「検察官発言」をめぐり矢野「市議」が隠していた裁判例 ※解説を追記


りゅうオピニオン〈矢野市議がなぜか報告していない検察官電話発言裁判〉で、いわゆる「検察官発言」(「東村山市民新聞」の迷宮〈「フォーラム21」裁判〉参照)に関するもうひとつの裁判例が報告されています。こんな裁判まで起こして、しかも敗訴の事実を隠していたのか。


確かに、この裁判については東村山市民新聞」等では報告されていません。「聖教新聞」の記事ではいまいち判決の内容がよくわからないのですが、いずれにせよ、矢野・朝木両「市議」にとってはよほど都合の悪い判決だったのでしょう。


今日は眠いので、後からわかる範囲で解説を追記します。


【追記】(8月30日朝)
さて、矢野「市議」が創価学会とその代理人・井田吉則弁護士を訴えて敗訴し、その事実を隠匿していた裁判についての解説です。


まず、おさらいとして、矢野「市議」が現認したと主張する「検察官発言」は次のようなものでした(『FORUM21』2004年1月15日号掲載の座談会より)。


「告訴から3年間、十二分に捜査した結果、創価学会側(信者)が 〔朝木明代市議転落死〕事件に関与した疑いは否定できないということで、『週刊現代』における名誉毀損発言については〕不起訴の処分を決めたんですよ」 (以下、「引用(1)」)


この検察官発言をめぐる時系列は2月20日付〈「検事発言」の宣伝は“選挙が近くなるまであっためる”と言う矢野「市議」の真意は〉の追記で簡単に整理しておきましたが、矢野「市議」の主張の変遷も加えつつ、あらためて振り返っておきましょう。


*朝木明代市議転落死(1995年9月1日)の直後、週刊現代1995(平成7)年9月23日号(9月11日発売)が「夫と娘が激白!『明代は創価学会に殺された』」という記事を掲載。
  ↓
創価学会、発売翌日に同誌および朝木親子(大統・直子)を刑事告訴。その後、10月5日には民事訴訟も提起(『週刊現代』事件)。
  ↓
東京地検、「朝木の死亡には自殺の疑いが強く、他殺の確証は得られなかった」などと判断し、1997(平成9)年4月14日に捜査を終了(まとめWiki朝木明代市議転落死事件〉参照)。
  ↓
*1998(平成10)年7月15日、東京地検創価学会刑事告訴について不起訴処分を決定。引用(1)の検察官発言は、この日、矢野「市議」の眼前で行なわれたとされる。
  ↓
*矢野「市議」、1998(平成10)年9月1日付の紙版東村山市民新聞」97号で、「捜査の結果、創価関係者が、朝木議員殺害までに至る事件・嫌がらせに関与した疑いは否定できないことが判明する事態となったのが不起訴の大きな理由」*1であった旨を記載(「フォーラム21」事件・東京地裁判決〔PDFファイル〕13ページ、以下同)。
  ↓
*矢野「市議」、1999(平成11)年11月15日に実施された別件訴訟の本人尋問で、検察官が「朝木明代市議転落死事件までの経過の中、事件、嫌がらせ等に創価学会信者が関係したことを否定できない」*2という趣旨の説明をしていたと供述。
  ↓
*矢野「市議」、2002(平成14)年4月30日付の紙版東村山市民新聞」125号で、検察官発言の趣旨は「創価学会〔朝木明代市議転落死〕事件に関与した疑いは否定できない」というものだったと主張。その後、2003(平成15年)11月10日発行の『東村山の闇』『FORUM21』2004(平成16)年1月15日号の座談会等でも、引用(1)のような検察官発言を現認したと主張。


これについて、当事者である井田吉則弁護士は引用(1)のような検察官発言があったことを強く否定し、「創価新報」事件等の裁判で次のような趣旨の陳述書を提出しました。


「担当検察官が私に対し、『創価学会側が事件に関与した疑いは否定できないことから、不起訴の処分を決めた』と発言した事実は一切ありません。したがいまして、検察官の不起訴処分の理由も『創価学会側が事件に関与した疑いは否定できない』からでないことは明らかであり、控訴人の主張は事実と全く異なります。このことは、その後東京地検が朝木明代氏の転落死事件そのも〔の〕について捜査し、平成9年4月14日に『自殺の疑いが強く、他殺の確証は得られなかった』と事実上自殺と断定し、捜査を終結する旨の発表をしていることからも明らかだと思います。」
「フォーラム21」事件・東京地裁判決〔PDFファイル〕15ページ、以下「引用(2)」。太字は引用者=3羽の雀)


この陳述書では、時系列に一部誤りが含まれています。東京地検は、朝木明代市議転落死事件の捜査終結(1997〔平成9〕年4月14日)後に創価学会刑事告訴について不起訴処分を決定した(1998〔平成10〕年7月15日)のですが、ここでは「その後」という表現が用いられており、順番が逆になっているからです。


矢野「市議」はここに飛びつき、井田弁護士が「悪質な事実の捏造」を行なったなどと主張しました。「創価問題新聞」事件の東京高裁判決(1・29判決)をめぐり、「事実の書き換え認定」などと騒いでいる*3のとまったく同じパターンです。


「井田弁護士はその後、創価学会に対する別件の裁判に提出した陳述書で、この検察の処分の時期を偽るなどしてそうした会話はなかったと否定しています」
『FORUM21』座談会


「井田弁護士が検察の処分時期を偽るなど悪質な事実の捏造を行ったことも事実」
「上記のように井田弁護士が悪質な事実の捏造を行ってまで被告矢野が現任した本件検察官発言の存在を否定しようとしたことは、かえって被告矢野の名誉を毀損するものである」
「フォーラム21」事件・東京地裁判決〔PDFファイル〕9ページ)


そして、騒ぐだけでは我慢できず、創価学会と井田弁護士を名誉毀損で提訴したというわけですね。その結果、りゅうさんが紹介してくれた「聖教新聞」の記事で報じられている通り、敗訴したというわけです。


東京地裁(2005〔平成17〕年2月18日)
(矢野「市議」の主張は)主張自体失当といわざるを得ない」


*東京高裁(同年7月26日)
(井田弁護士の)陳述書の記載の体裁、表現等を検討しても、これが控訴人(矢野「市議」)の社会的評価を低下させるものとは到底考えられない」
(井田弁護士側に)ねつ造の意図があったとは認められない」


そして、「フォーラム21」事件・東京地裁判決(PDFファイル)でも、矢野「市議」の主張は単なる言いがかりに過ぎないと認定されました(21−22ページ)。

                                                                                                          • -

 さらに、上記1認定のとおり、井田弁護士が別件訴訟で書証として提出した陳述書には、〔引用(2)のような〕陳述記載があるところ、検察官が本件不起訴処分を決めたのは平成10年7月15日であるから、上記記述中の「その後」という表現はその文脈からすると必ずしも適切とはいえない。しかし、上記陳述書には、「刑事告訴は、当職が告訴代理人として行いましたが、平成10年7月15日、東京地検八王子支部は、上記刑事告訴について不起訴処分にするとの決定をしました」と、本件不起訴処分の日が正しく明示されているのである。そうすると、上記のように適切でない表現が使用されていたからといって、これをもって、被告らが主張するように、井田弁護士が本件検察官発言が虚偽であることを証するために、殊更に陳述書に虚偽記載を行ったものと認めることはできない。よって、井田弁護士が作成した陳述書中に一部事実と異なる記載があることを理由に、上記陳述書の記載内容が虚偽であるとする被告らの主張も失当である。
 以上のとおり、被告らが本件検察官発言が真実であることの根拠とするところは、いずれもこれを採用することができず、他に本件検察官発言を真実であると認めるに足りる証拠はない。

                                                                                                          • -


東京地裁引用(1)のような「検察官発言」の真実性・相当性を否定した理由はこれだけではなく、この抜粋箇所の前後でいくつかの根拠を挙げています。それについては、6月9日付〈否定された「検察官発言」を平気で宣伝し続ける司法無視の「東村山/北多摩市民新聞」〉で抜粋してありますので、ご参照ください。このときは、説明がややこしくなりそうなので井田弁護士の陳述書に関わる部分は省略したのですが、これでようやく取り上げることができました。


さらに、「フォーラム21」事件の東京高裁判決(PDFファイル)で「検察官発言」の真実性・相当性が認定されたわけではないことは、6月9日付の記事のほか、6月13日付〈「『何者かによる他殺』と書いても名誉毀損ではない」と言われて「『他殺』が認定された」と理解する恐るべき「市議」たち〉、6月14日付〈「愚か者めっ!」と叫ぶ矢野穂積「市議」(りんごっこ保育園理事)に捧げる、幼稚園児でもわかる真理=「バカって言う方がバカ」〉でも説明しておいた通りです。


これらの事実を隠匿し、あいかわらず、「検察官発言」の真実性が認定されたかのような情報操作を「北多摩市民新聞」やら「ストップ!ザ『政教一致』ニュース」やらのビラで続けるのですから、やはり大変に悪質であると言わざるを得ません。りゅうさんからのリクエストまとめWikiに「検察官電話発言」コーナーを設けてほしい)については、「フォーラム21」裁判の項目があるのであえて独立項目を設ける必要もあるまいと思っていましたが、やっぱりちょっと考えなきゃいけませんかね。


ちなみに、「聖教新聞」2005年7月29日付記事(〈「東村山デマ事件」の首謀者 現職市議 矢野が3件連続敗訴〉)の末尾には次のような記載もありますので、ついでに解説しておきましょう。

                                                                                                          • -

さらに矢野は〔7月〕26日、ジャーナリストの宇留嶋瑞郎氏との間で争われていた2件の民事訴訟で全面敗訴した(いずれも東京地方裁判所八王子支部松丸伸一郎裁判長)。このうち宇留嶋氏が訴えた名誉毀損訴訟では、矢野に賠償金10万円の支払いが命じられている。

                                                                                                          • -


ここにいう2件の民事訴訟のひとつは、万引き被害者威迫事件の報道をめぐって矢野・朝木両「市議」が宇留嶋さんらを訴えた「東村山通信クラブ」事件です。


もうひとつの、矢野「市議」に賠償金10万円の支払いが命じられた裁判は、いわゆる議会傍聴者中傷事件のことです。そのうち〈「東村山市民新聞」の迷宮〉に議会傍聴者に対する不適切な行動の項目を設けたいと思いますが、〈朝木議員謀殺関係訴訟結果報告〉リストの検証(3)D(2)として取り上げていますので、とりあえずそちらを参照。

*1:太字は引用者=3羽の雀。

*2:太字は引用者=3羽の雀。

*3:この点に関わる矢野「市議」らの主張については、エアフォース〈創価問題新聞」事件最高裁判決第3回第4回参照。