幻の「決定打!」完全不発記念新スレ(15)


【注/以下の記事は、掲示板「職業差別を許しません!」の〈ウォッチ継続・幻の「決定打!」完全不発記念新スレ〉に投稿したものを、必要最小限の修正を加えた上、各投稿を行なった日付の記事として当ブログに再掲したものです(2009年3月)。これ以外のスレッドについては〈「職業差別を許しません!」スレッドガイド〉参照。】


ひと仕事終わったので、いちおう朝木「市議」が国会図書館でいっしょうけんめい探してきた裁判例について、まとめ的にちょっとだけコメントしておきましょうかね。


一連の裁判例からして、〈女性従業員が全裸またはそれに近い姿態で不特定多数の男性に手淫・口淫等の性的サービスを提供するような業務〉が「衆道徳上有害な業務」と判断される可能性は高いと言ってよいでしょう。


しかし、それをもってして「性風俗はすべて有害業務」と言うことはできない。性風俗にはこれ以外の形態のものもあるわけですからね。


そして、これらの「有害業務」は、風営法をはじめとする関連法規に違反していないかぎり、合法である。そのことは、このスレッドの3ページ目で紹介した東京高裁判決(東京高判平3・5・9)でも確認されていますし、朝木「市議」が探し出してきた「判例7」(福岡高判昭60・3・12)でも次のように指摘されているとおりです。

                                                                                                            • -

手淫や口淫は性交ではないから対価を得ても売春ではなく、法律によって直接禁止されたものでないことは所論指摘のとおりである

                                                                                                            • -


このような有害業務に就かせることを目的として「職業紹介、労働者の募集もしくは労働者の供給」を行なえば、職業安定法63条2号にもとづいて処罰される場合があります。しかし、「有害業務の求人目的の宣伝行為は処罰対象」などという珍妙な法解釈はどこをどう引っくり返しても出てこない。そもそも「求人目的の宣伝行為」という表現が意味不明なのですから、当たり前です。いずれにせよ、薄井市議が職業安定法に違反したという証拠はまったく提示されていない。


それ以上に、矢野・朝木は職業安定法63条2号の立法目的をわかっていません。矢野・朝木両「市議」が最初に喜んで引っ張ってきた神戸地裁判決(神戸地判平14・7・16)でも「職業安定法63条が専ら労働者保護を目的とする規定であること」が指摘されていますが、「判例6」(東京地判昭41・12・16)はさらにはっきりと次のように述べています。

                                                                                                            • -

職業安定法63条2号の〕立法目的は畢竟(ひっきょう)労働者保護の見地に立って公共の福祉を維持するために、かかる有害な業務に就かせる目的で労働者の募集、職業の紹介等の行為をすることを処罰し、副次的には公衆道徳の維持に資せんとする趣旨のものであることは明らかである。

                                                                                                            • -


このように「衆道徳の維持」はあくまで「副次的」な目的であって、主たる目的は「労働者保護」なのですね。


ところが、矢野・朝木にはこのような視点がまったくありません。ただもう「有害業務」「違法」などと騒ぎまくって、「有害業務は職業とは認められない」「批判されたり、存在が否定されたり、差別されるのがいやなら、その『性風俗=売春』業をやめればいいだけの話です」などと言い捨てる始末。



矢野・朝木は、自分たちが引っ張ってきた裁判例もまともに理解できないのか。まあ、いちいち確認するまでもなく、そんなことは最初からわかっていますけど。


こんな調子で、何が「女性の人権・尊厳」でしょうか。こんな連中が市議会に議席を占めていることこそ、「衆道徳上有害」ですね。