矢野・朝木両「市議」も出した?「訴追請求状」


9月22日付の更新は「最終更新日」の修正だけだったみたいなので、いまさらながら、那田尚史氏が裁判官訴追委員会に提出し、瀬戸弘幸氏も全面的に支持してブログ読者に協力を呼びかけている「訴追請求状」について簡単に触れておきます。


今年(2008年)4月15日に言い渡された2つの判決の「不当性」を主張し、「判決文の非論理性と非常識性」を指摘しようとするこの文書こそが非論理的かつ非常識であることについては、すでに多くの指摘がなされています。とくに、「司法解剖鑑定書」が「故朝木明代氏の殺害証明書」であるという主張のでたらめさについては、ここであらためて繰り返すまでもないでしょう(とくにエアフォース「エフエム東村山・東村山市民新聞併合事件最高裁判決」〔9月18日付〕参照)。


私が知りたいのは、この「訴追請求状」を矢野・朝木両「市議」も提出したのかということです。あるいは、提出はしないまでも、このような行動を支持しているのかということです。黙っている以上、矢野・朝木両「市議」も支持していると推測して問題はないと思いますけれども。


さて、那田氏が「不当判決」として挙げている2つの判決は、エアフォース「『東村山の闇』裁判・インターネット『創価問題新聞』裁判判決」(4月16日付)で報告されているものだと思われます。「訴追請求状」で判決(5)として挙げられているのが『東村山の闇』事件判決、(6)として挙げられているのが創価問題新聞」事件における矢野「市議」らの反訴に対する判決でしょうか。判決というのは、どういう事件なのか、どういう請求に対してどういう判断が下されたのかを踏まえて読まないと意味がありませんので、その点について何の説明もなく、部分的に抜粋されても困るんですけどね。


いずれにせよ、この日(2008年4月15日)に言い渡された3つの判決では、矢野・朝木両「市議」による千葉英司氏への名誉毀損が認定され、また両「市議」による反訴は却下されました。「東村山市民新聞」の言い方を借りれば、この日、矢野・朝木両「市議」は大いに「地獄」を見たわけです。


両「市議」が地裁段階で引き下がるとは思えませんので、おそらくいずれの事件についても控訴をしたことでしょう。ということは、いずれも高裁で係争中ということになります。


このような段階にある地裁判決と、その判決を言い渡した3名の裁判官について、那田氏は次のように評しているわけです。


「著しく常識と論理性に欠け、創価学会からの金銭授与や便宜供与があったと推察できる異様な判決」
「国民全体に裁判官への不信を抱かせるとともに、裁判史上に残る汚点」
「裁判官には故朝木氏が自殺したと主張せざるを得ない事情が先にあり、それを無理やり証明しようとするから、このような非論理的文章を書くに至ったのだろう」
創価学会公明党にあからさまに阿(おもね)ったものであり、ほとんどの国民は『創価学会に買収されたのだろう』と思っているはず」
「これは司法の恥辱であり、この3名に対しては罷免だけでなく、収賄罪の疑いも含めて取り調べるべきである。収賄による便宜供与でなければこのような異常で非論理的判決を下す理由が見つからない」
「狂人のような判決文」
「日本国民の敵」


もちろん、判決についてどのような評価をしようが、自由です。いかに自分の非論理性を白日の下にさらすだけとはいえ、敗訴判決はすべてなかったことにしてダンマリを決め込むよりは、「不当判決」などと注釈をつけながらもきちんと敗訴の事実を明らかにする方がよいでしょう。


しかし、そこにはおのずから限度というものがあります。判決が自分の意に沿わない、あるいは自分の「論理」に適合しないというだけの理由で「創価学会からの金銭授与や便宜供与」の疑いをかけ、訴追による罷免を要求するなどは、明らかに度を越しているというものです。


裁判官訴追委員会のホームページにも、ちゃんと次のように書いてあるんですけどね。

裁判官が弾劾により罷免されるのは、次の[1] 及び[2] のいずれかに該当する場合です(弾劾法2条)。
 [1] 職務上の義務に著しく違反し、又は職務を甚だしく怠ったとき。
 [2] その他職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があったとき。
〔中略〕
なお、判決の内容など、裁判官の判断自体についての当否を他の国家機関が調査・判断することは、司法権独立の原則に抵触する恐れがあるので、原則として許されません。したがって、誤判は、通常、罷免の事由になりません。


今回の判決は「誤判」ですらなく、しかも(おそらく)控訴審で審理が継続されている案件に関わるものですから、なおさら問題があります。ネットで思い通りにならないと逆ギレする人たちですから、裁判所も自分たちの思い通りの判決を言い渡すべきだと思っているのですかね。どこの国ですか、ここは。


提出者が虚偽申告罪裁判官弾劾法第43条)で処罰されるかどうかはともかく、名指しされた3名の裁判官から名誉毀損で訴えられれば、まず勝ち目はないでしょう。


朝木「市議」はともかく、矢野「市議」がこんな行動に乗っかって自分の手を汚すとも思えませんから、おそらく提出はしていないのでしょうが、立法者のはしくれである両「市議」が、司法権独立の原則を一顧だにしないこの「訴追請求状」をどのように思っているのか、ぜひとも見解を明らかにしていただきたいものです。


老婆心ながら、「狂人のような」という形容についてもきちんと批判をしておかないと、もはやC.I.Lの荒井さんのことをつべこべ言えなくなってしまうんじゃないですかね(対サイバーエージェント裁判の判決参照)。