在特会をめぐる経済産業省宛抗議文と自治体議員らの「特別決議」【動画など追記】


明日(24日)から東村山市議会3月定例会が始まりますが、東村山市民新聞では「最終更新日」が黙々と修正されているだけです*1


一方、西村修平・第2次街宣名誉毀損裁判の第1審判決に関するエアフォースの連載(第12回〜第17回)が一段落しました。
「原告〔千葉英司さん〕の提起した訴訟の数及び結果からすると、原告が訴訟を乱発していると認めることはできない」
という認定(第16回参照)をはじめとしていくつか興味深い点がありますが、機会を見てあらためて取り上げたいと思います。


さて、在特会の動向についてはツイッターTogetterでも随時拾っていますが、注目に値すると思われる動向を2つほどピックアップしておきましょう*2


経産省前テントひろば、在特会との「話し合い」を仲介したことについて経産省に抗議
Togetter〈【在特会】「反原発テントは乞食村」「韓国人はけだもの」といつもの調子の自称桜井会長 on 2・9〉でまとめておいた件について、テントひろば側が経済産業省に対して抗議文を出していたことがわかりました(2月14日付)。以下、経産省前テントひろばのテント日誌(2月15日付)より転載します。

経済産業省大臣官房御中
抗議文
去る2月8日貴経産省厚生企画室の斡旋により、「国民代表」と称する人達と私共との話し合いがありました。この話し合いの後、当テントひろば関係者で会議検討を行った結果、「国民代表」を名乗った人達は「国民代表」の名に値しないどころか日本人としても恥ずかしい極め付きの右翼差別主義者であるとの結論に達しました。同時に、結果として彼ら差別主義者の口車に乗り斡旋者の役割を果たした貴省厚生企画室に対し、疑問と批判の念を抱くにいたりました。
私共は貴省とは原発人災に対する見解を異にするとはいえ、貴省管理の国有地を借用している立場から、貴省との信頼関係を築く努力をして参りました。そうした立場から貴省のこのたびの話し合いの斡旋を受けた次第です。しかし、「話し合い」は一方的に私共を「犯罪者」「乞食」呼ばわりするなど、汚い差別的言辞を投げつけられる結果に終わりました。
貴省が、こうした差別主義者の実態を承知の上で話し合いの斡旋をしたとは考えられませんが、結果として貴省が極端な差別主義者を斡旋した事について強く抗議致します。
また、当日立会人的役割を果たした貴省の方々はご承知のことと存じますが、彼ら差別主義者は、私共のテントを自らが実力で撤去するとの捨てゼリフを残しております。
もし彼らがテントに対する暴力行為を行い、何らかの事故が発生した場合はその責任は実行者のみならず、貴省厚生企画室にも帰せられることを申し添えます。

〔中略〕
貴省は日本の原発を管理する役所ではありますが、放射能汚染を全世界に垂れ流してしまった以上、全世界の人々への責任を負う立場にあります。その立場に適う大きな視点で大きな責任を全うされることを強く望み、差別主義者の手先と疑われるごときことのないよう強く望みます。
2012年2月14日 経産省前テントひろば運営会議
テントひろば代表 渕上太郎
(太字は引用者=3羽の雀)


経産省厚生企画室の担当者がどのように言いくるめられた/押し切られたのかは知りませんが、在特会は、米国務省人権報告書でも「移民排斥主義団体」「外国人排斥団体」として取り上げられ、公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」(平成24年版)でもほぼ名指しでフィーチャーされている、会長を務める自称桜井誠自身の基準に照らして「きわめて危険な反社会的組織」です。


原発問題に関しても、在特会とその関連団体は反/脱原発派に対する罵倒や嫌がらせに終始してきました(Togetter〈【在特会】脱原発デモに向かってジジイ・ババア・キチガイなどと怒鳴り続けた自称愛国者集団(12・11)〉の解説および1月16日付〈【回顧】打ち上げ花火どころか線香花火のように収束していった在特会の「反・反原発」活動〉など参照)。抗議文でも指摘されているように、こんな連中との「話し合い」など成立するわけがありません。その後のニコニコ生放送でも、桜井会長は、30分間延々と罵倒を続けたこの「話し合い」の動画が撮れなかったことをしきりに悔んでおり、これが単なる嫌がらせに過ぎなかったことを示唆しています。


このような連中の正体も確かめずに「話し合い」とやらの斡旋を行なったばかりか、連中の犯罪予告さえ結果的に黙認してしまった経産省の責任はきわめて重大と言うべきでしょう。本来であればその場で警告を発し、それでも実力行使の予告を撤回しないのであれば告発も辞さない姿勢を示すべきでした。在特会が実際に「強制撤去」に乗り出すことは考えにくいとはいえ、2月26日(日)に予定されている「反政府 / 害人排撃 in 帝都デモ」の際にさらなる嫌がらせが行なわれる可能性はきわめて高いので、今からでも公的機関としてしかるべき対応をとることが求められます。


■「連帯ユニオン議員ネット」が在特会に関する「特別決議」を再度採択
戸田ひさよし門真市議など、連帯ユニオン(全日建連帯労組)と連携する議員および候補予定者が構成する「連帯ユニオン議員ネット」は、すでに2010年2月9日に民族差別を煽り立て、卑劣な暴行・襲撃を繰り返す「在特会」と「主権回復会」を厳しく糾弾し、かかる蛮行を許さない特別決議を採択していましたが、このほど新たに〈「在特会」ら差別暴力集団を厳しく糾弾し、議会と行政ぐるみで厳正対処を進める特別決議〉を採択しました(2012年2月21日)。戸田市議のホームページから抜粋します。


1:我々は、「在特会」らの差別蛮行を根絶するために奮闘する事を、自らの良心に賭けて宣言する。 我々は決して「ナチス時代の臆病な牧師」の例には陥らない。
2:我々は、警察検察が「在特会」らの蛮行を黙認擁護し、連中の荒唐無稽な刑事告訴を利用して民衆側を不当に規制・捜索・逮捕・起訴している現実を厳しく批判する。
 警察検察は本来の職責に則り、在特会勢力の暴力行為や脅迫・名誉毀損行為を厳しく取り締まれ。
3:我々は、政府機関や各地の自治体当局が、「門真市モデル」、「生駒市長対応」に倣って「在特会」らの蛮行を差別人権侵害事件と認定し、批判見解を広く表明し、指導・啓発を社会的に展開する事を強く求める。それが差別暴力集団への社会的な包囲規制網を作る事になる。
 また我々自身が、自分のまちの行政がそのような見解表明をするよう、質問要請状を出したり情報提供をするなどの努力を重ねる事を宣言する。
4:我々は、人々が在特会らの差別怒号を耳にし目にする事自体が、人間の尊厳と安全を脅かしている状況に他ならない事を強く認識し、そのような恥ずべき日本の状況の根絶を目指す。


「人々が在特会らの差別怒号を耳にし目にする事自体が、人間の尊厳と安全を脅かしている状況に他ならない」という指摘は、まさにその通りでしょう。島根でも、韓国から来日した団体に米子空港内で罵声を浴びせたり、彼らの宿泊先と思われるホテルにまで押しかけたり、挙句の果てには全然関係のない人物に拡声器で罵声を浴びせ、間違いに気づいて退散したりと、日本の恥をさんざんさらしていたようですが(Togetter〈【在特会】暴れん坊かいちょー in 島根(2月21日〜22日)〉参照)、その影響が及ぶのは直接の被害者だけではありません。


当局がその気になれば、在特会の蛮行を取り締まることは現行法(たとえば各都道府県で制定されている迷惑行為等防止条例など)でも十分に可能なはずです。いつも彼らについて回っている公安にもいろいろ思惑があるのでしょうが、もはや在特会は公安不要論を助長するだけの存在に過ぎないでしょう。もちろん、以下の記事でも指摘してきたように、将来的にはヘイトクライムの犯罪化を検討することが必要だと思われます。


その他の公的機関も、在特会らを社会運動標榜ゴロ(に準じた存在)として扱い、現状では一切の交渉等に応じない態度をはっきりと示すべきです。前掲決議には在特会問題特別報告資料〉その1その2(いずれもPDF)も添付されており、私のまとめWikiともあわせて参考にしていただければと思います。


【追記1】(2月24日)
島根での蛮行について恥知らずにも動画がアップされていますので、いくつか紹介しておきます。


米子空港内で空港利用客に暴力的嫌がらせを行なう在特会関係者


*ホテルの敷地外を歩きながら拡声器でホテルの営業と宿泊客の平穏を妨害する桜井誠会長


ついでに、道路運送法等にしたがって仕事をしているだけのタクシー会社を金友隆幸・排害社代表が晒しものにしていたので、それも記録しておきます。



【追記2】(2月24日)
今度はホテルに対しても法律違反を行なうよう求めているようです。


参考:旅館業法
第五条  営業者は、左の各号の一に該当する場合を除いては、宿泊を拒んではならない。
 一  宿泊しようとする者が伝染性の疾病にかかつていると明らかに認められるとき。
 二  宿泊しようとする者がとばく、その他の違法行為又は風紀を乱す行為をする虞があると認められるとき。
 三  宿泊施設に余裕がないときその他都道府県が条例で定める事由があるとき。

*1:2月20日付(2012/02/19 13:35:34)・2月21日付(2012/02/20 13:17:04)・2月22日付(2012/02/21 15:44:48)・2月24日付(2012/02/23 14:55:44)。

*2:このほか、保釈された中谷良子被告人(現代撫子倶楽部代表)が桜井誠在特会会長や川東大了・同副会長らに対して「絶縁」を宣言したが、これについてはとりあえずTogetter〈クロエ/Jellyこと中谷良子・現代撫子倶楽部代表の在特会絶縁宣言とそれに端を発する内ゲバ〜そしてそれに乗ずる日護会・黒田大輔〉参照。