自分達の主張の真実性を否定された「越境通勤市議」名誉毀損裁判判決の内容を歪めて宣伝するのに必死な矢野穂積・朝木直子両「市議」


昨日(18日)・今日と東村山市民新聞の「最終更新日」は修正されませんでした。もちろん題字のトラブルも修正されていません。


他方、りゅうさんがツイッターで速報してくれたところによると、紙版東村山市民新聞」速報版・再刊第1号(2011年2月18日付)なるものが東村山市役所内でばらまかれたようです。


「速報版」というのは、矢野穂積朝木直子両「市議」が主として市議会・市役所内で配布するために作成する簡易なアジビラ*1で、たとえば2007年5月には薄井政美市議を攻撃する内容の速報版をばらまいたことが、ウェブ版東村山市民新聞」で報告されていました。



最近はばらまかれたという話を聞きませんでしたが(実際4年ぶりだったそうです)、市議選を前に「再刊」する必要を感じたのかもしれません。今回は、「越境通勤市議」名誉毀損裁判の結果に関する情報操作が目的のようです。もっとも、今回のアジビラを佐藤市議に届けてくれた職員は
こんなもの誰も相手にしちゃいません。彼らもこんなことしかできなくなったんだな、と話していたんです。全然関係ないです、頑張ってください!
と話していたそうで、果たしてどの程度効果があるのでしょうか。


それではその内容を見てみましょう。

佐藤まさたか市議、敗訴!(東京地裁立川支部
公選法違反の「越境通勤市議」
一月二四日、東京地裁立川支部は、佐藤まさたか市議が、東村山市民新聞が掲載した「佐藤市議は、公選法違反(詐欺登録・詐欺投票)の疑いがあり、妻子の住む日野市多摩平のマンションから通っている『越境通勤市議』だ」との記事が名誉毀損だとして提訴していた裁判について、左記の理由で、佐藤市議の訴えを棄却し、矢野・朝木議員の勝訴の判決を言渡した。
 判決は「市内に転入したのが、3か月前から引き続き東村山市内に住居を有している被選挙権を得るための要件を満たすには10日しか余裕がない平成15年1月17日にされたものである上に、転入先は、それまで原告佐藤が日野市内から通勤をしていた当時の佐藤の勤務先である保育園の園舎の一部であったことなど、本件転入届の時期と転入先は不自然なものと言わざるをえず、被告矢野及び被告朝木において、原告が、被選挙権を得るために東村山市内に居住の実態がないにもかかわらず本件転入届に及んだのではないかという疑念を抱くことには合理的な理由がある。」としたほか、佐藤市議が「東村山市に転入届した後も、日野市内の子どもが通う小学校のPTA会長等の役員を引き受け、日野市内で活動していたこと」「日野市の妻子の住むマンション隣接地に駐車場を借りた」などから、東村山市民新聞の掲載記事は、意見・論評の範囲を超えておらず、佐藤市議の社会的評価は低下しない、として、発行人の矢野議員と編集長の朝木議員を勝訴させた。
 なお、佐藤さんは、東村山市内の転入の理由を「妻とは別居を前提に話し合いをしていた」などという陳述書を裁判所に提出していたが、昨年三月に、妻子と、市内廻田町で同居している。


ごまかしだらけの内容ですね。


1月30日付〈勝訴したのに珍しく割と淡々とした報告しかしない矢野穂積・朝木直子両「市議」〉等で指摘したように、今回の判決は、「越境通勤市議」「公選法違反」などという矢野・朝木両「市議」の主張の真実性は否定しつつ、佐藤氏の生活の本拠が東村山市内になかったと矢野「市議」らが誤って信じたことについては「相当の理由があったというべき」として誤信相当性を認め、不法行為の成立を認めなかったものです。


しかし今回の「速報版」では、自分達の主張の真実性が否定されたことにはまったく触れていません。ちょうど佐藤市議が〈原告裁判、控訴はしませんでした。〉として判決を抜粋してくれましたので、順番に見ていきましょう(以下、注釈および太字はすべて引用者=3羽の雀)。


まず、矢野「市議」らの主張の真実性について、裁判所は次のように述べてこれを否定しています。

(1)真実性について
ア.被告ら矢野穂積朝木直子両「市議」ら〕は、平成15年1月17日の本件転入届の時点で、原告の生活の本拠は東村山市内にはなかったと主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。
 かえって、上記認定の事実経過のとおり、原告〔佐藤市議〕は、妻と2人の娘とともに、従前は日野市のジュネス賢105号室で生活していたところ、平成11年に東村山市の本件保育所の非常勤職員となり、平成13年ころには正職員となったが、平成14年ころ、妻との間で別居を前提とした話し合いをする状況となり、他方、その頃から東村山市保育所問題に関する住民運動に関わるようになって、本件保育所の施設長である土屋と相談の上、もともと本件保育所の園舎の一部建て替えのために賃借していたサンシティハイツ2の101を生活の本拠とするようになり、以後も東村山市内を転居しながら市議会議員を務めていたが、妻子が骨折した際や、子供らに対する父親としての義務を果たすために、妻子が居住する日野市の居宅にも、PTA活動など必要な際には戻るという生活を続けていたものであり、19年選挙の際の原告の住所が東村山市にあったことは東村山市選挙管理委員会の調査においても認定されて裁判上も確定しており、平成22年3月30日からは原告は東村山市廻田町の現住所で妻子と同居していることが認められる。
イ.これに対し、被告らは、原告の生活の本拠が東村山市内になかった根拠として上記第2の2(2)ア(ア)ないし(サ)のとおり主張するが、(ア)は上記認定のとおり本件転入届には合理的理由があるから理由がない。
 (イ)の違法に本件保育所が賃貸していたサンシティハイツ2の101に居住したと主張する点は、住所かどうかは客観的に生活の本拠たる実態を具備しているか否かにより決せられることであるから、当該場所を個人の住居として使用することが保育所の運営に関する行政法規に適合するかどうかということとは基本的には無関係であり、そもそも本件保育所は、東京都が要綱により独自の基準を定めている認証保育所(認可外)であって、建物そのたの規模構造等を変更しようとする場合における変更届の提出は法令上義務付けられているものではないから(弁論の全趣旨)、この点の被告らの主張にも理由がない。
 また、(ウ)及び(オ)については上記事実経過の(5)、(6)に認定したとおりであり、その他(カ)ないし(サ)の、原告がNTTの電話帳に日野市多摩平の住所付きで電話番号を掲載していたこと、東村山選挙管理委員会の調査の際、サンシティハイツ2の101に家財調度があることが確認されず、同室の南側に原告の政治活動用の看板があり、洗濯機は使用されておらず、出入り口ドア及び集合ポストに表札がなかったこと、サンシティハイツ2の101の電気の使用量がわずかであったこと等、原告の生活状況に関する主張の主な部分は、妻子と別居中の原告が妻子のけがや子供らの関係で必要な際に日野市内の妻子のもとに戻っていることがあったという上記認定に沿うものであり、本件転入届当時、原告の生活の本拠が東村山市内になかったことを積極的に根拠付けるものではない。
ウ.以上のとおり、本件転入届の際、原告の生活の本拠が東村山市内になかったことは、被告矢野及び朝木が表明した意見ないし論評の前提となる事実の重要な部分であるところ、これを認めるに足りる証拠はないから、被告らの行為が違法性を欠くということはできない。


佐藤市議が「妻子のけがや子供らの関係で必要な際に日野市内の妻子のもとに戻っていることがあった」というのは夫・父親として当然のことであり、むしろ家族に対するこのような責任を果たさないことの方が公職者として、それ以前に人として問題なのではないかと思いますが、矢野・朝木両「市議」はこれを佐藤市議攻撃の主要な材料にしていました。この点は、平成20〔2008〕年3月31日に行なわれた佐藤市議の証人尋問を傍聴していた薄井市議が、憤懣やるかたない筆致で報告していた通りです。


2008年4月30日の東京高裁判決でも次のように指摘されていました(2008年5月4日付〈「妻が骨折しても放っておけ」 矢野・朝木両「市議」の「非人道体質」〉も参照)。

佐藤が平成18年9月に妻が骨折したため、同月及び同年10月中は頻繁に日野市のマンションに行って、夕食や翌日の朝食の支度をするなどしていたのは、未成熟の子の監護を妻に託して別居する者にとって、妻がけがをして夫の援助を必要とするとき、その世話をするために通うのはむしろ当然のことであるというべきであり、そのような行為があることをもって佐藤が日野市のマンションを生活の本拠としていたと認めることはできないというべきである。


子どもをダシにした攻撃について薄井市議が怒っていた部分も特に引用しておきましょう。こんな人間が理事・幹事としてりんごっこ保育園等の経営に深く関与しているわけです。

ナンセンスな質問の極めつけは、この日に提出した証拠に対する質問。どんな証拠を出したかというと、佐藤議員の以前のブログ「なんとかしようよ!東村山」に掲載された5月5日付「久々に子どもたちと」という記事だ。まずは読んでみてくださいよ。
 議会関係の仕事で土・日曜も祝日も関係なく動き回っていた佐藤議員が、せめてもの罪滅ぼしでゴールデンウイークのある1日、子どもたちを連れてお祭りに行ったという話だ。これが「日野市に生活の本拠地がある」証拠として出されているのだ。
 もう、「はぁ?」としか反応できない。子どもを持つ親の気持ちというモノがわからないのだろうか?


さて、矢野・朝木両「市議」は以上のような認定によって真実性が否定されたことをすっ飛ばして、いきなり次のように述べています(以下、速報版からの引用はすべて太字とする)。

 判決は「市内に転入したのが、3か月前から引き続き東村山市内に住居を有している被選挙権を得るための要件を満たすには10日しか余裕がない平成15年1月17日にされたものである上に、転入先は、それまで原告佐藤が日野市内から通勤をしていた当時の佐藤の勤務先である保育園の園舎の一部であったことなど、本件転入届の時期と転入先は不自然なものと言わざるをえず、被告矢野及び被告朝木において、原告が、被選挙権を得るために東村山市内に居住の実態がないにもかかわらず本件転入届に及んだのではないかという疑念を抱くことには合理的な理由がある。」としたほか、・・・・・・


この点は間違いではありませんが、明らかに恣意的な引用ですね。判決は相当性について次のように認定しています。

(2)相当性について
ア.本件転入届の際、原告の生活の本拠が東村山市内になかったとは認められないことは上述したとおりであるが、本件転入届は、平成15年4月27日に執行された15年選挙の選挙権及び被選挙権を得るための要件である3か月前から引き続き東村山市内に住居を有している要件を満たすためには10日しか余裕がない平成15年1月17日にされたものである上に、転入先はそれまで原告が日野市内から通勤をしていた当時の原告の勤務先である本件保育園の園舎の一部であったサンシティハイツ2の101であり、外形的に明らかなこれらの事実だけからすれば、本件転入届の時期と転入先は不自然なものと言わざるを得ず、被告矢野及び被告朝木において、原告が、15年選挙の被選挙権を得るために東村山市内に居住の実態がないにもかかわらず本件転入届に及んだのではないかという疑念を抱くことには合理的な理由がある。
〔中略〕
 他方、本件転入届当時、サンシティハイツ2の101が原告の生活の本拠を具備していたことについて、積極的にこれを裏付ける客観的証拠もなく、原告も、別居の理由が夫婦の問題という原告のプライバシーに属する問題であったこともあって、19年選挙に関する裁決取消訴訟において平成20年3月21日に行われた本人尋問(乙1)及びこれに先だって提出された陳述書(甲37)に至るまでその詳細を明らかにしてこなかったことからすれば、被告らが疑念を抱き続けたことには合理的な理由がある。
 以上によれば、本件では、被告矢野及び被告朝木において、本件転入届の際、原告の生活の本拠が東村山市内になかったと信じることにつき、相当の理由があったというべきである。


太字で示した後半部分を、矢野・朝木両「市議」は意図的に省略しています。昨日付の記事でも指摘した通り、また判決が「相当の理由があった」と過去形で述べている通り、平成20〔2008〕年3月21日の証人尋問以降は相当性が認められないと解釈し得るからでしょう。少なくとも、
「平成20年4月30日の東京高裁判決、あるいはどんなに譲歩してもこの東京高裁判決を追認した平成12月5日の最高裁判決後に佐藤を『越境通勤市議』などと呼ぶことについても・・・『合理的な理由』はないということになるのではあるまいか」宇留嶋さん
ということになるのではないかと思われます。


矢野・朝木両「市議」は続けて次のように書いています。

・・・・・・佐藤市議が「東村山市に転入届した後も、日野市内の子どもが通う小学校のPTA会長等の役員を引き受け、日野市内で活動していたこと」「日野市の妻子の住むマンション隣接地に駐車場を借りた」などから、東村山市民新聞の掲載記事は、意見・論評の範囲を超えておらず、佐藤市議の社会的評価は低下しない、として、発行人の矢野議員と編集長の朝木議員を勝訴させた。


一読して意味不明です。佐藤市議が日野市内でも活動していたという事実が、なぜ東村山市民新聞の掲載記事は、意見・論評の範囲を超えておらず、佐藤市議の社会的評価は低下しない」ことの理由になるのでしょうか。


もちろん、判決にはこのような非論理的展開の記述は見当たりません。ただ、
「さらに、本件記事、本件サイト及び本件発言は、原告に対する人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評の域を逸脱したものとまでは認められない」
と認定しているだけです。


そして、「佐藤市議の社会的評価は低下しない」という部分は明らかに虚偽の、少なくとも間違った記述であると思われます。そもそも、社会的評価は低下しないとして入口のところで名誉毀損性を否定したのであれば、真実性・相当性についての判断に進む必要はありません。そして、宇留嶋さんが抜粋しているように、判決では佐藤市議の社会的評価の低下が認定されています。

 これらの表現は、原告が、生活の本拠を東村山市内に有しないにもかかわらず、形式上、同市内に住民票を移転して、15年選挙の選挙権及び被選挙権を取得した上、同選挙に立候補して当選するとともに、選挙人として同選挙に投票し、さらには、これらの事実を追及されることを恐れて、逃げ回っているという事実をえん曲ないし間接的に摘示した上で、更に、このような事実が、公選法に規定する詐欺登録罪及び詐欺投票罪に該当するとの意見ないし論評を表明したものというべきであり、単に法的見解を表明したもので、事実を摘示したものではないとはいえない。
 そして、本件記事、本件サイト記事及び本件発言は、その内容に照らしていずれも現職の東村山市議会議員である原告の社会的な評価を低下させるものであることは明らかであり、……被告矢野及び被告朝木は、本件記事、本件サイト記事により、原告の名誉を毀損したものであり、また、本件発言は、本件番組でのことであるから、被告法人〔多摩レイクサイドFM〕の事業の執行についてなされたものである。


名誉毀損訴訟慣れしている矢野・朝木両「市議」がこのような間違いを犯すとは思えませんから、「佐藤市議の社会的評価は低下しない、として」の部分は虚偽宣伝と理解して問題ないでしょう。


いずれにせよ、このような判決を言い渡されたにも関わらず
公選法違反の「越境通勤市議」〉
と大見出しを打つのですから、悪質さもここに極まれりというべきです。P2Cさんも指摘するように、場合によっては公職選挙法の虚偽事項公表罪に該当する可能性もあるのではないでしょうか。


「当選を得させない目的をもつて公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者に関し虚偽の事項を公にし、又は事項をゆがめて公にした者は、4年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する」公職選挙法235条2項)


控訴しないという佐藤市議の判断は正しかったと思いますが、このような悪質な宣伝に対してはやはりしかるべき手を打つべきだと思われます。


思えば、矢野・朝木両「市議」はこのような悪質な情報操作を始終繰り返してきました。3月16日に控訴審判決が言い渡される予定の「セクハラ市議」名誉毀損裁判で200万円の損害賠償を命じられた後、紙版東村山市民新聞」165号(2010年6月15日付)で
〈「薄井(市議)はエロキャスター」裁判所も断定!〉
などと宣伝していたのは記憶に新しいところです(りゅうオピニオン〈【東村山市民新聞165号〔2010年6月〕を読む(上)】敗訴した「セクハラ」裁判(賠償金200万円+謝罪放送)で勝ったかのように誇大宣伝する東村山市・矢野穂積市議〉参照)。



『潮』事件判決を恣意的に引用して千葉英司さんの信頼性を貶めようと躍起になっていたことも、2009年12月17日付〈「副署長千葉の供述は信用できない」という認定(「潮」事件判決)をめぐる矢野・朝木両「市議」の悪質な情報操作〉で検証した通りです。


そのくせ、そのような情報操作が不可能なほど完敗した久米川駅東住宅管理費等不払い裁判請願潰し裁判については、ひたすらダンマリを決め込むばかり。東村山市民は、私利私欲と「害意」の塊としか思えないこのような人達をいつまで当選させ続けるのでしょうか。市議選まで、あと2カ月です。