逃走を図る西村修平、裁判おかわりのリスクを無視して準備書面で暴言を吐く黒田大輔 ※裁判例を追記


先週から今週にかけ、第2次街宣名誉毀損裁判の口頭弁論が細川勝一郎・西村修平両被告それぞれについて行なわれましたが、これについては四塩化炭素さんの傍聴レポをTogetterでまとめてありますので、そちらを参照。


とくに西村修平の情けない逃げっぷりには目を見張るものがあります(りゅうオピニオン〈【第2次街宣名誉毀損裁判(西村・細川VS千葉氏)】西村修平は細川勝一郎氏・矢野穂積に責任をなすりつけて逃走態勢〉の解説も参照)。


また、黒田大輔クロダイ)・日護会代表および高山あずさ・同事務局長が創価学会員から肖像権侵害や名誉毀損で訴えられている日護会・ニコ生肖像権侵害裁判(「ちくわん隊」裁判)については、両名が展開している失笑ものの主張の詳細をりゅうさんが明らかにしてくれていますので、まとめWikiの該当ページからご参照ください。人の容貌・姿態をその承諾なく撮影する行為と不法行為の成否については、第2次街宣名誉毀損裁判の1月28日口頭弁論で、「和歌山毒入カレー事件」に関連した肖像権侵害訴訟の最高裁判決が最近のリーディングケースとして裁判長から紹介されていますが、クロダイくんはこの判例を承知しているのでしょうか。


さらに、準備書面では原告に向かって
捏造証拠を平然と裁判所へ提出する不逞な輩である
などと穏やかでないことも口走っているようですが、千葉英司さんの陳述内容が名誉毀損に該当するとして矢野穂積「市議」が反訴した例(「創価問題新聞」事件)、訴状や陳述書の内容が名誉毀損であるとして同じく矢野「市議」が弁護士と創価学会を提訴した例(「検察官発言」裁判)に見られるように、下手なことを書くと裁判のおかわりということになる可能性もあります。タレントの眞鍋かをりさんが元所属事務所から同様の理由で提訴されたのも記憶に新しいところです。


矢野「市議」の請求はいずれも棄却されましたが、「検察官」発言裁判では次のように判示されました。

(2)別訴〔『フォーラム21』事件〕訴状は、控訴人〔矢野穂積〕の行為に関して、「FORUM21」の記事が被控訴人創価学会の名誉を毀損するという趣旨の訴えを内容とするものである。
 しかし、原判決の説示するとおり、民事訴訟に関与する当事者の主張立証等の訴訟活動は十分に保障される必要があり、たとえ訴訟当事者の主張に相手方等の社会的評価を低下させる内容があったとしても、これを直ちに違法な名誉毀損行為とすることはできないのであって、訴訟当事者の主張が、もっぱら相手方等を誹謗中傷する目的で行われた場合、著しく不適切な表現が用いられた場合等、民事訴訟の目的に照らして、著しく逸脱した訴訟活動であると認められる特段の事情がない限り、違法な名誉毀損行為とならないというべきである。
(りゅうオピニオン〈【裁判メモ第1弾】矢野穂積市議VS井田弁護士の東京高裁判決(抜粋)〉)


逆に言えば、「訴訟当事者の主張が、もっぱら相手方等を誹謗中傷する目的で行われた場合、著しく不適切な表現が用いられた場合等」には、たとえ訴訟活動上の主張であっても違法な名誉毀損が成立する余地はあるということです。別にクロダイくんらに忠告する義理もありませんが、せっかく矢野穂積「市議」のおかげでこのような基準が示されているのですから、注意した方がよろしいでしょう。


他に、弁護人が被告人の利益擁護のためにした行為と刑法(名誉毀損罪)上の違法性の阻却事由について判断した最高裁判例もあるようですが、詳しく検討している暇がないので、紹介するだけに留めておきます。


ところで、2月8日には対創価学会街宣名誉毀損裁判控訴審の第2回口頭弁論が控えていますが、クロダイくんは、第1回口頭弁論翌日、藤井富雄・元公明党都議と後藤忠政・元後藤組組長の証人申請をめぐって次のように語っていました


「私もですねえ、もう一回、再度、資料を洗い直してですねえ、えー、(中略)渾身のですねえ、書面をつくって、えー、次回2月8日、期日になってますから、その1週間前までに提出したいと思います。えー、クロダイは、えー、えー、裁判資料の期日、あまり守りませんけれども、今回は、しっかりと守って、しっかりと守ってね、頑張りたいと思います」


相変わらず何かにとり憑かれたかのようにニコニコ生放送に興じているようですが、果たして「渾身の・・・書面」は提出されたのでしょうか。来週に迫った第2回口頭弁論が楽しみです。


〔この記事は2月1日お昼前にアップしたものです。〕


【追記】(2月2日)
ヲチスレ経由で知りましたが、民事訴訟において相手方代理人弁護士の訴訟活動を非難し,その名誉を毀損する答弁書を提出した行為等が,訴訟活動として必要性がないことなどを理由に,不法行為に該当するとされた事例」に関する裁判例京都地裁・平成18年8月31日)が裁判所の判例検索システムに掲載されていたので、追記しておきます。


この事案で問題にされたのは、答弁書における次のような表現です。


「過払元金が1万円程度の場合であれば,訴訟提起しても,弁護士費用等がかかる為,原告本人には経済的メリットはない。にもかかわらず,訴訟提起までしてくる行為は,原告代理人(控訴人外5名の弁護士を指す。)が単に弁護士費用を稼ぎたいだけの行為であるとしか考えられず,この様な行為も権利濫用であり,信義則にも反する行為である。」


裁判所の判断を引用しておきます(太字は引用者=3羽の雀)。

第4 当裁判所の判断
1 控訴人は,被控訴人が,別訴事件において,陳述擬制を求めて本件答弁書を提出し,本件陳述書が陳述したものとみなされたことをもって,控訴人の名誉が侵害されたことを理由として,被控訴人が控訴人に対し不法行為責任を負うと主張する。
 そこで,まず,被控訴人が,本件答弁書を提出し,それを陳述したものとみなされたことにより,控訴人の名誉が侵害されたか否かにつき検討するに,第2の2(2)のとおり,被控訴人は,別訴事件の第1回口頭弁論期日前に,陳述擬制を求めて本件答弁書を提出し,同期日に本件答弁書が陳述したものとみなされたことにより,控訴人が依頼者であるAらの利益を無視し,控訴人本人が弁護士費用を獲得することだけを目的として,Aらの代理人として別訴事件を提起したとの事実を公開法廷で摘示したものであり,その摘示した事実は,社会正義の実現等を目的とする弁護士の使命に反するものであるから,被控訴人の上記行為により,控訴人の名誉が毀損されたと認められる。
 ところで,被控訴人は,別訴事件の訴訟活動の一環として,本件答弁書を提出したのであるから,当該行為が訴訟活動として違法性を阻却される否かにつき,さらに検討する。民事訴訟においては,当事者間の利害が鋭く対立し,個人的感情の対立が激しくなるのが通常であり,そのため,一方の当事者の主張・立証活動において,相手方当事者その外の関係者の名誉や信用を損なう主張等がなされることがあるが,それに対し,相手方は直ちに反論等をすることができ,かつ,当該主張の当否や主張事実の存否は,事案の争点に関するものである限り,終局的には当該事件についての裁判所の裁判によって判断され,これによって,損なわれた名誉や信用を回復することが可能である。このような民事訴訟における訴訟活動の性質等に照らすと,その手続において当事者が行う主張・立証活動により,相手方等の名誉が毀損されたとしても,それが当然に不法行為を構成するものではなく,訴訟行為と関連し,訴訟遂行のために必要であり,主張方法も不当とは認められない場合には,違法性が阻却されるが,訴訟活動に名を借りて,訴訟上主張する必要のない事実を主張し,相手方等の名誉を損なう行為に及んだなど,正当な訴訟活動として許容される範囲を逸脱していると評価できる場合には,不法行為が成立するというべきである。
 そこで,以上を前提として,本件につき検討するに,証拠(甲1)及び弁論の全趣旨によると,被控訴人は,別訴事件におけるAらの請求が権利濫用又は信義則に反することを主張するために,本件表現を用いたと認められるが,本件表現は,控訴人が別訴事件を受任した動機を非難するものであり,本件表現に摘示された事実が,Aらの上記請求が権利濫用に該当したり信義則に反することを根拠付ける事実になるとはおよそ考えられないし,被控訴人が同事実をもってAらの上記請求が権利濫用等になることを根拠付けると考えたことを正当化する理由も見い出し難い。したがって,被控訴人の上記主張が別訴事件の訴訟行為と関連し,訴訟遂行のために必要であったということはできないし,そのように考えたことに正当な理由もない。
 なお,別訴事件の提起・遂行により控訴人がAらから報酬等を受領することは当然であるものの,証拠(甲2,3)及び弁論の全趣旨によると,別訴事件を提起・遂行する目的はAらの損失の回復のためにあると認められるから,被控訴人による本件表現は真実を摘示したものとは認め難く,本件表現が違法との評価を受けることは免れない。別訴事件においてAら及び被控訴人が主張する過払金額や,控訴人が別訴事件と本件との併合審理を求めたことなども,上記認定を左右するものではない。
 したがって,被控訴人が別訴事件において本件答弁書を提出したことは,正当な訴訟活動として許容される範囲を逸脱しているというほかなく,違法性を阻却されない。
2 証拠(甲2)及び弁論の全趣旨によれば,控訴人は,被控訴人の上記行為により精神的苦痛を受けたと認められ,上記認定の事実関係に照らすと,同精神的記苦痛に対する慰謝料の額は,10万円を下らないと認めるのが相当である。
〔後略〕