幻の「決定打!」完全不発記念新スレ(12)


【注/以下の記事は、掲示板「職業差別を許しません!」の〈ウォッチ継続・幻の「決定打!」完全不発記念新スレ〉に投稿したものを、必要最小限の修正を加えた上、各投稿を行なった日付の記事として当ブログに再掲したものです(2009年3月)。これ以外のスレッドについては〈「職業差別を許しません!」スレッドガイド〉参照。】


寝ている間に新たなページが。どうもツッコミどころが多すぎて困りますね(苦笑)。


判例その2〔現在の「判例1」〕


これは、ホテトルのピンクチラシを印刷した業者について、売春周旋罪の幇助が成立すると認定した東京高裁判決(東京高判平2・12・10)ですね。「判決全文」のページでも途中までしか掲載されてませんが。なおかつ、有償データベースのデータをプリントアウトし、スキャンしてそのまま掲載するという、堂々たる知的財産権の侵害(苦笑)。


こっちが待ってるのは、「性風俗はすべて職業安定法上の有害業務」で、「それを求人目的で宣伝することは処罰対象」であることを認定した、「最高裁判決を含め多数の判決」なんですけどね。まあこの主張が口からでまかせであることはもう確定していますが、だったらそれを引っ込めた上で、新しい資料を出してきたらどうなんでしょうか。


それ以前に、薄井市議の追い落としに使えそうな判決をかたっぱしから漁っている暇があったら、ちゃんと市議としての仕事をしてはどうなのか。まあ、市議としてまともな仕事をする気がないことも、もうみんなわかっているんですが。


さて、上記判決についてシンブンは「かの有名な事件の判例です」と書いています。あたかも最初から知っていたかのようですね(微笑)。


確かにこれは、どこまでが「幇助」(犯罪の実行を容易にさせること)に当たるかをめぐる議論でしばしば引用される判決です。最高裁でも1993(平成5)年6月に確定したようですが、矢野・朝木両「市議」には調べられなかったようです。最近では、ファイル交換ソフトWinny」の開発者が起訴された事件をめぐって、よく参照されています。


いずれにせよ、この判決を薄井市議に適用しようとするなら、橋本さんも指摘しているように「性風俗=売春」という前提がなければならず、なおかつ薄井市議の側に故意があったことが立証されなければなりません。そんな立証はされていませんから、ここで詳しく論ずる必要もないでしょう。


それ以上に、こんな判決を嬉しそうに引っ張ってくることがそもそも問題です。私もこの判決が出たときのことを記憶していますが、そのときは、「言論・表現の自由に照らしてこのような判決に問題はないのか」という議論が主に交わされていたように思います。実際、そのような観点から本も出版されています(読んでませんが)。


清水英夫編著『全検証ピンクチラシ裁判――言論・表現の自由はこうして侵害された』(一葉社・1993年)
「1986年12月、街の小さな印刷業者が、俗にいう“ピンクチラシ”を印刷したかどにより売春防止法違反幇助罪で起訴され、93年6月、最高裁で有罪判決が確定した…。決して黙認できない裁判、ここに、そのすべてを検証し記録する。 」


それはそうでしょう。ようするにこの判決は、ある表現が違法にあたるかどうかを印刷業者に判断するよう求めている、つまりは印刷業者に検察官・裁判官としての役割を担わせているようなものですから。持ち込まれたものを何でもかんでも印刷すればいいとは私も思いませんが、何が「幇助」に当たるかというのは罪刑法定主義にも関わる重大な問題であって、慎重な議論が必要です。


つまるところ、この判決の論理を推し進めていけば、「東村山市民新聞」を印刷してくれる印刷所などなくなってしまいますよ。いつ名誉毀損罪の幇助でつかまるかわかりませんからね。東村山周辺の印刷業者は注意したほうがいい。印刷代金を踏み倒すような人たちですから、とっくに注意してるかもしれませんが。


*宇留嶋瑞郎「東村山『草の根市民クラブ』による選挙ポスター印刷代金踏み倒しの顛末


【この投稿に対する松沢呉一さんのコメント】

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松沢です。


矢野・朝木って、著作権のことをまったく理解できてないみたいですね。著作権法は自分勝手な解釈が入り込みやすい法律なので、「オレらは新聞だから報道だ」などと考えていたりしそう。


しかし、彼らが理解できていないのは、著作権だけではありません。何事もまったく理解できていません。


この問題においても、「ピンクチラシ事件」を持ち出して、一体なんのつもりでしょう。「風俗産業はすべて売春だから、その宣伝用印刷物を手掛けた印刷所はすべて幇助になる」という判決が出たというのならともかくとして。


さらには3羽の雀さんが指摘するように、この判決には大いに問題があって、幇助の無制限な拡大は、恣意的な摘発ができる社会を到来させてしまい。自由な表現、自由な行動を制限します。


表現の自由や人権なんてことをこれっぽっちも考えてない矢野・朝木だからこそ、こんな事件を持ち出したのでしょうね。その程度の人たちです。


こいつらって、「単に理解できていない」のか、「わかっていながら、騙されたり、攪乱されたりするのがいることを狙ってやっている」のか、どっちなんですかね。どうも前者なのではないかと思い始めてます。マヌケすぎますので。

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【追記】
今回の件は、N700さんがシンブン公認ブログに投稿して注意喚起し、第一法規にも通報されたようです。例によって未承認なので、シンブン非公認ブログからその投稿内容を紹介。

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http://www.geocities.jp/higashimurayamasiminsinbun/page133.html
嬉しそうに貼ってますが、D1-Lawの利用規約違反ですよ。
第一法規に通報します。
法律云々言う前に、自分が決まりごとを守れないんでは話になりませんね。


N700
2007/08/19 08:45

                                                                                                            • -


ところで、朝木「市議」が紹介議員となった6月19日付の請願では、薄井市議に辞職を要求する3番目の根拠として、「知的財産権侵害を奨励する姿勢はコンプライアンス精神を無視する愚行であり市議として甚だ不適任である」というのが挙げられていましたね。


矢野・朝木両「市議」は、シンブンの発行人・編集人として、「奨励」どころか自ら「知的財産権侵害」を繰り返しているわけですが、どうするんでしょうね。私も、この人たちは自分が何をやっているのか「単に理解できていない」人たちだと確信するようになりました。