自分達が東村山市に負担させてきた2000万円超の応訴費用は棚に上げて何度も同じ質問を繰り返す矢野穂積「市議」(NPO法人「林檎の木」理事)【訂正・追記あり】


まきやすともが28日(日)にも区議宅襲撃を行ない、おまけにそのことを自慢げに報告していたので、2月27日付〈法治主義に公然と反旗を翻すまきやすともには、いい加減で毅然たる対応を〉に追記しておきました。これはもう公明党中野区議団だけの問題ではなく、日本の法治主義をどのように守るかという問題です(2008年9月8日付〈“汚染”どころか“融解”の危機に至る東村山市の民主主義〉も参照)。


さて一般質問の初日(1日)が終わりましたが、とくに悪口のネタが拾えなかったのか、東村山市民新聞では「最終更新日」の修正もありませんでした(3月2日午前5時現在)。初日は清沢謙治議員から熊木敏己議員の6名が終わったとのことなので(佐藤市議の報告)、矢野穂積朝木直子両「市議」の質問はやはり3日(水)に行なわれることになりそうです(一般質問一覧表参照)。


矢野・朝木両「市議」、とりわけ矢野「市議」が、自らもNPO法人「林檎の木」の理事として深い関係にあるりんごっこ保育園関連の質問に相当の時間を費やしてきたことは、昨日付の記事でも述べた通り。繰り返しになりますが、昨年の9月定例会では、3分野6項目の質問を通告しておきながら、りんごっこ保育園に関するもの以外の質問は全部すっ飛ばしましたし、12月定例会でも、りんごっこ保育園に関係しない質問については最後におまけのように触れただけでした(会議録ではわずか4段落)。


今回も同じような光景が繰り広げられる可能性が高いので、りんごっこ保育園名誉毀損(平成18年附帯決議)裁判に関して矢野「市議」らが繰り返してきた質問をあらためて振り返っておくことにしましょう。矢野「市議」が平成21年9月定例会・12月定例会に行なった一般質問の通告内容今回(平成22年3月定例会)の通告内容を順番に並べ、所管や市長の答弁を簡単に紹介しておきます。


その前におさらいですが、りんごっこ保育園名誉毀損(平成18年附帯決議)裁判では、
「1、東村山市は、りんごっこ保育園に対し、良好な保育環境実現のため、設備の改善など、子供が主人公の園づくりを進めるよう、強く指導すること。そして、何らの改善も見られない場合は、東京都に対して認可の再考を働きかけること。」
という平成18年附帯決議の文言が、「りんごっこ保育園は、設備等の改善を要し、東村山市が強く指導してもなお改善がみられない場合は、同市が東京都に対しりんごっこ保育園の認可の取消しを求めるべき状態にある」という事実を摘示し、「りんごっこ保育園が最低基準を満たさない劣悪な保育環境にある」との印象を一般人に抱かせるものであると認定されました(東京高裁判決)。


しかし、りんごっこ保育園が児童福祉最低基準を満たしていることは明らかであり、「上記摘示事実が真実に反することは明らか」、「本件附帯決議が前提としている事実が主要な点において真実であることの証明がないものというほかはない」などとして、名誉毀損が認定されたものです。市側は、本件附帯決議は「りんごっこ保育園が最低基準は満たしていることを当然の前提として、その上でよりよい保育環境の実現という観点からりんごっこ保育園に対して更に設備の改善を指導するよう市当局に求める内容である」などと主張しましたが、受け入れられませんでした。決議の背景にはりんごっこ保育園開園をめぐるさまざまな問題があったのですが、これについてはエアフォースの連載りんごっこ保育園問題とは何か第1部・第2部を参照。


このような判決が2009年7月17日に確定したことを受けて、矢野「市議」らが市議会でかさにかかった質問を開始したわけです。それでは順番に見ていきましょう。まとめるのに結構手間がかかるので、今日は裁判費用に関する質問だけ取り上げます。

(平成21年9月定例会)朝木直子「市議」もまったく同じ内容を通告)
(1)賠償金と利息の金額
(2)決議を提案した全市議の氏名、控訴、上告に賛成した全市議の氏名、延べ人数および当該議会だよりの編集委員託名
(3)代理人弁護士に支払った合計費用、各支払金額、各支払日時
(4)控訴、上告の各訴訟費用の金額
(5)訴訟にかかった費用合計額、市議(決議提案者、控訴、上告各賛成者)1人当たりにするといくらになるか。
(6)市長は300万超の損害賠償金を原因者の自分も含めた市議らに求償したか
(平成21年12月定例会)
(3)確定判決は決議を「客観的真実に反する」と最大級の厳しい批判している。根拠もなく認可取消しを図り、事実無根の決議を行いながら、賠償金を含め、合計410万円超を税金で尻拭いし当該提案者市議らに請求しない理由はなにか。また、事実無根の決議を行いながら、納税者市民の血税を勝手に費消することが許されるという正当性及び合理的理由を、決議を提案した元市議として市長は具体的に明らかにせよ。
(今回予定されている質問)
(2)最高裁確定判決は決議を「客観的真実に反する」と最大級の厳しい批判している。根拠もなく認可取消しを図り、事実無根の決議を行いながら、賠償金を含め、合計410万円超を税金で尻拭いし当該提案者市議らに請求しない理由はなにか。また、事実無根の決議を行いながら、納税者市民の血税を勝手に費消することが許されるという正当性及び合理的理由を、決議を提案した元市議として市長は具体的に明らかにせよ。


平成21年12月定例会における通告内容と今回の通告内容は、ほぼまったく同じです。矢野「市議」らが、自分達が数々の行政訴訟によって市に2000万円以上の負担をさせておきながら、そのことはすっかり棚に上げて“自腹を切れ”と騒いできたことについては、これまでにもその都度報告してきた通り(文末資料参照。なお、命じられた損害賠償額が300万円であるにも関わらず矢野「市議」が「410万円超」と言っているのは、利息と弁護士費用も含めた額です)。


この点につき、渡部市長は平成21年9月定例会で、
「求償はいたしておりません」
「各議員は議会において議決権を行使したものであり、個人として求償しなければならない理由はないものと考えております」
などと答弁しています。矢野「市議」は、
「負けるのがほとんどわかってるような裁判について、・・・自分の自腹を切って、裁判を訴えられて、それで負けたときは自腹を切るんなら結構ですよ」
「自分たちで勝手に勝つと思って、あるいはいいと思ってやったんだろ、だったら責任をとりなさいよ。市長、まずあんたから言いなさいよ。どういう責任を感じてるのか。何で、これを税金で払っていいと思ってるわけ。それを、私は聞いてんですよ。そういうしみったれた考えを公人としてやっていいのかって言ってるんですよ」

などと騒いでいますが、これが見事なブーメランであることは前述の通り。なお朝木直子「市議」も、一般会計補正予算に関する質疑の中で、
「自分たちの不祥事によって発生した賠償金を、市民の血税から支払うというのは、税の使途を監視する議員の資格はないのではないかと思いますが」
などと述べています(文末追記も参照)。


矢野「市議」は、平成21年12月定例会でも、「前回は、何だかぐちゃぐちゃと言って終わってますからね」などと言いながら、同様の質問を行ないました。市長は、
「本件決議は、市議会という機関意思の決定をもってなされたものでございますので、現時点では、提案者個人に対して請求しなければならない理由はないものと考えております」
と簡単に答弁を終えています。今回(平成22年3月定例会)も12月定例会とまったく同じ内容の質問を通告しているわけですが、おそらく同じ内容の答弁が行なわれることになるのでしょう。まったく時間の無駄です。


りんごっこ保育園に市所管が指導等を行なおうとすると法的根拠が云々と大騒ぎする矢野「市議」ですが、不思議なことに、決議に賛成した市議会議員らに求償を求めるための法的根拠は明らかにしようとしません。仮に市議らが自腹を切りたいと思っても、それは公職選挙法第199条の2で禁止されている寄附行為になりますので、矢野「市議」らによる「議員報酬一部返上」を東村山市が受け取れないのと同じように、市がそれを受け取るのは無理でしょう。


だとすれば、矢野「市議」が9月定例会で指摘したように*1国家賠償法第1条第2項に基づいて求償権を行使するしかないと思われますが(りんごっこ保育園名誉毀損(平成18年附帯決議)裁判国家賠償法第1条第1項に基づく損害賠償請求事件)であり、そこには次のように定められています(太字は引用者=3羽の雀)。

第1条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
2 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。


りんごっこ保育園の開園に至る経緯、そして平成18年附帯決議の採択に至る経緯を踏まえれば、決議に賛成した市議らに「故意又は重大な過失」があったと判断することは難しいように思います。日本共産党の田中富造市議も、本来は、この決議に賛成した議員が、この内容について責任を持つのが当たり前だと思いますけれどもと述べていましたが、結果として違法と認定された立法行為や決議等について、それに賛成した議員の個人責任をその都度問うというやり方で果たしていいのでしょうか。


それでも自腹を切らせろと言うのであれば、昨年12月4日付12月7日付の記事でも指摘した通り、市長が国家賠償法第1条第2項に基づく求償権を行使するよう求めて裁判を起こせばよろしい。それをやらずに何度も同じ質問を繰り返すというのは、りんごっこ保育園の宣伝のために市議会を利用していると看做されてもしかたがありません。ただし、「負けるのがほとんどわかってるような裁判」ですから、請求を棄却されたら市の応訴費用相当額を議員報酬から「返上」するつもりでやってください。


【追記】(3月2日)
朝木直子「市議」は、9月定例会の一般質問でも長々と演説をぶった後にこの問題を取り上げ、
「これを市民の血税から支出するつもりなのかどうか、はっきりとお答えください」
「これで市民の理解が、納税者市民の理解が得られると思うかどうか、その点だけ伺っておきます」

と質問しています。その後のやりとりは次の通り。
市長「法律にお詳しい朝木議員のことですから、よく御案内かと思いますが、今回の裁判は、市が被告となって、残念ながら私どもの主張が認められず敗訴したものでございます。損害賠償につきましては、そういう点から申し上げますと、市の会計からお支払いをするということは、法律論にのっとれば当然のことと認識いたしております。市民の理解ということについては、得られるように努力をしてまいりたいと考えております」
朝木「市長に申し上げておきますが、私、納税者の1人として、それから私、周りの市民、いろんな方からお話聞くと、納得してませんよ、それだけは申し上げておきます」


【資料】自腹を切れと騒ぐ矢野穂積朝木直子両「市議」

「早く自腹を切って、責任をとりなさい!」([http://d.hatena.ne.jp/three_sparrows/20091022/p1:title=2009年10月22日付更新])


「早く自腹を切って、責任をとりなさい!」([http://d.hatena.ne.jp/three_sparrows/20091022/p1:title=同])


「早く自腹を切って410万円を払い、責任をとりなさい!」([http://d.hatena.ne.jp/three_sparrows/20091024/p1:title=2009年10月24日付更新])


「つべこべ言い訳する前に、・・・410万超の自腹を切れ、早く!」([http://d.hatena.ne.jp/three_sparrows/20091102/p1:title=2009年11月3日付更新])


「すぐ自腹を切れ!」([http://d.hatena.ne.jp/three_sparrows/20091104/p1:title=2009年11月4日付更新])


〔この記事は3月2日の朝にアップしたものです。〕

*1:【追記】(3月2日)あらためて会議録を確認すると、矢野「市議」が「国家賠償法第1条2項は、公務員に、故意または重大な過失があったときは、国または公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。つまり、市長は300万円超の損害賠償金を、原因者の自分も含めた市議らに支払いを請求する義務があると言わざるを得ないが、請求したか」と質問していたことに気付きましたので、この記述を追加するとともに、前の段落の第1文を削除しました。失礼しました。