東京高裁判決に触れない矢野・朝木両「市議」が立てた終了フラグ ※追記あり


ちょっとバタバタしており、9日の朝になってしまいました。橋本玉泉さんがすでに報告しているように、「東村山市民新聞」のトップページが9日付で若干修正され、次のような文言が登場しています。

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朝木明代議員謀殺事件の首謀者は許さない!
「謀殺事件」に全く無関係であれば、 「万引き苦に自殺」などという虚構を必死に強調する必要はありません。自白しているのです。

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あなたたちが、裁判情報を操作したり虚偽情報による煽動を行なったりして「謀殺事件」などという「虚構を必死に強調」し、それによって一般市民(とくに洋品店店主や千葉英司さん)に迷惑をかけるから、みんな批判しているんですよ。


誰かに何か言えとせっつかれたのかどうか知りませんが、東京高裁判決については一切触れず、こんな中身のない、意味不明のことしか言えないようなら、いよいよ終わりであることを「自白している」ようなものですね。おまけに、


東村山市民新聞を人気ブログランキング〉(URL略)


って、あんまり笑わせないでくださいよ。ランキング厨の一部自称愛国者にならったのでしょうが、そもそも「東村山市民新聞」はブログじゃないし*1


以上、とりいそぎ、ご報告。瀬戸弘幸余りにも酷い不当な判決:「再現写真」の存在を消しにかかってきた。〉については、すでにみなさんつっこんでくれていますので*2、あとからゆっくりやります。


【追記】(1月9日)
それでは、瀬戸サンの記事のうち、最後の方で申し訳程度に触れられている「再現写真」の件について簡単に見ておきましょう。


このあたりで瀬戸サンが言っていることは、矢野・朝木両「市議」の主張を劣化コピーしたと思われるクロダイくんの主張を、さらに劣化コピーしたものですね。ご丁寧に、「非常に驚かざるを得ないと両市議も困惑しています」などと書いてそもそものネタ元を教えてくださり、ありがとうございます。おかげさまで、矢野・朝木両「市議」がどういう詭弁を弄しようとしているのか、ごく一部ながら窺い知ることができました(あるいはこれだけなのかもしれませんが)。しかし両「市議」も、こんな人たちを広報マンとして重用するのではなく、「東村山市民新聞」のサイトできちんと有権者に説明してはいかがですかね。


まずタイトルからつっこまないといけないのが物悲しいのですが、今回の東京高裁判決は「再現写真」なるものの「存在を消しにかかって」などいませんよ。さまざまな状況を総合的に判断して、「万引き冤罪」を立証する証拠にはならないと判断しただけです。陰謀の存在を匂わせるために大げさな表現を使いたくなる気持ちもわかりますが、もともと説得力のない話がさらに眉唾ものになるだけですので、少しは控えましょう。


串@こねうこやじさんが掲載してくれている東京高裁判決抜粋より、該当部分を引用しておきます(リンクは引用者=3羽の雀による)。

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 控訴人らは、本件窃盗被疑事件の真犯人の服装とBの服装が異なること、及びBが万引き犯でないことを裏付ける目撃者Cがいることから、Bが万引きをしていない(本件窃盗被疑事件がえん罪である)と主張する。
 しかしながら、控訴人らがBの服装として作成した再現写真とBの監視カメラの写真について、D〔注:洋品店店主〕は、服装の雰囲気が違うような気がすると供述し、被控訴人は、服が同じか断定できないと供述しており(前記(ア)f)、控訴人らは、Bの服装の再現写真として同一とは判定できないものを作成しているところ、控訴人らは、アリバイの裏付資料としてアリバイを裏付けることのできないレジジャーナルを提出する(同a)などしていることに照らすと、Bの服装の再現写真なるものは必ずしも採用することができず、他に本件窃盗被疑事件の真犯人の服装とBの服装が異なることを認めるに足りる証拠はない。また、Cの目撃内容(前記(ア)d)は、Bが本件窃盗被疑事件の犯人であることをうかがわせるものであり、Bが万引きをしていないことを裏付けるものということはできない。
 そして、Dは、前記(ア)a認定のとおりBが万引きしたことを明確に供述しており、控訴人らが提起した別件訴訟においても、いずれもDの供述に信用性を疑わせるものはないとされている(前記(ア)e、g、i〔注:東京地裁平成12年6月26日判決潮事件判決月刊タイムス事件判決〕)。
 以上によれば、Bが万引きをしていない(本件窃盗被疑事件がえん罪である)と認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。

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したがって、矢野・朝木両「市議」が八王子検察庁で監視カメラの写真を見せられていたにも関わらず、高裁判決では「その写真の閲覧ができなかった」と認定されているからと言って、その一事をもって「今後の裁判で不都合が起きることを懸念した」などという結論を引っ張り出すことはできません。そもそも瀬戸サンは「この裁判官が創価学会の影響を受けているということを前提に考えるならば」と書いていますが、その「前提」を導くための根拠がまったく不明です。


「控訴人らは,その写真の閲覧ができなかったため、控訴人朝木において明代が当日着用していたとする服装を着用して再現写真(乙31)なるものを撮影、作成した」(クロダイブログより)


という点については、判決全文を見ていないために何とも言えませんが、Mauiiさんが指摘するように、“民事裁判の証拠として提出する目的で矢野・朝木両「市議」が証拠請求ないし開示請求を行なったが、応じてもらえなかったため”と理解するのが妥当なような気がします。「捜査機関が刑事事件の証拠を民事の法廷に出すことはない」(エアフォース)という原則については私も詳しく承知していないのですが、附帯私訴制度(損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度)が導入された背景には、捜査機関が収集した証拠を民事裁判で利用できないという現実もあったと思われますので、そういうことなのでしょう。


確かに誤解を招きやすい表現であるような気もしますが、いずれにせよ、事実認定のごく一部を取り出して話を針小棒大に膨らませるのではなく、その事実の「書き換え」とやらが裁判所の判断をどのように歪めたのか、「万引き冤罪」という主張に関する裁判所の判断まで引用した上で、主張するなら主張していただきたいものです。この点については、橋本さんも〈黒田氏や瀬戸氏の不可解な指摘〉で指摘している通り。それができないのであれば、「自らの主張が認められないと自覚したときに、今度は相手の主張や証拠の欠点を探し出し、そこに論点をすり替え、自らの主張を押し通そうとする矢野の得意とする手法」(エアフォース)と見なされてもやむを得ないでしょう。


また、瀬戸サンは、クロダイくんの口真似をするかのように「これこそ裁判官弾劾裁判が必要と思われるほど信用のできないもの」などと口にしていますが、そもそも、三権分立の観点から、裁判官弾劾制度において判決の内容を問題にすることは原則的に許されません(2008年9月22日付〈矢野・朝木両「市議」も出した?「訴追請求状」〉で指摘済み)。政教分離を云々するなら、三権分立についても少しは考えてから物を言ってください。


まして、こんな言いがかりのような主張で弾劾を呼びかけるのは“オレ様の気に入らない判決を言い渡した裁判官は全員クビにしろ”と言っているに等しく、司法秩序を破壊しようとする試みにほかなりません。やっぱり、日本を無法国家にしたいんですかね。瀬戸サンのような素人が先走って口にするだけでも問題ですが、仮にも法律資格を有するクロダイくんが不当な弾劾(だんがい)請求を煽るとなれば、ますます断崖(だんがい)に立たされることになりかねない。もんさんが言うように、むしろブレーキをかけてあげるのが大人の役割というものです。言っときますが、こんな人たちに暴走ジェット燃料を投下する矢野・朝木両「市議」も、同罪ですよ。

*1:【追記】(1月9日)規約違反の疑いも指摘されています。確かに「blog以外のサイトは登録できません」って書いてありますね。ちなみに、「朝木明代議員謀殺事件を徹底究明! 疑惑の集団の必死の抵抗をはねのけ、謀殺事件を許さない社会正義を実現する地域新聞」という、サイトに書いてあるキャッチコピーとは全然違う触れ込みで登録したみたいですけど、サイト情報を確認しようとしたら「指定されたIDは存在しません」と言われてしまいました。

*2:橋本玉泉さん(〈瀬戸氏の具体的指摘のない「前置き」の列記〉および〈黒田氏や瀬戸氏の不可解な指摘〉)のほか、なた5963さん(清風匝地)Mauiiさんもんさん凪さんなど。