矢野・朝木両「市議」の消せない過去


「越境通勤市議」言いがかり裁判での“屈辱的敗訴”から一夜明け、矢野・朝木両「市議」はいまごろ最高裁への上告を考えているところでしょうか。どうせ恥の上塗りになるだけなので、やめたほうがいいと思いますが。


それにしても矢野・朝木両「市議」は、どうしてこれほどまでに自分たちの恥ずかしい過去(議席譲渡事件)を“頑丈な棚に上げて”騒げるのでしょう。「越境通勤」だなんだと騒げば騒ぐほど、議席譲渡事件のことをつっつかれるのはわかってると思うのですが。わかってないのか。


そんなことを考えながら「東村山恐怖新聞市民新聞」のバックナンバーを眺めていたら、152号(2006年10月31日付)の第3面に「議員への電話」として次のような声が載っていました。

十一年ほど前の市議選の際、朝木直子議員が事情で松戸に転出し、権利を放棄し当選辞退した件では、公選法違反でもないのに大騒ぎした人達がいましたが、家族4人で日野市に住んでいたのに選挙でるために佐藤真和市議が自分の住民票だけ移した公選法違反事件に黙っているのはおかしいですね。許せません。(野口町・主婦)


普通の人は「十年ほど前の市議選」とぼかして書くか「十一年前の市議選」と正確に書くかのどちらかだと思いますが、この「主婦」は「十一年ほど前の市議選」と妙に中途半端に表現しています。怪しいですね。


それはともかく、「事情で松戸に転出し」というのはおかしくないですか? 宇留嶋瑞郎『民主主義汚染』の帯には、次のように書いてあります。

「繰り上げ当選してもらうために、
辞退することにしました」
前代未聞の議席譲渡劇は、
女性当選者の一言で始まった。


1997年の最高裁判決でも認定されているとおり、朝木氏は、当選人の決定前にあわてて他人が住んでいる社宅に住民票を移し、そのあと松戸市内で2度に渡って転居を繰り返しました。何か夜逃げでもしなければならない「事情」があったかのような動きですが、夜逃げなら住民票は移さないでしょう。


この転居の目的が矢野氏を当選させることにあったことは、『民主主義汚染』の帯からもわかるように、当時から周知の事実でした。だからこそ、マスコミでも、自治省(当時)や憲法学者の見解を紹介しながら報道されたのです(「東村山市議会だより」132号〔平成8年5月20日付〕に掲載された矢野穂積議員への辞職勧告決議参照)。


ありもしない「事情」を持ち出して矢野・朝木両「市議」を擁護するこの「主婦」は、いったいどういう人なのでしょうか。「十一年ほど前の市議選」のことを覚えているなら、こんなことを書くはずはないでしょう。自作自演でしょうか。それとも、矢野・朝木両「市議」の宣伝工作が効を奏して、こんなふうに思い込んでしまっているのでしょうか。どっちにしても、議席譲渡問題をごまかさなければならないという意識は、矢野・朝木両「市議」にも少しはあるようです。


おもしろいことに、次の153号(2006年12月19日付)第3面にも同じ趣旨の声が載っています。今度は「高齢者」だそうです。

朝木直子議員が事情で松戸に転出し、権利を放棄し当選辞退した件では、公選法違反でもないのに大騒ぎしながら、家族4人で現在も日野市に住んでいるのに選挙でるためだけに、佐藤真和市議が自分の住民票を勤務先の保育所が借りていたワンルームに移した公選法違反事件に黙っているのは前号の通りで、おかしいですね。(栄町 高齢者)


前号を見て電話してきたから、言ってることがほとんど同じでも問題はないということでしょうか。もう少し工夫してはどうですかね。


まあ、この2人の声が自作自演であるにせよそうでないにせよ、矢野・朝木両「市議」の心根を鮮やかに表したものであるとは言えるでしょう。「事情で」の部分もそうですが、「公選法違反でもないのに」の部分もそう。朝木氏個人に投票した有権者の信託は踏みにじっても、法律に違反していなければ問題はないというのは、実に〈草の根〉的な考え方です。議席譲渡問題の発生直後に自治省(当時)が「公選法は、当選を辞退するという行為自体を想定していない。当選者の倫理の問題だ」とコメントしていたように(前掲辞職勧告決議)、こんな非常識なことをやる人間が出てくるなどとは誰も思わなかったということにすぎません。


しかし、矢野・朝木両「市議」が議員職というものをどのようにとらえているか、もっとも象徴的に示しているのは、「権利を放棄し当選辞退した件」というところでしょう。


矢野・朝木両「市議」にとって、市議の議席というのは放棄・譲渡可能な「権利」だということです。市議会選挙での当選は、公団住宅の抽選に当たったのと同じレベルの話なのでしょう。公団住宅に住む権利を放棄しても誰も文句は言わないでしょうが、議員職まで同じように考えてもらっては困りますよね。


議席は「権利」だから、同じ会派内で譲り合っても問題はない。せっかくの「権利」はフル活用しないともったいないので、議会を公然と私物化して恥じるところがない。せっかくの既得権を脅かす薄井市議や佐藤市議は許せないから、何とかして追い落とそうとする。わかりやすいというか、情けないというか。


それでいながら、朝木「市議」は「東村山恐怖新聞市民新聞」155号(2007年2月28日付)の第2面で、「民主党系の東村山市議選の予定候補者」(奥谷浩一・現市議)について、次のように書いています。

守口市議を任期途中で勝手にやめて、選挙のちょうど3ヶ月前に、東村山市に転入し、3ヶ月住んでるから、今度は東村山市議選に立候補するというのですからあきれます。


任期途中で守口市議の職を放り出すのは、ずいぶん守口市民を小ばかにした態度」とも書いていますが、任期開始前に東村山市議の職を放り出した自分は、どれだけ東村山市民を愚弄したと思っているのでしょうか。


佐藤市議への言いがかりを続けるかぎり、この問題は繰り返し繰り返し取り上げますので、最高裁に上告するならせいぜいがんばってください。ちなみに「議員への声」の掲載責任は朝木直子編集長と矢野穂積発行人にありますので、「公選法違反事件」と断定している部分については早めに訂正しておいたほうがいいんじゃないですかね。もう遅いですけど。