陰謀妄想と疑心暗鬼の行き着く先は?


話題の『FORUM21』5月号、どこかで売ってるなら買ってみようかなとも思いましたが、佐藤市議ブログの5月13日付記事と、「黒子の部屋」(松沢呉一さん)の「『創価体質』の人々1」「『創価体質』の人々2」を読んだら用が足りたので、やめました。なるほど、インターネットは便利。


ずいぶん言いたい放題を言ってるようですが、シンブンHPのほうは今日も「最終更新日」の修正のみ。りんごっこ保育園のHPにもとくに動きはなさそうです。言いたいことがあるなら、『FORUM21』みたいな“カルトチック”な媒体ではなく、ウェブサイトで言えばいいのに。


さて、昨日の記事でもちょっと抜粋しておきましたが、りんごっこ保育園の運営委員であり高野博子りんごっこ保育園長の同居人でも有る矢野穂積「市議」は、『FORUM21』で次のように書いているそうです(佐藤市議ブログより、改行は省略)。

1月から3月にかけて、この保育園の保護者の一部、保育園職員の一部、外部の人間らが共謀して計画的に、りんごっこ保育園の認可取消を狙った、不穏な動きのあったことを強く指摘しておく必要がある。詳細は省くが、すでに職員の中にはこの動きに関与した事実を書面で認めた者もいるほどなのである。・・・担当所管の児童課の職員の中にも彼らと連動するかのような者までいる。


矢野「市議」が詳細を省いてしまっているので、「不穏な動き」というのが何なのか、よくわかりません。ということで、現時点でわかっていることを時系列でまとめてみましょう。りんごっこ保育園名誉毀損裁判勝訴判決(2月29日)と同補助金等交付裁判敗訴判決(4月18日)は、「不穏な動き」とは関係なさそうなので、省きます。


1月31日:りんごっこ保育園の保育士3名と栄養士1名が退職。認可基準にしたがえば同園では保育士が最低10名必要なので、翌2月1日の時点で保育士が3名不足する事態に。
2月8日:高野園長、東村山市保健福祉部に「職員の構成」(2月1日現在)と題する文書を送付。しかし保育士は8名しかおらず、看護師1名を保育士と数えても、基準には1名満たないことが判明。
2月13日:市保健福祉部が同園を訪問し、保育士が不足している事実を確認。
2月18日:市保健福祉部、認可権者である東京都と協議の上、「りんごっこ保育園職員等の改善について(通知)」と題する指導文書を送付。「2 改善を要する事項」として、〈児童福祉施設最低基準第33条第2項及び保育所設置認可等事務取扱要綱の規定のとおり、保育士資格を有する職員を現在より3名以上配置し、園全体で10名以上の保育士有資格者を確保すること〉を指導。
2月20日:高野園長、市保健福祉部に対し、「事務連絡(常勤職員等について)」と題する文書を2月18日付で送付。2月1日付で2名の保育士を採用したと主張するとともに、市保健福祉部の指導は違法として「返上」。しかし2月8日に提出された「職員の構成」には、2月1日付で採用したとする保育士2名は含まれていなかった。(以上、エアフォース「りんごっこ保育園問題とは何か」第1回第2回より)
2月下旬:りんごっこ保育園、「年度末にかけて新任予定保育者が保育研修に全力で取り組んでいます」「苦情があったら第三者委員に申し出てください」という趣旨の2枚の貼り紙を掲示。(東村山魑魅魍魎ブログ3月11日付記事より)
2月29日:りんごっこ保育園、「苦情処理について」と題したページで、2007年度に第三者委員(同園や矢野・朝木両「市議」の顧問を引き受けている中田国際法律事務所)に提出された苦情はなかったことを、「2008(平成20)年2月29日現在」として報告(当ブログ3月10日付記事参照)。同ページは5月15日現在、いまだに更新されていない。
3月5日:佐藤市議、市議会3月定例会の一般質問で「りんごっこ保育園の現状と矢野・朝木議員の関与について」質問。市長も、りんごっこ保育園に対して2月18日付で改善指導を行なったことを報告し、「当市としては速やかに回答いただき、改善をしてもらうようこれからも粘り強く折衝していきたい」などと答弁。(佐藤市議ブログ「りんごっこ保育園…一般質問から明らかになったこと」〔3月7日付〕より)
3月13日:市議会予算特別委員会初日。この日は歳入に関する質疑を行なうこととなっていたが、矢野「市議」は、本来歳出との関連で質疑すべき認可保育園の収支問題を取り上げ、答弁を引き出せずに時間を無駄にして終了。(鈴木市議ブログ「我田引水」〔4月14日付〕より)
3月14日:矢野「市議」、市議会予算特別委員会で引き続き「民間保育園予算」問題を取り上げ、「乳児が6人以上の場合には看護師1名を保育士1名とみなす」という国の通知などを根拠に所管を責め上げる。しかしけっきょく保育士は足りているのか足りていないのか、よくわからない。(佐藤市議ブログ3月17日付記事より。国の通知については当ブログ「りんごっこには2匹の番犬がいるらしい」〔3月20日付〕参照)
3月17日:矢野「市議」、市議会予算特別委員会で引き続き保育園問題を“追及”。シンブンHPの〈自分のやっていることをわかっていない面々を痛打!〉というページで「東村山市議会の3月17日予算委員会は、さながら『犬は吠えても、歴史は進む!』っていうありさまでした」などと得意げに述べたが、各方面から“どっちが犬だよ”というツッコミが。同ページは4月17日に〈「ムラ八分」を未だに続ける「ムラ議会」(東村山市議会)が屈辱的敗訴!〉というページタイトルに修正されたが(当ブログ4月18日付記事参照)、けっきょくいまのところ詳細は不明。
3月18日:市議会予算特別委員会で平成20年度予算の採決。草の根クラブを代表して朝木直子「市議」が討論を行ない、“りんごっこ保育園にインネンをつけてきたから”としか解釈できない理由で予算に反対(当ブログ4月25日付記事参照)。
3月19日東村山市保健福祉協議会の児童育成計画部会、開催される。詳細は不明。
4月上旬:りんごっこ保育園、4月1日付で「園だより」4月号を発行。保育士4名、栄養士・看護師各1名が退任(計6名)して、保育士3名、栄養士1名が新たに着任(計4名)したことを保護者に報告(当ブログ4月28日付記事参照)。あわせて「園だより」号外も発行し、送り迎え時に保護者を保育室からロックアウトする方針を明らかに(当ブログ4月11日付記事参照)。
4月9日:市の児童課課長補佐と保育係長が保護者のロックアウト問題でりんごっこ保育園を訪問。保育室内に立ち入ることができたのかどうかは不明。
4月17日:引き続き、市の児童課課長補佐と保育係長が保護者のロックアウト問題でりんごっこ保育園を訪問。「保護者の理解及び協力を得られるよう努力し、在園している保護者から理解が得られていないと保育園が判断したときは、速やかにその方法について再検討する」よう伝達。(以上2件、東村山魑魅魍魎ブログ「市長からのメールで、こんな回答が返ってきたそうです。」〔5月14日付〕より)
4月下旬:市保健福祉部、保育士の人数が認可基準を下回っていることについて、園に対して再度改善指導の文書を送付。(佐藤市議ブログ5月13日付記事より)


ああ疲れた。矢野「市議」が詳細を省かなければ、もう少し楽に作業できたのかもしれないのに。疲れたのでつっこみは簡単に済ませましょう。


さて、以上のような流れを見て、矢野「市議」が言うように、「保護者の一部、保育園職員の一部、外部の人間らが共謀して計画的に〔行なった〕、りんごっこ保育園の認可取消を狙った、不穏な動き」と受けとめる人がどれぐらいいるでしょうか。むしろ、「基準にしたがって保育士を増員しなさい」という、行政によるごく当然の指導を「不穏な動き」ととらえ、保護者までロックアウトしてしまうことのほうがよっぽど“不穏”です。


おまけに、「すでに職員の中にはこの動きに関与した事実を書面で認めた者もいる」って、祐天寺美桜さんが言うように“犯人探し”を自白してしまっているではありませんか。昨日の記事で取り上げた公益通報者保護法の趣旨など、まったく念頭にないようです。何度も言うように、問題がないのであれば堂々とその旨を明らかにし、誤解を持たれることがないような開かれた対応をすればいいだけの話なのに、保護者のロックアウトといい、どんどん誤解・疑念のタネをまいてどうするんでしょうか。


美桜さんは「犯人探し」という言葉を使っていますが、矢野「市議」がおそらくなじんでいるであろう言葉を使えば、「査問」ですかね。陰謀妄想にとりつかれ、「スパイがいる」と疑心暗鬼になった人たちが最終的にどうなったか、「外大全共斗ノンセクト無党派)」として学生運動に関わった経歴をお持ちの矢野「市議」は十分にご存じなのではないでしょうか。まあ、労働基準法その他の法律はともかく刑法に違反するような「粛清」までは、もちろんやらないでしょうけどね。