「官製談合疑惑」は5年前の出来事の繰り返し?


昨日付の記事で、第八保育園・指定管理者選定問題について「単純な図式ではとらえられない問題のようです」と書いたのは、たとえば、福田市議の「第八保育園はユーカリ会に決まり? 保護者のみなさん良かったですね」(8月13日付)に寄せられた、「手放しでは喜べない現実(第八OB)」というコメント(文末資料参照)を見ているからでもあります。あいかわらずすべてを制度の問題に還元させ、目の前で起きている問題への現実的対応を考えようとしない、共産党市議らしい能天気な本文よりも、こちらのコメントの方がよほど参考になりました。


要は、矢野・朝木両「市議」が飛びついた「内部告発」文書にも、さまざまな背景があるかもしれないということです。ともあれ、いま考えるべきなのは、このような混乱が東村山市で2度と起こらないようにするためにはどうしたらいいかということなので、この問題の経緯について私が深く掘り下げる必要もないでしょう。


いずれにせよ、選定委員会によって圧倒的多数(12人中10人)で第1候補に選ばれた「土の根会」が「子供たちを混乱に巻き込みたくないので辞退したい」と申し出たため、現在の指定管理者であり、第2候補に選ばれた「ユーカリ福祉会」に引き続き運営を委託する方向で検討が進んでいるわけです(東村山市HP「東村山市立第八保育園の指定管理者選定について」より)。なお、「土の根会」は市内で花さき保育園(新保庄三園長)を経営している社会福祉法人です。


ところが、「土の根会」が辞退した経緯について、矢野・朝木両「市議」は〈官製談合疑惑の「内部告発」も〉のページで、次のように書いています。


8月13日、花さき保育園・新保園長、各紙、疑惑の記事掲載で、応募申請を辞退の文書を市長に提出。


子供たちを混乱に巻き込みたくないので・・・」という動機についてはまったく触れず、「疑惑」を理由に辞退したかのような書き方になっています。あいかわらずの、悪質かつ下劣な印象操作というべきでしょう。このような人たちが口にする「疑惑」など、よほど眉につばをつけて検討する必要があります。


周知のとおり、新保園長は児童育成計画推進部会の部会長を5年間にわたって務めてきた人物で、市内の保育関係者からの信頼も厚いようです。この児童育成計画推進部会も矢野・朝木両「市議」にとっては目障りな存在なようで、5年前にも「東村山市民新聞」に〈「保育専門部会」のあきれた報告書〉(編集長インサイド・リポート)と題する記事を掲載し、〈報告書ですか? 法令読解力が問われる「児童育成部会」の「報告書」〉とか〈いったい「児童育成計画推進部会」って、何?〉などと罵声をぶつけています。


矢野・朝木両「市議」が「官製談合疑惑」を声高に叫ぶようになった背景に、このような因縁があると推定するのは容易でしょう。


ちなみに、この記事の日付は「2003年11月2日」となっています。この時期(平成15年)、東村山市では何が起こっていたでしょうか。


平成15年3月、りんごっこ保育園の開園計画は市議会による予算案の否決によっていったん頓挫しました。これに対し、高野博子園長は同年6月17日、東京都や東村山市などを相手どり、不認可決定の取消と総額8661万4000円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴。東京地裁は2004(平成16)年に入って和解を勧告しますが(裁判から開園に至る経緯についてはエアフォース「りんごっこ保育園問題とは何か」第2部、とくに第18回以降を参照)、上記の記事が書かれたのは、まさにりんごっこ保育園東村山市が裁判所で争っている最中のことでした。


同じ時期、「東村山市民新聞」は立て続けに「保育園利権疑惑追及」記事を掲載しています(マル付数字はカッコ付数字に変更)。


保育園利権疑惑追及(1)――ますます深まった澤田助役の保育所疑惑!
1. 居眠り教団党市議とシンパの助役〉(2003年10月12日付)
澤田助役の保育園新設疑惑深まる!〉(同10月23日付)
ますます深まった澤田助役の保育所疑惑〉(同12月5日付)


保育園利権疑惑追及(2)
12月議会最終日の創価党市議の発言の意味
1月15日市議会厚生委員会 「わくわく保育園」利権疑惑はじける!(市民の血税が食い物に)〉(2004年1月)
税金から賃借料100%補助の事実を隠していた助役、職員ら (都合が悪い事情あり)
保育園申請者・地主・助役が事前共謀! これが証拠の「承諾書」と「要請書」だ!
「わくわく保育園」を開設した株式会社「子供の森」がその後に開設した保育園


これらの「疑惑」がその後どうなったのか、「東村山市民新聞」には載っていないので、私にはわかりません。もちろん、どのように決着したかが報告されていないこと自体、ひとつの結論を示唆するものではあります。


また、松沢呉一さんが指摘するように、両「市議」による『東村山の闇―「女性市議転落死事件」8年目の真実 』(第三書館、2003年11月刊)が「非常に粗雑な作り」(松沢さん)で出版されたのも、ちょうどこのころのことでした。


このような経緯がある以上、矢野・朝木両「市議」がいかに声高に「官製談合疑惑」を唱えても、決定的な証拠を出してこないかぎり、“ああ、また5年前と同じことを繰り返そうとしてるんだな”と思われるだけでしょうし、そう思ってもたぶん間違いではないと思われます。


このことは同時に、東村山市がまた前回と同じことを繰り返すのかどうか、試されているということでもあります。いいかげん、なめられすぎじゃないですかね。


この件、あと1回続く予定です。


【資料】福田市議ブログ・8月13日付記事に寄せられたコメント

手放しでは喜べない現実(第八OB)
2008-08-21 12:47:10
初めてコメントを書かせて頂きます。

私は第八を卒園した子どもを持つ親です。
少し離れている所から見ているからこそ、見えて来ることがあります。

今回の騒動ですが、個人的には手放しでは喜べない状態です。

それは、何故か?

自分がこの件を知ったのは今月初旬です。
選定委員会の審査が終わっていない時期でした。

在園保護者から「第八が危ない」と言う報告があったのです。
続けて「第八が○○に奪われる!」「第八が○○保育園になる!」「○○は市と裏取引をしてユーカリに勝った!」等と言う、後に1位と発表された法人が運営する保育園と、その園長を名指しした内容でした。
そして、市に届いた匿名の手紙。

公表されていないことを何故知ってるのか?

同時に園長のブログには、保護者の発言と同様と受止められる内容の文章がありました。
そして保護者をアオる感じの文章もありました。

その直後、保護者達が動き出しました。

「署名活動をする」
「市議会議員を園に招いて話を聞く」
「新聞記者を呼んだ」
最後には「他言無用」と言う発言までも出たそうです。

これは、裏で動いている人間と情報漏えいをした人間が居るのではないでしょうか?

結果が発表されてからでも在園保護者は動いたと思います。
9月の議会でひっくり反せば良いのに、わざわざ発表前に保護者に知らせたり、1位の法人を敵視させたりと余計に混乱させただけではないでしょうか?

この様な人達こそ悪人ではないのかと思います。罰を与えるべきではないでしょうか?

また、結果的に2位となったユーカリには本当に問題はないのでしょうか?
何か悪い部分があるから2位になったのではないでしょうか?

在園保護者は環境が替わることだけを不安に思い行動を起こしただけだと思います。
そこを取り違えずに今後に繋げて欲しいと願います。
そうでないと次回も同様の事態になるのではないでしょうか?

在園する子ども達に取っては運営法人が替わらないのは良いことです。
また、この指定管理者制度は保育事業には合わない制度だと思い私も反対をしています。

今は、この件を教訓に東村山市の保育環境が良い方向に進んでくれることを願うだけです。