りんごっこ保育園「勝訴」でも「問題の追及」は続きます
「東村山市民新聞」、12月11日付の更新は「最終更新日」の修正のみだったのですが、本日(11日)午後3時ごろ、トップページに次のような大見出しが登場しました(12日付更新)。
ウソを書いてもすぐばれる話ですから、事実なのでしょう。それにしても、「越境通勤市議」言いがかり裁判については正式な敗訴確定報告さえやらないくせに、自分たちが勝ったらこの大騒ぎぶり。どんなもんですかね。なお、12月11日午後5時半現在、りんごっこ保育園のHPでの勝訴報告はまだです。ちなみに、りんごっこ保育園は別の裁判(補助金不交付事件)では東村山市に敗訴していますが、これについてはサイトではまったく報告していません*1。
今日は「越境通勤市議」言いがかり裁判の敗訴確定についてさらに検討しようと思っていたのですが、それは明日以降に回し、今回の高裁判決に至る経緯について理解するための最低限の情報を提供しておきましょう。詳細は、いずれ判決理由等が明らかにされてから、第1審判決も含めて検討します。
今回の高裁判決は、本年2月29日の東京地裁判決(当ブログの3月2日付記事も参照)に対する控訴審判決です。東村山市議会が平成18(2006)年3月24日に行なった(議事録参照)りんごっこ保育園に関する附帯決議について、市議会による名誉毀損が認定されたということになります。その付帯決議の内容は、次のとおり。
「平成18年度東京都東村山市一般会計予算」に対する附帯決議
平成17年3月25日、平成17年度東京都東村山市一般会計予算案を可決するに際し、りんごっこ保育園の設置者である高野博子氏の訴訟に対する不誠実な対応を正し、園の運営や設備に関する改善を行うよう、4項目について実行を強く求め、附帯決議〔引用者注・文末資料参照〕を行ったところである。
しかし既に1年を経過しようとしているにもかかわらず、りんごっこ保育園においては設備の改善などが行われず、法人化を行う兆しも無い状況である。
東村山市においては、次代を担う子供たちを健やかに育てるため、良好な保育環境の実現を目指し、東村山市私立保育所設置指導指針を定めている。しかるにりんごっこ保育園設置者は、設置及び開園に向けての事前協議においても調整への真摯な対応も行わず、さらに開園後においても、事務連絡以外、理事者や所管部の管理職が訪問しても、協議の場の設定に応じようとする姿勢が見られないとのことである。
よって、東村山市議会は、次のことを実行するようふたたび強く求めて、「議案第47号・平成18年度東京都東村山市一般会計予算」に対する附帯決議とする。
1、東村山市は、りんごっこ保育園に対し、良好な保育環境実現のため、設備の改善など、子供が主人公の園づくりを進めるよう、強く指導すること。そして、何らの改善も見られない場合は、東京都に対して認可の再考を働きかけること。
2、東村山市は、りんごっこ保育園に対して、安定的に良質な保育が継続されるよう、個人立から速やかに法人化するよう強く指導すること。
3、東村山市は、りんごっこ保育園園長・高野博子氏に対し、園長会や地域エリア円卓会議など、地域の関係機関のネットワークに参画し連携を深めるよう、強く指導すること。
4、東村山市は、りんごっこ保育園に対し、第三者評価制度については、東京都福祉サービス評価推進機構の標準評価項目に加え、当市の追加項目の評価を含めた審査を受けるよう、強く指導すること。
第1審判決では、このような附帯決議を行ない、それを「市議会だより」等で公表することによって、東村山市議会はりんごっこ保育園側の名誉を毀損したとして、300万円の損害賠償が命じられたわけです。なお、りんごっこ保育園側はこの附帯決議の無効確認も求めていましたが、これについては「不適法」として退けられていました。
個人的には、これが名誉毀損に当たるというのは納得のいかないものがありますが、それはまたあらためて検討するとして、ともあれ敗訴の事実は事実として受けとめなければなりません。一方、今回の判決が、“りんごっこ保育園の現状には何の問題もない”と太鼓判を押したものではないことにも、注意する必要があります。
矢野・朝木両「市議」は、「越境通勤市議」言いがかり裁判の敗訴確定を受けて、敗訴したとは書かずに「市民新聞は今後も問題の追及を続けます」などと表明しましたが(昨日の記事参照)、りんごっこ保育園に関する「問題の追及」も、今回の判決に関わらず、続いていくことになるでしょう。なお、りんごっこ保育園の設置の経緯等について詳しくは、エアフォースの関連記事を参照してください。
それにしても、年末になって大ネタが次々と飛び出してきて、大変です。松沢さんのご指摘(お部屋1731/表現と公然性)も大変勉強になったのですが、しばらく○ンコネタに手を出している暇はなさそうで、当面、宇留嶋(以下ウルシマと表記します)さんっぽく真面目な記事が続くことになるかもしれません。ニャロメさんを筆頭に、楽しみにしてくださっている方には申し訳ないのですが、ご容赦ください。「最近の雀は遊びすぎだ」と苦々しく思っていた方がもしも存在したら、お喜びください。
【資料】東村山市議会が平成17(2005)年3月25日に行なった、りんごっこ保育園に関する附帯決議
*議事録より抜粋。
「平成17年度東京都東村山市一般会計予算」に対する附帯決議
りんごっこ保育園の設置者である高野博子氏から、東京都、東村山市等を相手取って、平成15年6月、裁判が起こされた。提訴理由は「保育所設置認可拒否処分取消等請求」というものである。
その後、昨年の7月12日、東京地裁の和解勧告に基づき、原告である設置者・高野博子氏と東村山市、東京都、都知事の四者で、訴訟を終了させるための合意書が取り交わされた。
その主なものは、一つは、りんごっこ保育園の、平成16年10月1日、定員77名での開園に向けて、四者が手続を進行させる。
一つは、原告が再申請手続を行う。
一つは、東村山市が10月1日の開園に向けて東京都に対し進達事務を進め、募集等、入所児童の決定に係る事務を進める。
一つは、東京都は10月1日開園させるため、設置認可に係る事務を進める。
一つは、東京都が設置認可をしたときに、原告は訴えを取り下げる。というものであった。
この和解勧告に従い、東村山市も東京都も、誠意を持ってすべて約束を履行し、りんごっこ保育園は昨年10月1日に開園し、現在に至っているが、最後に記載した項目で約した「訴えの取り下げ」を、設置者・高野博子氏はいまだに履行していないのである。
基本合意に基づく約束を守らない設置者のこの不誠実な行為は極めて遺憾であり、幼児を預かり、育てていく保育者としての資質を疑わざるを得ないものがある。約束は当然に守るのが人としての道であり、ましてや、幼い子供たちを保育する立場にある者がとるべき道ではない。本来ならば、設置者であり、施設長である高野博子氏がみずから、当然取り下げるべきものである。
よって、東村山市議会は、次のことを実行するよう強く求め、「議案第33号・平成17年度東京都東村山市一般会計予算」に対する附帯決議とする。
1、東村山市は、高野博子氏に対して、訴訟を終了させるための合意書に基づき、速やかに訴えの取り下げを履行させること。
2、東村山市は、新年度を迎え、りんごっこ保育園に対し、都が言う新規申請ということから、東村山市私立保育所設置指導指針に基づいた園庭の確保、設備の改善など、子供が主人公の園づくりを速やかに行うよう、強く指導すること。そして、何らの改善も見られない場合は、東京都に対して認可の再考を働きかけること。その際は、次年度以降の予算も含め、市議会としても厳しい対応をせざるを得ない。
3、東村山市は、りんごっこ保育園に対して、個人立から速やかに法人化するよう強く指導すること。
4、東村山市は、各保育園の保育内容や運営をチェックするために、第三者評価制度を創設すること。
*1:4月20日付〈りんごっこ保育園、敗訴判決いただきました〉、4月28日付〈りんごっこ保育園敗訴判決の事情〉も参照。