もはや自分の意見さえ書けなくなった自称「ジャーナリスト」


またまた何の取材もせずに他人の記事を抜粋し、自分なりの考察さえ放棄して、印象操作を図ろうとするだけですか。瀬戸弘幸氏の〈【連載】朝木明代元東村山市議殺害事件(20):万引き未遂送検日・前後の不可解な動き〉のことですけどね。たまには脊髄反射をして、シベリア方面のみなさんがつっこみを入れるのをお手伝いしておきましょう。


本題に入る前に、今回のネタ元である『月刊宝石』(光文社、現在は廃刊)について、瀬戸氏は次のように書いています*1

この「宝石」1995年の9月号となっています。事件の直前に書かれた取材記事です。丁度9月1日発行となっています。将に殺されたその日に発売されたわけです。


この人はどうしてこんなに世の中の仕組みをご存じないのだろうとしばしば思うのですが、雑誌の「発行日」と実際の発売日が異なるのは常識です。『月刊宝石』の当時の発売スケジュールは承知していませんが、商業月刊誌の「9月号」が9月1日に発売されるわけはなく、8月のいずれかの日に発売されたものでしょう(たとえば、同じ光文社の『小説宝石』10月号は9月22日発売、『本が好き!』10月号は9月10日発売)。現物がお手元にあるなら、巻末あたりに次号の発売日が告知されているはずですから、どうぞご確認ください。


それはどうでもいい話ですが、瀬戸氏がそのあとに箇条書きで抜粋している内容も、どうでもいい話ばかりです。


瀬戸氏はとくに「東村山警察署と公明党市議の不可解な関係」を強調したいようですが、この抜粋を見るかぎり、そこで書かれている話は、『週刊ポスト』95年8月4日号に掲載された記事と大同小異の内容ですね。


そして、その『週刊ポスト』記事を抜粋した東村山市民新聞創価・公明特集〉の記述については、千葉英司さんが矢野・朝木両「市議」を名誉毀損で訴えた裁判ですでに争われ、一定の結論が出ています。


第一審(2008年3月27日)では千葉さんに対する名誉毀損が認められ、原告勝訴となりましたが(エアフォース〈インターネット「東村山市民新聞」裁判判決〉参照)、控訴審(2008年8月28日)では矢野・朝木両「市議」が逆転勝訴。この逆転勝訴については、瀬戸氏も「確実に流れが変わり始めました!」などとさんざん宣伝し、判決文もアップしてくださっていました。


この高裁判決についてはC.I.L〈読書会 「千葉英司氏が矢野穂積らに対し損害賠償請求を行った裁判の判決」について〉で的確な解説がなされていますが*2、要は、「東村山市民新聞」には“「千葉が創価の手先で学会に都合の良い結果を出すために工作していた」なんて意味の文章は書かれていなかった”という趣旨の認定が行なわれたものです。


では、瀬戸氏が強調したい「東村山警察署と公明党市議の不可解な関係」について、高裁判決ではどのように述べられているか? 抜粋してみましょう。

〔東村山警察署の〕署長室には、署員のほか、各界の幹部、市役所及び議会幹部、市民など多数の人が出入りするものであり、東村山警察署の署長室に、東村山市議会議員の木村市議が入るのが例外的なことでも、奇妙なことでもなく、また、同署の幹部というべき副署長の被控訴人〔千葉英司氏〕が市会議員の来訪に対応することも不自然なこととはいえないところ、木村市議が同署を訪れた際に、そうした立場の被控訴人が対応して、署長室に入るようにいうことが特段不審なこととはおよそ考えられないことにかんがみれば、・・・普通の注意をもって普通の読み方をする一般読者が〔、〕木村市議が東村山警察署に圧力をかける手引きをしたとの事実を読み取るとは認められない・・・。


つまり、公明党の木村市議が署長室にいたからといって「不可解な関係」を推定する理由にはならないし、矢野・朝木両「市議」も「不可解な関係」を示唆するような記述はしていない、という判断です(後の方の認定自体に疑問はありますが、それはさておき)。ご自分が大々的に宣伝した判決ぐらい、精査しておいてはいかがでしょうか。


これ以外に、瀬戸氏は、「怪文書」がファックスで送られてきたとかベタベタ貼られていたとかいう点を抜粋しています。結論から言えば、これは創価学会とは何の関係もなく、「『草の根グループ』の議席の私物化を許さない会」がやったことだそうですよ。『民主主義汚染』127ページにちゃんと書いてあるんですが、やっぱり読んでないんですね?

新聞社支局へファックスを送り付けたのもビラを貼ったのも、創価学会員ではなく「許さない会」のメンバーだった。・・・「許さない会」のメンバーは、ある新聞記者から、どうも東村山署が万引き事件を立件する可能性は低いようだという話を聞かされ、それならと、議席譲渡のときの轍を踏まぬために、むしろこっちで騒ぎを大きくしてやろうとファックスを流したのだった。


ステーションワゴン」と「ニッサンの小型車」の件については、“幽霊の正体見たり枯れ尾花”という類の話でしょう。いずれにせよ、何の立証にもなりません。


それにしても、前から思っているんですが、ほんとにとっちらかった「連載」ですよね。「連載」と銘打つからには、一定の構想をもとに順番に話を進めていくのが普通だと思いますが、瀬戸氏にはそんな能力はないようです。「万引き事件に関わる一連の判決でどのような結論が下されてきたのか、ご自分のブログできちんと整理し、この“証言者”が確かに『最重要な人物』であることを立証していただきたい」という私の指摘にもお応えいただけないようですので、そろそろ「いい加減なことばかり書いては逃げ回っている嘘つきの自称『ジャーナリスト』」という最終認定を行なってもかまいませんよね。いまさらですが。

*1:清風匝地〈何が言いたいのやら〉を見て気づいたのですが、この引用部の書き出しは、いつのまにか「この宝石は」に書き換えられていました。私がコピペしたときは本文で引用した通りの状態だったので、そのままにしておきますが、念のため。

*2:ただし一審判決に関するエアフォースの記事へのリンクは間違っています。本文で書いたように、〈インターネット「東村山市民新聞」裁判判決〉が正しいリンク先です。まあ裁判が多すぎるので間違えるのも無理はありません。