請願潰し裁判に続き、ブログのコメントをめぐり佐藤市議を訴えた裁判でもオウンゴールを決めた矢野穂積・朝木直子両「市議」


東村山市民新聞では、請願潰し裁判の完全敗訴確定にはもちろん触れることなく、「最終更新日」のみの修正が断続的に続けられています*1。昨日(7月1日)は千葉英司・元東村山署副署長から新たに提起された裁判朝木明代市議転落死事件・「鍵束」裁判)の第1回口頭弁論がありましたが、出廷せずに擬制陳述で済ませたのかもしれません。


さて、そんな矢野穂積朝木直子両「市議」がまたオウンゴールを決めてくれました。



両「市議」が、佐藤まさたか市議のブログに投稿されたコメントをめぐってブログ管理者としての佐藤市議を訴えていた裁判の判決が6月29日(水)に東京地裁立川支部で言い渡されたのですが、その中で、
「原告らにはパーソナリティ障害等であることを疑わせるそれなりの言動及び行動があった」
(他の議員等の)批判に当たり使用された文言及び回数については、・・・口汚く(一部は、差別的でさえある。)、激烈であり、執拗であるとの批判が当てはまる」
「公選の公務員としての適格性を有するか否かを判断するに当たっては、不当な訴訟上の請求の存在は、それが多くの訴訟上の請求の全部ではない場合であっても、当然批判の対象となる」
「他者に対する批判につき正当な根拠を有する場合であったとしても、表現方法における口汚さ、過激さ及び執拗さは、公選の公務員としての適格性を判断するに当たって当然考慮されるべき事項であるが、原告らには、表現方法の点で、厳しい批判を受けてもやむをえない点があった」

などと手厳しい指摘を受けたのです(第1審判決抜粋参照)。


矢野・朝木両「市議」は、請願潰し裁判でも、
「原告らは、原告らのサイト上等において、被告薄井及びその支持者らを厳しく批判しており、その表現中には、被告薄井及びその支持者らを誹謗し、揶揄するような表現が多数見られる」第1審判決
という指摘を受けていました(控訴審判決でも同様)。今回の判決ではさらに強い調子でその言動を批判されており、私も裁判所がここまで言うとは予想していなかったのですが、ともあれ両「市議」の公職者としての適格性にはますます疑問符がつくことが司法によって確認されたと理解できます。


それでは第1審判決を簡単に読み解いておきましょう(被告である佐藤市議の報告も参照)。


柳原滋雄コラム日記〈「口汚い公選者」と司法から“認定”された市議会議員〉でまとめられているように、この裁判は、佐藤市議ブログのコメント欄に投稿された人格障害」「病気」等のコメントについて、矢野・朝木両「市議」が精神疾患の病気であると決めつけられた」などと主張してブログ管理者である佐藤市議を訴えていたものです(コメントの詳しい内容は2010年1月14日付〈佐藤市議を提訴して、市議会議員として不適格であることを自ら認める矢野・朝木両「市議」〉も参照)。


判決は、これらのコメントが「原告らが(病気の一種である)パーソナリティ障害等を有するとの事実を表明したもの」と認めた上で、ブログ管理者である佐藤市議の責任について検討しました。プロバイダ責任制限法特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)3条1項では、ブログ管理者がコメント欄におけるコメントによって「他人の権利が侵害されていることを知っていたとき」(1号)またはその旨を「知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるとき」(2号)には損害賠償責任を負う場合があると定めています(3条1項)。


この点につき、判決は次のように述べて佐藤市議のブログ管理者としての責任を否定しました(以下、太字は引用者=3羽の雀)。

 被告ブログ掲示板の管理者である被告につき、同法3条1項1号又は2号に該当する事由があったと認めることはできない。かえって、後記イ〜オに説示するとおり、原告らにはパーソナリティ障害等であることを疑わせるそれなりの言動及び行動があったものであるから、被告が本件3投稿を削除した平成21年11月20日までに(争いのない事実等(5))、同法3条1項1号又は2号の要件が満たされたものと認めることは、到底できない。


つまり、矢野・朝木両「市議」には「パーソナリティ障害等であることを疑わせるそれなりの言動及び行動があった」ことから、コメント欄に投稿されたコメントには少なくとも相当性があると見なすことができたのであって、佐藤市議が「他人の権利が侵害されていること」=コメントが名誉毀損であることを知っていた(はずだ)とは「到底」見なせないと判断されたものでしょう。


その理由としては、大きく分けて次の2つが挙げられています。


(1)同僚市議やその支持者等を口汚く執拗に批判してきたこと
(2)洋品店店主への攻撃や少年冤罪事件をはじめ「不当な訴訟上の請求」を行なってきた例があること


第1の点について判決は、「越境通勤市議」問題「セクハラ市議」名誉毀損問題に関わる矢野「市議」らの言動を例に引きつつ、次のように指摘しています。

 イ(ア)・・・原告らは、次のとおり、東村山市民新聞、東村山市民新聞インターネット版及び多摩レイクサイドFM等で、被告及び薄井議員や他の同僚議員等の批判を繰り返し行ってきたことが認められる。
〔中略〕
 (イ)原告らが、昭和63年12月から平成22年7月までの間において、・・・同僚議員、その支持者、裁判官、I事件〔少年冤罪事件〕の被告、T事件〔ブティック店主名誉毀損事件〕の原告等を批判していることは、原告らにおいて明らかに争わないからこれを自白したものとみなす。
 これらの批判にどの程度根拠があったかについては、後記ウで検討する一部を除き、本件訴訟では十分な証拠が提出されていないが、その批判に当たり使用された文言及び回数については、例えば「ピーマン議員」「アホキピーマン」「心身症」「失語症」「ハエ男」「足の長さが足りなくて」「常軌を超える偏執」「偏執症?!」のように、口汚く(一部は、差別的でさえある。)、激烈であり、執拗であるとの批判が当てはまるものである。
〔中略〕
 オ(ア)意見ないし論評を表明する自由が民主主義社会において不可欠な表現の自由の根幹を構成するものであり、不法行為法上違法とならないことと、不法行為法上は違法ではない意見を表明した者が公選の公務員としてふさわしいか否かを判断するために、そのような意見表明がどの程度の根拠を有してされたか、その際の表現方法が過激なものかについて論評することは、別問題である。
 (イ)a 〔略〕
 b また、他者に対する批判につき正当な根拠を有する場合であったとしても、表現方法における口汚さ、過激さ及び執拗さは、公選の公務員としての適格性を判断するに当たって当然考慮されるべき事項であるが、原告らには、表現方法の点で、厳しい批判を受けてもやむをえない点があったものである。


判決で引用されている「ピーマン議員」以下の表現は、主としてかつての「くさのね通信」で用いられたものです。これを紹介した松沢呉一さんは、
「もし他人が矢野・朝木を『変調をきたしている』などと評したら、途端に名誉毀損などと騒ぎ立て、果てに本当に訴えかねないでしょう。無実の人間を訴えることになんら痛痒を感じない人たちですから。/しかし、裁判になったら、自分で使用している以上、訴える資格なしということになるはずですので、・・・」
と書いていましたが、本当にその通りになったわけです。


もちろん、矢野・朝木両「市議」が行なってきた「口汚く(一部は、差別的でさえある。)、激烈であり、執拗」な攻撃はこれに留まるものではなく、脳梗塞「脳内血行障害」等の差別的罵倒も批判者に対してしばしば投げかけられてきました。これについては以下の記事を参照。


不法行為法上は違法ではない意見を表明した者が公選の公務員としてふさわしいか否かを判断するために、そのような意見表明がどの程度の根拠を有してされたか、その際の表現方法が過激なものかについて論評することは、別問題である」という指摘も、また重要です。


例を挙げていくときりがありませんが、たとえば両「市議」は、宇留嶋さんを創価御用ライター」と呼んだのは不適切だったと認めて遺憾の意を表しておきながら(第1次「創価御用ライター」裁判)、第2次「御用ライター」裁判クロダイ黒田大輔が(具体性のない単なる低レベルな悪口に過ぎないという理由で)敗訴を免れると、
「この判決によって、(「創価御用ライター」という表現は)誰でも使用できる代名詞になったと一般に理解されることだろう」
などとみっともなく便乗して騒いでいました。しかも、『月刊タイムス』事件で自分達を勝たせてくれた裁判官のひとりを「創価系判事」などと中傷しちゃうというおまけ付で(前掲判決で、矢野「市議」らによる執拗な批判の対象として「裁判官」も挙げられていることに注意)。


また、「越境通勤市議」名誉毀損裁判でも、佐藤市議が「越境通勤市議」であるという主張の真実性を否定されたにも関わらず、かろうじて誤信相当性を認められて敗訴を免れたことをもって、あたかも自分達の主張が全面的に認められたかのような宣伝を続けています。最近配布された紙版東村山市民新聞」171号(5月25日付)でも〈佐藤まさたか市議、控訴せず、「越境通勤市議」を認める〉などとデタラメなことを書いていますので、あらためてつっこみを入れる予定です。


東京地裁立川支部が今回のような認定を行なった理由の第2点目(洋品店店主への攻撃や少年冤罪事件をはじめ「不当な訴訟上の請求」を行なってきた例があること)については、これまでのさまざまな裁判の経緯・結果が参照されていて長くなりそうなので、別途取り上げます。(追記:7月30日付〈オウンゴール裁判第1審判決解説(続):東村山の洋品店に対する攻撃を「根拠が不十分なままされたもの」と断じられてしまった矢野穂積・朝木直子両「市議」〉参照。)

*1:6月28日付(2011/06/27 16:40:36)、6月29日付(2011/06/29 17:07:28)、7月3日付(2011/07/02 18:35:23)