの闇金でしょうか。


2分25秒あたりから、次のような会話も交わされました。


桜井「ここで街宣やってもいいけど、あなたたちが困るでしょ」
西村斉「いや、ほんまはやらなあかんですよ。僕らは今日やらなあかん」
桜井「私はね、個人的信条としてね、基本的に自宅街宣はやらないと」


桜井(役所の関係者らしき人物に対して)「止めろも何も、向こうが悪いんでしょ」
西村斉「いやいやいや、まあまあ、日本はもうそういうレベルちゃうんですよ。僕らの常識はもうちゃうんですよ。レベルがちゃうんです。原因作ってるの向こうやからね。このレベルを当たり前にせなダメ。悪いことしたらこれぐらいは当たり前にせなダメなの」


やはり西村斉に執行猶予をつけたのは間違いだったと言うべきでしょう。


その後も、
「くるくるくるくるメーターが回ってるんだよ! いるのはわかってんだよコノヤロー! ×さん、パチンコですかー? 雄琴のソープランドですかー?」(西村斉)
「近所の方も迷惑してますよ!」(川東)
などとしばらく騒いでいましたが、4分30秒あたりで桜井もそろそろ撤収することにしたようで、最後に次のように叫んでいました。


「でもね、中でね、×さんも聞いてるだろー? さっき私とね、つい1時間前だよ、電話で話をして、来いって言ったろ? 生駒市役所の人間もね、ついでに言えば奈良県警の人間もね、ずらりと並んでる。何の問題もないはずなんだよ。そうだろ? 国民の税金もらってね、君、審議委員会の委員やったんだろ? 国民の金もらったんだろ? 堂々とね、ここに出てきて説明すりゃいいだけだろうよ。ましてや君が来いって言ったんだぞ? 何で出てこないよ? 逃げる必要なんかないだろ? あのね、逃げるってのは恥ずかしいことなんだよ。男であれ女であれ関係ない。君は×××としてね、審議委員会に関わって住民投票条例進めてきたんだろ? それについてお話がありますって言ってるだけじゃないか」


流し街宣(川東)や道に迷うふりをした流し街宣(ブレノ)についての提案があったことはaramasanのツイート通りですが、結局大人しく駅前に移動することにしたようです。以上、自宅襲撃の概要でした。


それにしても、京都朝鮮学校襲撃事件で家宅捜索を受けた時には
「一私人の家に来て勝手にカメラを回すのは人権侵害」
などとテレビ朝日に対して文句を言い、ネットで自宅の住所がバレそうになった時も中核派に殺されるなどと大騒ぎしていた桜井が平気でこんな動画を流させるのですから、愛僕無罪ぶりは相変わらずです。


さらに、襲撃に参加していたクロエ(中谷良子)は自分のブログで女性の氏名・顔写真・住所を晒し、さらなる抗議を煽動しています。これがレイシスト的動機に基づくものとしか判断できないことは、前述の通りです。



仮処分申立てをはじめとする法的措置を検討することが望ましいかと思われます。


ちなみに、生駒市では去年も今回と同じようなメンツが市議宅に自宅街宣をかけるという事件が起きていました。



関係者・関係機関がこの時にしかるべき対応をとっていれば、今回の事件はひょっとしたら防げたかもしれません。また、重ねて述べてきた通り、このような行為をあちこちで繰り返している社会運動標榜ゴロのような連中との面会に、生駒市役所はそもそも応じるべきではありませんでした。


少なくとも今後、生駒市役所は在特会/チーム関西関係者との交渉に一切応じるべきではありませんし、他の自治体も同様の対応をとるべきでしょう。市民の平穏な生活を守ることは自治体の重要な責務です。10月5日付〈[http://d.hatena.ne.jp/three_sparrows/20111005/p1:title=在特会に対する行政の毅然とした対応は広がるか]〉も参照。


【追記1】
在特会奈良支部およびチーム関西が近鉄生駒駅前で連続「街宣+α」を計画していることを書き忘れていたので、追記しておきます。




【追記2】(10月28日)
[http://www.hige-toda.com/x/c-board/c-board.cgi?cmd=one;no=6827;id=01#6827:title=戸田ひさよし門真市議の報告]([http://www.hige-toda.com/x/c-board/c-board.cgi?cmd=one;no=6828;id=01#6828:title=続き]も参照)によると、生駒市側は次のような趣旨の通告書を在特会に対して送付したとのことです。毅然とした対応に敬意を表します。この機会に、まとめWiki〈[http://www2.atwiki.jp/kusanonemaze/pages/128.html:title=自称「行動する(社会)運動」の襲撃事件等:関西編]〉に在特会・「生駒市市民自治検討委員会」委員宅襲撃事件(2011年10月12日)を追加しました。


*1:10月15日付(2011/10/14 18:06:35)・10月16日付(2011/10/15 17:35:49)・10月17日付(2011/10/16 13:54:37)。

*2:なお、口頭弁論を「公判」と書き、民事裁判であるにも関わらず「名誉毀損罪で告発し」と書くなど初歩的な誤りが目立つ点は、今後改善が望まれる。

*3:実際の規定(第3条)は以下の通り。「この条例は、生駒市におけるまちづくりの最高規範であり、市は、他の条例等の制定改廃に当たっては、この条例を尊重し、整合を図らなければならない」