どうみても負け惜しみ?
どうみても実質敗訴なので黙殺するだろうと思っていたら、「どうみても実質勝訴!」という予想外の主張を繰り出してきた矢野・朝木両「市議」。15万円差し出しながら「よっしゃ、今日はこれぐらいにしといたるわ」とうそぶいているような感じがします。東村山新喜劇でしょうか。
■創価擁護記事ライター実質敗訴で幕!
http://www.geocities.jp/higashimurayamasiminsinbun/page165.html
矢野・朝木両「市議」の特性をわかりやすく示すひとつの例だと思うので、シンブンのこの記事をもう少し検討しておきましょう。日付が変わるころに更新しようと思ってこの記事を書いていたら、ついさっき(15日午後7時20分ごろ)シンブンも「最終更新日」が16日付に変わったので、こちらも早めにアップしておきます。ちなみにトップページの見出しは次のように修正されました。さすがに「しましした」のままではきまりが悪いですよね。
「草の根」の斗い ⇒ どうみても実質勝訴!終結しました。例の人物、4件提訴したものの・・・
本件は、いずれ「エアフォース」で詳細が明らかにされると思われる「名刺広告強要事件」等をめぐって宇留嶋瑞郎氏が矢野・朝木両「市議」を訴えていた裁判のようです。シンブンでは「創価擁護記事ライターが本人訴訟で、草の根・矢野、朝木両議員を提訴していた合計4件の名誉毀損訴訟」としか書かれていないので、何がなにやらさっぱりわかりませんが。いったい何を隠したいんでしょうか。
まず今回の和解の内容を要約しておくと、次のとおりです。
(1)原告(宇留嶋氏)も被告ら(矢野・朝木両「市議」)も、「今後、相互に対して違法に名誉やプライバシーを侵害する記事を執筆ないし掲載しない」。
(2)原告(宇留嶋氏)は、被告ら(矢野・朝木両「市議」)に対する取材活動を行なう際、市議会本会議場では「議事の進行を妨害するような態様で写真撮影しない」。また本会議場の外では「被告らから半径2メートル以内の場所でフラッシュをたくなどして写真撮影しない」。
(3)被告ら(矢野・朝木両「市議」)は原告(宇留嶋氏)に対し、「本件訴訟費用相当額等として」15万円を支払う。
(4)原告(宇留嶋氏)は被告ら(矢野・朝木両「市議」)に対する他の請求を放棄する。
(5)原告(宇留嶋氏)と被告ら(矢野・朝木両「市議」)の間には、「本件に関し、本和解条項に定めるほか」、何らの債権債務もない。
(6)訴訟費用は各自で負担する。
まず(1)については、「違法に名誉やプライバシーを侵害する記事を執筆ないし掲載」してはいけないのは当たり前で、それをあらためて確認したにすぎませんから、たいした勝利とも思えない。そもそも宇留嶋氏のことを「創価擁護記事ライター」と書いている時点で、さっそく同氏の名誉を侵害しているのではないかと思われます。実名を出さなければ何を書いてもいいと思ってるんでしょうか。容易に特定可能な匿名は「匿名」とは言えませんよ。
(2)については、これも取材の際に守るべきマナーを確認しただけのことですから、そんなに勝ち誇るような内容でもない。依然として、2メートル以上離れれば写真撮影もできるわけですし。
(3)については、「等」の1字がキモですね。このへんは和解交渉の過程でひと悶着あったのではないでしょうか。いずれにせよ、ここに損害賠償的な意味合いを読み取るのは不自然ではないように思われます。
(4)〜(6)はとりあえずおいときましょう。
このような和解条項を踏まえ、矢野・朝木両「市議」は次のように書いています。
裁判所が……提示した下記の和解条項の内容は、全面的に両議員(被告)側の実質勝訴となっていて、自分達が同ライターを提訴した以上の和解内容となったため、4件の提訴の際にかかった印紙代、切手代などを両議員が負担することを受け入れ、訴訟全部が終結しました。
矢野・朝木両「市議」の“戦果”といえば、記事等の取材・執筆・掲載に関わる常識的な内容が確認されたこと以上のものではありません。逆に15万円を払わされた上に、「裁判の経過を公表しないでほしい」という主張も受け入れられなかったとなれば、やはり負け惜しみにもほどがあると言わざるを得ないのではないでしょうか。
ちなみに矢野・朝木両「市議」は「自分達が同ライターを提訴した以上の和解内容」と書いています。ということは宇留嶋氏のことを訴えていて、今回の和解にともなってそれを取り下げたのではないかと思われますが、そのことは書かれていない。どのような根拠で何件の訴訟を起こしていたのかも不明です。いったい何を隠したいんでしょうか。
(追記:しかしよく考えると、矢野・朝木両「市議」側も同時に宇留嶋氏を訴えていて取り下げたのだとすれば、そのことが和解条項に含まれるはずですね。ということは実際には提訴しておらず、「自分たちが同ライターを提訴していたとしても、これ以上の成果は望めなかった」という趣旨でしょうか。安い〈斗い〉ですな。)
なお、シンブンの記事には次のようにも書かれています。ひょっとしてこれが「実質勝訴」の最大の根拠でしょうか。
裁判所が創価擁護記事ライターに対してはっきりと「『朝木明代議員が自殺した証拠はない』と断定し月刊タイムズの敗訴が最高裁で確定した判決の後は、『朝木明代議員は自殺した』とは書くことはできませんよ」と指摘をした
ちなみに「月刊タイムス」ですね。裁判所がこのような指摘を行なったのかどうかは知りませんが、いずれにせよ和解条項には盛り込まれていないので、やはり「実質勝訴」とは言えない。
それ以前に、裁判所がこのような指摘を行なったというのもにわかには信じがたい。「職業差別を許しません!」の〈朝木・矢野両市議関連裁判まとめスレッド〉では、これまで矢野・朝木両「市議」が関わってきた多くの裁判のごく一部について集約作業が進められていましたが、それによれば「月刊タイムス」事件の最高裁判決は次のような趣旨です。
【追記】(2009年8月18日)『月刊タイムス』事件については、朝木明代市議万引き被疑事件・転落死事件 まとめWiki〈『月刊タイムス』事件〉および「東村山市民新聞」の迷宮〈『月刊タイムス』裁判〉を参照。(追記終わり)
●2005.05.13 最高裁(確定) 「月刊タイムス」事件
『月刊タイムス』の記事に関して、矢野穂積・朝木直子が、月刊タイムス社と宇留嶋瑞郎(執筆者)を名誉毀損で提訴。「明代の万引き」「明代のアリバイ工作」「矢野のアリバイ工作関与」「万引きを苦にした自殺」を疑う相当の理由がある(=名誉毀損にあたらない)としつつ、「矢野のアリバイ工作主導」については名誉毀損を認めた。
これについては宇留嶋氏自身が別のスレッドで地裁判決の抜粋(最高裁判決も同旨と思われます)とともに解説してくれていますので、それもいちおう掲げておきましょう(丸付数字はカッコ付数字に変更)。
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主要な争点は(1)朝木明代の万引きは事実か(2)朝木明代のアリバイ工作は事実か(3)矢野はアリバイ工作に関与したか、あるいは主導したか(4)朝木明代は「万引きを苦に自殺したか」――等でした。これらの争点に対する東京地裁の判断は以下のとおりです(判決文を引用=平成15年11月28日判決言渡し)。
(1)(朝木明代の万引き)
〈被告(万引き被害者)が犯人と亡明代の同一性を間違える可能性は極めて低く、目撃者も3名存在することから、本件窃盗被疑事件の犯人は亡明代ではないかとの疑いが相当の根拠をもつものということができる。〉
(2)(朝木明代のアリバイ工作)
〈(上記から続く)そして、そのような疑いが、ひいては、本件窃盗被疑事件があったとされる時刻に、亡明代が本件レストランで原告矢野と食事をしていたとのアリバイが虚偽ではないかとの疑いを招き得るところであり、さらに、亡明代が平成7年7月4日の取調べにおいて、自ら上記アリバイを裏付けるものではない本件ジャーナル(レシートみたいなもの)を警察に対して任意提出して、上記アリバイを主張していたことは認定のとおりであり、原告矢野が、4通もの詳細な陳述書を提出し、本人尋問において供述もしているにもかかわらず、本件レストランにおいて亡明代と食事をした際の状況について具体的に述べないのは不自然であることといった、亡明代が虚偽のアリバイ主張をしていたことをうかがわせる事情が存在することは、否定できない。〉
(3)(矢野のアリバイ工作主導)
〈(上記から続く)しかしながら、原告矢野が亡明代とともに政治活動をしていた事実、及び原告矢野と一緒に本件レストランで食事をしていたという上記アリバイの内容を併せ考慮しても、原告矢野が亡明代の虚偽のアリバイ工作に関与したとまで認定することは、難しいといわざるを得ない〉
(矢野のアリバイ工作関与)
〈被告会社らにおいて、亡明代が虚偽のアリバイ主張をしていたと信じるにつき相当の理由があったと認められる。
そして、原告矢野が日頃亡明代とともに政治活動をしており、被告宇留嶋も当然これを認識していたと認められること、及び原告矢野と一緒に本件レストランで食事をしていたという上記アリバイの内容に照らせば、被告会社らにおいて、原告矢野が亡明代の虚偽のアリバイ工作に関与したと信じるにつき相当の理由があったと認められる。〉
(4)(万引きを苦に自殺)
〈被告会社らにおいて、亡明代が、原告矢野の関与のもとに主張していたアリバイも虚偽であることが判明し、本件窃盗被疑事件を苦に自殺したことが真実であると信じるにつき相当な理由があったと認められる。〉
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「朝木明代議員が自殺したことが真実であると考える相当な理由はある」と認定されています。抜粋箇所以外で「朝木明代議員が自殺した証拠はない」という趣旨の判示もあるのかもしれませんが、2007年6月20日の東京高裁判決も曲解してでたらめな主張をする人たちの言うことですから(こちらの記事参照)、判決文そのものが提示されないかぎり信用することはできません。
というわけで、今回の和解はやっぱりどこからどうみても矢野・朝木両「市議」の全面的実質敗訴と理解するのが妥当ではないでしょうか。