京都朝鮮学校襲撃事件の刑事公判を前に再び浮き彫りになる団体間の温度差


昨日付の記事で取り上げた主権回復を目指す会の家宅捜索については、共同通信でも報じられました。



公安調査庁内外情勢の回顧と展望平成23年版(該当コラムのSS画像は2010年12月30日付エントリー参照)や『ザ・コーヴ』上映粉砕行動についても触れられており、公安としてもやはり家宅捜索だけで済ませることはない気配です。とは言っても今後どのような展開になるかはわからないわけですが*1、とりあえずまとめWikiで〈自称「行動する(社会)運動」の襲撃事件等:秋葉原編〉を独立させ、関連記事をさらに詳しくまとめておきました。


主権回復を目指す会もさっそくこの報道に反応しましたが、何が言いたいのかはよくわかりません。


でっち上げと不当な世論操作に負けてはならない
<行動する運動を反体制運動ととして〔ママ〕自覚せよ>
◆行動する運動並びに反シナ・愛国運動を「右派系市民グループ」として一括りし、本格的な取締対象とされる証である。
現体制を民主・自民による利権分配集団として認識すれば、我々は彼らと対峙する正真正銘の反体制派であることの自覚が求められる。
〔後略〕


瀬戸弘幸サンはといえば、報道後、こんなチラ裏エントリーをアップしました。



「政府権力側は容赦ない弾圧の牙を向け、我々の運動の前に立ちはだかっている。これをどのように打ち破っていくのか?」
などと書いていることからして今回の件を意識しているのではないかと思いますが、はっきりとした形では触れていません。まあ
「我々は仲間内で言葉を疎かにしてはいないか」
という疑問はその通りだと思いますので、誤字脱字に注意するのはもとより、
「[http://blog.livedoor.jp/the_radical_right/archives/52625300.html:title=左翼・高学歴者は白痴バカとしか言いようがない]」
「[http://blog.livedoor.jp/the_radical_right/archives/52628993.html:title=あなた達、頭は大丈夫ですか?狂っちゃいないでしょうね]」
「[http://blog.livedoor.jp/the_radical_right/archives/52632116.html:title=本当にこの連中はマジでうざったい存在で、今すぐにでも日本から追放したい連中です]」

などのような中身のない放言を自らに禁じてみてはいかがでしょうか。無理でしょうけど。


他方、瀬戸サンがもはや正面から触れようとしない[http://www2.atwiki.jp/kusanonemaze/pages/118.html:title=京都朝鮮学校襲撃事件]の初公判が2月1日(火)に京都地裁で行なわれます。主権回復を目指す会は、[http://www.zaitokukai.info/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=9:title=西村斉被告人が支部長に復帰した在特会京都支部]や[http://haigai.exblog.jp/12762046/:title=排害社]とともに、公判前の街宣と裁判傍聴を呼びかけました。



被告人の立場で「京都朝鮮第一初級学校の違法行為を裁く第一回公判」などと吠えるのにも恐れ入りますが、ともあれ自分達の主張を堂々と展開するつもりはあるようです。その割に民事裁判(2010年9月16日・11月30日)ではダンマリを決め込んでいるのが不思議ですが、次回(2月15日)は何かやらかすつもりなのかもしれません。呼びかけの趣旨は次の通りです。

勧進橋児童公園の不法占拠をめぐって中谷辰一郎、荒巻靖彦、西村斉、川東大了の各氏が京都府警によって威力業務妨害容疑などで逮捕された事件は、京都朝鮮第一初級学校の不正を糺す国民の抗議を弾圧する許し難い行為である。
ことの発端は、全て京都朝鮮第一初級学校による勧進橋児童公園の不法占拠という違法行為にある。違法行為を糾した国民が逮捕されるなど言語道断といってよく、司法・警察権力の横暴を満腔の怒りを持って糾弾する。
逮捕され、裁判に訴えられた4人は同初級学校前並びにデモ行進で、「朝鮮学校、こんなものは学校ではない」「スパイの子どもやないか」「朝鮮学校を日本から叩き出せ」と街宣した。これを捉えて、しきりに民族差別とか排外主義を喧伝しているが、これら国民の発した声は不特定多数の人々に受け入れられる真実性に満ちたものばかりである。
我々は公判を通じて、京都朝鮮第一初級学校の違法行為とこれに抗議した4名の真実性に満ちた且つ万民が納得する主張を堂々と展開していく。
2月1日、烏丸丸太町と京都地裁に結集せよ!


安田浩一氏のルポ〈「在特会」の正体〉(講談社『g2』第6号)で
「反省すべき点はあったと思います。僕らがやろうとしたのは、あくまでも問題提起でした。しかし、法に触れたというのであれば、法治国家の国民として謝りたいと思っています」(p.98)
と語っていた中谷辰一郎被告人(事件当時、主権回復を目指す会関西支部長)も、同様の考えなのでしょうか。もちろんこんな主張に「万民が納得する」ことはあり得ませんが、ともあれ刑事公判の報告を待ちたいと思います。なお、被告人4名の公訴事実・罪名罪状については、はやく仕事しろ>俺〈朝鮮学校いやがらせ事件刑事裁判を前に〉に起訴状の一部抜粋(民事裁判の準備書面で引用されていたもの)が掲載されています。


在特会京都支部のこの活動については今のところ在特会公式サイトには掲載されていませんが(1月26日午後7時現在)、代わりに奈良支部の活動予定が告知されました。



公判は午前10時〜正午の予定なのに午後2時に京都駅前に集まってどうするのだろうと思いましたが、その後、次のように修正されました。



どうやら在特会奈良支部としては積極的に傍聴を呼びかけるつもりはないようで、徳島県教組襲撃事件刑事公判の時と同様の温度差があるような感じもします。在特会奈良支部・大阪支部を含むチーム関西は西村修平らとの交流・共闘・接触を一切断つと表明していますが、いまのところチーム関西のサイトでは刑事裁判に関する告知等はありません。


桜井誠・在特会会長も、1月21日のニコニコ生放送
「京都の裁判はバカ左翼が政治問題化しようとしている」
などと文句を言っていましたので、あまり裁判の中身には触れたくないと考えている可能性があります。国連・人種差別撤廃委員会に提出した書面と同様の主張をすれば(そして玉砕すれば)いいと思いますが、さすがに法廷で通用するような代物ではないとわかっているのでしょうか(同書面に対するつっこみは〈無知とウソで塗り固めた「在特会」反論書面〉(1)(2)(3)を参照)。


〔この記事は1月26日の夜アップしたものです。〕

*1:【追記】(1月27日)たとえば主権回復を目指す会の元幹部・紫藤益男も「水曜デモ」妨害行動時の傷害容疑で複数回事情聴取を受けているが、立件されたかどうかは不明。なお、主権回復を目指す会は1月27日に万世橋署に集合を!同志を官憲(暴力団)の手に渡してはならないとして抗議行動を予告している。