だからWikiや判決ぐらい調べましょう(無理?)


11月6日午前7時半現在、「東村山市民新聞」の最終更新日は「2008年11月4日」のままです。


いま出先なのでまとまった記事が書けないのですが、瀬戸弘幸はますます迷走しつつありますね。〈【連載】朝木明代市議万引き未遂冤罪事件(4):店内にいた目撃者とは、果たして誰なのか?〉では、ついにこんなことを言い出しました。

 名誉毀損の裁判も控えているので、先ずはこの万引き未遂事件の捜査が如何にズサンなものであり、八王子検察庁と東村山」警察署(当事の副署長は今回裁判を提訴した千葉英司氏(以降敬称略)による冤罪事件であるかを引き続き追及して行きます。


おかしなところにカギカッコがありますし、丸カッコもきちんと閉じられていませんが、要するに“千葉英司が冤罪の首謀者”と言っているわけですね。いいんですかね、こんなふうに断言しちゃって。


万引き未遂」という表現にこだわるのも理解できません。ウィキペディアぐらい調べればよろしいのにといつも思うのですが、10月31日付の記事でも指摘したように、今回の事件ははっきり既遂です。その上で「冤罪」を主張するならまだわかりますが、わざわざ「未遂」などとつけていると、“本当はやったと薄々わかってるから、「未遂」と書いて悪質さを軽く見せようとしているんだな”と思われてしまいますよ。


しかも、矢野・朝木の著書である『東村山の闇』をほとんど唯一の根拠として、こんなことを書いてしまう(太字は引用者=3羽の雀)。

 各マスコミの取材でも明らかなように、この店主は最初は朝木さんの顔を知らずに、直後にこの「たまたま店にいたお客」が朝木さんらしいと言ったので「犯人は朝木だ」として訴えたことになっています。


本当に一連の判決を読んでいないんですね。


たとえばブティック店主名誉毀損事件の高裁判決では次のように認定されています(丸付き数字はカッコつき数字に変更、太字は引用者=3羽の雀)。「被控訴人」が洋品店店主です。

 そこで検討すると、証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実を認めることができる。
ア 被控訴人は、西武新宿線村山駅近くのブティック「●●」(以下「本件店舗」という。)を経営する者であるが、平成7年6月19日午後3時20分ころ、故明代が本件店舗前の陳列ハンガーからTシャツ1枚(時価1900円)をはずし、着用していたジャケットの内側に挟み込んで立ち去るのを目撃したとして、警視庁東村山警察署(以下「東村山署」という。)東村山駅前交番に万引きの被害申告をした。
イ 東村山署刑事課捜査係長は直ちに現場に赴き、被控訴人から事情を聴取したが、被控訴人の供述内容は次のようなものであった。
(ア)平成7年6月19日午後3時15分ころ、本件店舗のレジで店番をしながらショーウインドー越しに外の人通りを見ていたところ、東村山駅の方向から歩いてきた故明代が店先においてあるハンガーの展示コーナーに向かうのを見た。
(イ)前から故明代の顔を知っていたが、平成6年夏ころにも商品を万引きされたことがあったので防犯ミラーを通して同人の動きを注意深く監視していた。
(ウ)故明代は、ハンガーから黒色の衣服を取り出し、小さく折りたたんだかと思うと、すぐさま脇の下に隠し、足早にイトーヨーカ堂の方向へ立ち去ろうとした。
(エ)本件店舗を飛び出して故明代を呼び止め、万引きの事実について追及したが、同人は「盗んでいない」と犯行を否認した。
〔中略〕
 上記認定事実によれば、被控訴人が被害を申告した本件万引き事件においては、目撃者が3名おり、被控訴人の供述が裏付けられていること、東村山署の捜査の結果、故明代の主張するアリバイが証明されなかったことが認められる上、被控訴人の供述(陳述書の記載を含む。)によれば、故明代を犯人と確信する理由として、被控訴人は、(1)故明代が市議を務めていた東村山市内に住んでおり、本件店舗に通勤する途中、故明代の事務所前でしばしばその姿を見かけている、(2)故明代の選挙ポスターの写真を頻繁に目にしているところ、故明代は東村山市民にとっていわゆる「有名人」であり、その顔もよく知っている、(3)数分間も万引き犯人と対面しており、その際はっきりと犯人の顔を見ている・・・というのであるから、被控訴人が確たる証拠もなしに本件万引き事件の被害を申告したということはできず、被控訴人が確たる証拠もなく故明代を万引き犯人扱いしたという事実の主要な点が真実であると認めることはできない。


同様に、『創価新報』裁判でも次のように認定されています。

(イ)平成7年6月19日午後3時15分ころ、T〔洋品店店主〕は、洋品店内において店番をしていたところ、一人の女性が、同店の店頭に立ち寄った。その際、Tは、本件女性について、当時現職の東村山市議会議員で選挙ポスターを見ることにより人相をよく知っていた明代であると認識した。


つまり、瀬戸が「この店主は最初は朝木さんの顔を知らずに」と書いているのは、基本的なところで間違っているわけです。


9月2日付〈矢野穂積・朝木直子両「市議」と瀬戸弘幸氏には本当に真相解明を求める気があるか(いやない)〉でもとっくに指摘済みですが、もう一度、同じ指摘を繰り返しておきましょう。

真相解明のために再捜査を求めるなら、過去のさまざまな判決で否定されてきた主張や“証拠”を馬鹿のひとつ覚えのように繰り返すのではなく、ひとつひとつの判決を精査し、これまでの認定を覆すに足る論理と主張を提示するべきでしょう。そのような作業がなければ、法治主義をとるこの日本で、捜査機関を動かせるはずもないし、動かすべきでもない。街宣なんかやってる場合じゃないんじゃないでしょうか。けっきょく真相解明などは名ばかりで、低レベルのプロパガンダに過ぎないということですかね。



【追記】(2009年11月24日)洋品店および店主の実名が残っていた箇所を修正し、裁判例のリンク先も変更した。