“汚染”どころか“融解”の危機に至る東村山市の民主主義


【追記】9月9日(火)の厚生委員会の件ですが、りんごっこ保育園に関する「意見書」についての審議は非公開で行なわれ、傍聴はできないそうです。佐藤市議の記事のコメント欄に追記がありました。いろいろ考えた末のことでしょうが、「民主主義“融解”」をますます実証するようなものであると思います。


(以下本文)
りんごっこ保育園、会計検査院の指摘も無視?」というタイトルで引き続き保育園問題を取り上げる予定でしたが、事情が変わったのでタイトル・内容とも変更します。とりあえずは、佐藤市議による一般質問報告「りんごっこ保育園 国庫補助金未返還問題」(9月7日)を読んでいただければ十分かと。C.I.Lでも、「矢野穂積とりんごっこ保育園の置かれた危機的状況」と題してこの件が取り上げられています。いずれにせよ、厚生委員会が開かれる9月9日(火)、国庫補助金の最終返還期限である10日(水)がこの問題の山場となるようです。


事情が変わったというのは、荒井さん松沢さんもさっそく触れていますが、「東村山市民新聞」のトップページが7日午後6時過ぎに更新され(9月8日付)、次のような見出しが登場したからです。

新たな情報をもとに朝木明代議員謀殺事件究明に立ち上がった瀬戸弘幸氏ら主催の
9月1日朝木明代議員追悼・東村山駅頭行動に矢野・朝木議員が参加、事件究明を市民によびかけ。


新たな情報」など存在しないことはすでにほぼはっきりしているのですが、まあそれはいいでしょう。そういえば、「各方面にきわめて重大な影響を与えることは明らか」とか、朝木明代議員転落死事件の真相を考える「大きな手がかりになりそう」とか言っていた6月17日の最高裁判決の全文は、いつ、地裁・高裁判決とともに公にしてもらえるのでしょうね(7月26日付「『FORUM21』裁判 『訴状』掲載から1ヶ月」参照)。


あいかわらず8月24日のシンポジウムのことや、その模様を収めた動画・DVDのことについては触れられておらず、松沢さんが「なんと失礼な人たちでしょう」と呆れる状況は変わっていませんが、それもまあいいでしょう。


重要なのは、これまでのような「事実上の“共斗”宣言」ではなく、矢野・朝木両「市議」が、瀬戸弘幸氏らのような街宣右翼と手を組んだことを自分のサイトで公式に認め、その活動に賛同・参加・協力していることを明らかにしたことです。


それでいて、洋品店襲撃事件と、その後も続く、信用毀損・名誉毀損・肖像権侵害等に相当すると思われる行為については何も触れていないことです。


やはり、矢野・朝木両「市議」は、洋品店襲撃を含む瀬戸氏らの行為を容認・黙認・奨励していると判断せざるを得ない。松沢さんも次のように書いています。

この行動〔=洋品店襲撃〕に対して、「草の根」は何ひとつ弁明しないどころか、相変わらず、都合のいい情報を襲撃グループに流し続けていることから見て、示唆まではしてなくても、彼らは洋品店襲撃事件」を支持していることは間違いなく、さらなる行動を煽っていると思われてもやむを得ない。


このことは何を意味するか。


矢野・朝木両「市議」を批判する者は、いつ、“創価学会関係者”と見なされて集団的・心理的暴力を受けてもおかしくないということです。


数日前の記事の最後に「支那そば」屋さんのたとえを持ち出したことについて、松沢さんからは、「『普通の人たち』にはわかりやすくとも、ゼリーグループには無理だと思います」と指摘されてしまいました。あの人たちは「『反創価学会』であれば何をやってもいい、創価学会に対しては何をやってもいい、末端の信者に対しても何をやってもいい、創価学会の信者じゃなくても『反創価学会』に楯突く人間には何をやってもいいと思っている」のだから、と。


何をやってもいいと思っている」かどうかはともかく、自分たちが“創価学会の直接・間接の関係者”と見なした相手には、少々法律に触れるようなことをやっても問題はないと思っていることは確かなようです。また、洋品店襲撃の様子とその後の対応を知れば、一般市民が「何をされるかわからない」と不安に感じるのは当然でしょう。


もう一度、洋品店襲撃の模様をお読みください。最後の方で、襲撃参加者のひとりはこんなシュプレヒコールまであげています。


「学会信者を東村山からたたき出せー!」


このまま沈黙を続けるならば、当然、矢野・朝木両「市議」もこの発言を容認していると見なさざるを得ない。創価学会の政治への関わり方、政教分離のあり方に関する議論などはともかくとして、信教の自由は憲法で認められた基本的人権のひとつです。矢野・朝木両「市議」はかつて、〈共産党市議ら、教育現場に、日の丸・君が代を強制する新教育長の選任に同意!〉と題するページで「市議たちの憲法感覚は麻痺状態だ」と書きましたが、他の市議のことをあれこれ言えた義理ではありません。


(ちなみに、この件について取り上げた記事で私は、「〔国旗・国歌の〕『強制はいたしません』ということになれば東村山市に右翼が押し寄せてくる可能性も考えられるわけですが、矢野・朝木両『市議』にはそれに立ち向かう覚悟があるのか(いやない)」と書きましたが、立ち向かうどころか手を組んじゃった。)


創価学会員ではなく、創価学会とは何の関わりもない市民にとっても、他人事ではありません。この問題に関心を持ち続けてきた方たちは、矢野・朝木両「市議」が、追い詰められるとすぐに相手を“創価関係者”などと決めつけてきたことをよくご存じでしょう(8月25日付記事など参照)。


何しろ、りんごっこ保育園で退職者が相次ぐのも、すべて創価・公明の陰謀「みんなでやめれば、すぐ潰れる。つぶしちゃおう」作戦)だという話になるのです(6月17日付記事参照)。佐藤市議の記事によればあいかわらず転園希望者も多いようで、今年度も転園希望者・転園実現者のおよそ4人に1人がりんごっこ保育園の子どもという異常事態になっていますが、これも、いまのところ口には出さないだけで、創価・公明の陰謀ということになっているのでしょう。もはや自浄作用が期待できる状態ではありません。


瀬戸氏は、洋品店襲撃の件で洋品店に謝罪するつもりはまったくなさそうです。身を挺して襲撃からお店を守った千葉英司さんに対しても、「私が呼びかけた街頭宣伝活動で嫌な思いをさせてしまったということであれば、こちら側も最初からその気はなかったので謝りましょう」としつつ、「まさか、その人は創価学会とは関係のない人ですよね」と大書しています。つまり創価学会と「関係」があれば謝る気はないということです。


同じ記事で、瀬戸氏は佐藤市議と薄井市議(「正美」という誤字は修正されていました)の名前を唐突に挙げ、次のように書いています(行間は詰めた)。

 このお二人はどうも皆さん方とお仲間のようです。実はこのお二人は創価学会とは何の関係もないーと語っておられるようです。
 いずれと言うか、近いうちに取材でお邪魔をしたいと考えています。
 創価学会と全く関係がない。
 そうですかね。直接なくとも、間接的くらいにはあるんじゃないんですか。勿論、その確証を得ているからこそ出向いて見ようと思っています。


このように、矢野・朝木両「市議」が言いがかりをつけてきたお2人の市議も、すでに“創価学会関係者”とほぼ認定されているわけです。コメント欄では、「『確証』があるのは薄井市議の方だけです。/佐藤市議はこれからですね」とも書いていますが(Mauiiの日記の9月26日付記事参照)、どうせネタ元は矢野・朝木両「市議」でしょうから、馬鹿馬鹿しいとしか言いようがありません。また、この人の言う「間接的」関係は、Mauiiさんが繰り返し指摘しているように、際限なく広がっていくおそれがあります。


実は、私は瀬戸氏のこの記述を読んだときにぞっとしました。洋品店襲撃について謝罪の言葉も口にしない人物が、「取材でお邪魔をしたい」とか「出向いて見よう」と言うのですから、少なくとも私にとっては恫喝としか聞こえません。そして矢野・朝木両「市議」は、現段階では、目の上のタンコブである2人の市議を抑えるために瀬戸氏の存在を利用していると判断するしかありません。


かつて、東村山市には「柔らかい恫喝態勢」が形成されていると喝破した人がいました(5月19日付「20年前から変わらない〈草の根〉体質」参照)。紙版・ウェブ版「東村山市民新聞」による誹謗中傷、「東村山の訴訟マニア」とも称されるほどの濫訴傾向により、市民や市議の間に「何を言われるかわからない」「いつ訴えられるかわからない」という雰囲気が広がっていったことを形容するのに、これほど適切な表現はないでしょう。


それがいま、「何をされるかわからない」という段階に達しつつあるというわけです。『民主主義汚染』とは宇留嶋さん議席譲渡事件と朝木明代市議転落事件を追ったルポルタージュの題名ですが、もはや東村山市の民主主義は“汚染”どころか“融解”しつつあるのではないかとさえ思えます。申しわけありませんが、自分が東村山市民でなくてよかったと、これほど痛切に感じたことはありません。


実のところ、私はりんごっこ保育園の再認可問題について、条件付きの再認可もやむを得ないかと考えていました。さまざまな問題はあるにせよ、東村山市における待機児の人数を考えれば、認可園をひとつ、いきなりなくしてしまうわけにもなかなかいかないでしょう。市との誠実な協力を約束し、とりわけ市からの情報提供要請や改善指導にはきちんと従うこと、そして開かれた保育を進めること、引き続き保育条件の改善に努力することなどが書面化されれば、当面は問題も起きにくくなると考えたのです。


しかしここへきて、私はそれでいいのかと思っています。ひとつには、佐藤市議によって明らかにされた国庫補助金未返還問題を知り、会計検査院の指摘にも関わらず市からの返還請求を無視し続けるのでは、もはや「誠実な協力」など絶望的であろうと感じたため。そして、矢野・朝木両「市議」が、瀬戸氏のような人物と手を組むことによって、「恫喝態勢」をさらに強化しようとしているためです。


私は義憤からこの問題に関わり続け、薄井市議を、佐藤市議を、そして東村山市を何とかよくしていきたいと考えている一部市民のみなさんを応援してきました。言ってみれば勝手にやっていることですから、りんごっこ保育園再認可問題がどうなろうと、できるかぎりのことは続けていくつもりです。


その上で、私は市議のみなさんと市長さんに心からお願いしたい。


東村山市は何かおかしいと感じていながらもなかなか声をあげられないでいる市民を、そして(少なくともいまのままの)りんごっこ保育園には子どもを安心して預けられないと不安を感じている保護者を、絶望させないでください。