京都朝鮮学校/徳島県教組襲撃事件の執行猶予付判決でますます高まるヘイトクライム犯罪化の必要性 ※追記あり


昨日(21日)は東京高裁と京都地裁襲撃する運動関連裁判の判決が言い渡されました。


まず、朝木明代市議転落死事件について「明らかに創価学会の犯罪なんです」などと街宣したまきやすともとクロダイ(黒田ダイスケ)がともに訴えられ、第1審判決(2010年7月30日)でそれらの主張を一蹴されて敗訴(110万円の損害賠償+指定地域における街宣禁止)していた対創価学会街宣名誉毀損裁判の控訴審で、東京高裁は原審判決を維持して控訴人(まき・黒田)の請求を棄却*1
「朝木市議の死が、そもそも他殺によるものであるとも、また、原告創価学会の会員が朝木市議の死に関係したとの事実も認められない」
「被告らにおいて、原告が朝木市議を殺害したと信ずるについて相当の理由を認めることも、また、これを窺うこともできない」

などと判断した原審の認定が再確認されたことになります。いわゆる「暗殺依頼密会ビデオ」ネタに一縷の望みを託していたクロダイにしてみれば、こんな感じ↓でしょうか。



まきやすともは早速〈[http://makiyasutomo.jugem.jp/?eid=648:title=控訴審も「創価学会マンセー」で、終了]〉という負け惜しみエントリーをアップして上告を宣言していますが、控訴審結審後に「[http://blog.livedoor.jp/ryuopinion/archives/51749845.html:title=でも、きちんとした裁判官だと思うよ]」と語っていたというクロダイはどうするのでしょうか。


こんなクロダイを「現在創価学会から告訴され闘っている全国でも唯一の候補者ではないかと思います」(〈[http://blog.livedoor.jp/the_radical_right/archives/52678769.html:title=統一地方選挙に関して:反創価候補、草の根、日護会の健闘に期待する]〉)などと持ち上げつつ、今のところ今回の判決についてコメントする気配すら見せないのが瀬戸弘幸サンです。[http://blog.livedoor.jp/the_radical_right/archives/52678769.html:title=クロダイとともに矢野穂積・朝木直子両候補を応援するこのエントリー]については、別途ゆっくりつっこみを入れます(追記:[http://d.hatena.ne.jp/three_sparrows/20110423/p1:title=つっこみました])。


もうひとつ、[http://www2.atwiki.jp/kusanonemaze/pages/130.html:title=京都朝鮮学校襲撃事件]/[http://www2.atwiki.jp/kusanonemaze/pages/133.html:title=徳島県教組襲撃事件]をめぐる刑事裁判では、在特会幹部ら4名に執行猶予付の有罪判決が言い渡されました。いろいろ報道されていますが、ここは自称「愛国者」御用達・産経新聞の記事を引用しておきましょう。


 京都朝鮮第一初級学校(京都市南区)の授業を街宣活動で妨害したとして、威力業務妨害などの罪に問われた「在日特権を許さない市民の会」(在特会)幹部、西村斉被告(42)の判決公判が21日、京都地裁であった。笹野明義裁判長は「被害者に与えた恐怖心や屈辱感は大きい」として、懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役2年)を言い渡した。
 同罪などに問われた他の在特会メンバー3人も同日、懲役1年6月〜1年でいずれも執行猶予付きの有罪判決を受けた。
 判決理由で笹野裁判長は「犯行は多くの児童が校内にいることを認識して行われており、授業が妨害された結果は重大」と述べた。
 判決によると、西村被告ら4人は平成21年12月、同校前で、拡声器を使い「北朝鮮のスパイ養成所」などと叫び、授業を妨害した。
 判決を受け、学校側は「今後このような民族差別が起こらないよう願う」とコメントした。
(太字は引用者=3羽の雀)


aramasanさんの傍聴記〈京都・徳島事件刑事裁判地裁判決を終えて〉によれば、判決では
(京都朝鮮)学校側への侮辱は明白」
(徳島県教組襲撃について)政治性は認められず・・・警察の制止がなくとも関係なく犯罪である」
「悪質であり反省がない」

といった趣旨の指摘も行なわれ、最後に「次は執行猶予がつかない」とはっきりと述べられていたそうです。


ともあれ、これによって京都朝鮮学校・徳島県教組襲撃犯に対する判決が出揃ったことになります。

被告人     求刑(懲役)     判決/執行猶予
西村斉 2年 2年/4年
荒巻靖彦 1年6カ月 1年6カ月/4年
川東大了 1年6カ月 1年6カ月/4年
中谷辰一郎 1年 1年/4年
中谷良子 2年 2年/5年
星エリヤス 8カ月 8カ月/3年
慶次郎(通称) 8カ月 8カ月/4年


「被告らが『違法と判断されれば活動手法を改める』と述べているのは、刑を軽くする理由になる」NHK朝日新聞)との理由で、首謀者と認定された西村斉さえ実刑にならなかった点には不満が残りますが、彼らの蛮行が犯罪であると認定されたことには違いがありません。西村斉はNHKの取材に対して
今回の原因をつくったのは、朝鮮学校側だということに触れられていない判決だった。控訴も検討している
とコメントしていますから、彼が京都検事談話などと称してしばしば宣伝してきた“原因は朝鮮学校側にある”説も一蹴されたと見ることができます。今回有罪とされた4名の判決は未確定ではありますが、このような連中を依然として副会長(川東)や京都支部長(西村)として登用し続ける在特会は、瀬戸サンやまきやすともが創価学会を指して好んで用いる「犯罪者集団」であり、桜井会長が言うところの「きわめて危険な反社会的組織」であると考えてよいでしょう(2010年8月30日付〈「他者の犯罪行為を理由に自分の犯罪行為を正当化するなど、法治国家に対する重大な挑戦といわざるを得ない」(桜井誠・在特会会長)〉も参照)。


こうした認識は警察庁でも同様のようです。公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」平成23年版に続き、警察庁の「回顧と展望」(『焦点』第279号「平成22年の警備情勢を顧みて−特集『インターネットが警備情勢に与える影響』」、4月14日公表)でも、在特会を含む襲撃する運動の動向が少なくとも2カ所で取り上げられていました(追記〔4月24日〕:資料屋のブログ〈行動界隈、警察庁警備局広報誌「焦点」に登場、警察白書デビューはまだか〉も参照)。


社会運動とインターネット
■右翼・右派系市民グループ

 右翼や右派系市民グループは、全国的な組織拡大を図るため、ウェブサイトを開設して主義主張を訴えて会員や寄付を募集したり、集会やデモの予定を掲載して参加を呼び掛けたりしています。
 また、抗議現場における反対勢力とのトラブルや警察官とのやりとり等の過激な場面を動画で配信することでアクセス数を増加させ、より過激な行動や発言を助長する傾向もみられます。
(第1章「社会運動とインターネット」〔PDF〕より。写真は主権回復を目指す会が中心になって行なった『ザ・コーヴ』上映粉砕街宣の様子と思われる)


右翼・右派系市民グループ
抗議行動

〔中略〕
 また、極端な民族主義・排外主義的主張に基づき、外国人参政権反対等を主張する右派系市民グループは、各地で抗議行動を行い、一部に反対勢力とのトラブルもみられました。
 右翼等は、今後も国内外の諸問題を捉え、抗議行動等を執拗に行うものとみられ、その過程でテロ等を引き起こすおそれがあります。
(第4章「右翼・右派系市民グループ」〔PDF〕より。写真は、2010年3月28日に行なわれた朝鮮学校支援デモへのカウンターデモの様子と思われる)


なお、aramasanさんが今回の判決に関する朝鮮学校側の声明を全文掲載してくれていたので、私も転載させてもらいます。

京都朝鮮第一初級学校「襲撃」事件に関する刑事裁判判決について
去る2009年12月4日など、刑事被告人・西村斉他3名をはじめとした在特会メンバーらによって引き起こされた京都朝鮮第一初級学校への「襲撃」事件によって、同学校と学校法人京都朝鮮学園、及び同校の児童・園児とその保護者などの学校関係者は、精神的にも物質的にも多大な苦痛と不利益を被った。
彼らのような人種差別集団、嫌がらせグループが、子どもたちと保護者を混乱と不安に陥れたことについて、我々学校関係者は、今もっても決してこれを許すことが出来ない。
事件発生時、彼らの常軌を逸した異常な言動がこのまま放置されるのではないかと不安に感じた。しかし、その刑罰の軽重、及び罪状に見られるような裁かれ方には少なからぬ不満を覚えるが、仮にそれを別にするならば、彼らが逮捕・起訴され司法の場において刑事被告人として裁かれたことには、一定の社会的評価が付与されるものとも考える。
今回の判決が一罰百戒となることによって、又彼らを被告として現在進行中の民事裁判の結果によって、今後、このような忌まわしい民族差別、外国人いじめが起こらないよう、又人種差別撤廃条約を初めとする各種国際人権法が遵守されて、全ての子どもたちが安心して健やかに育って行ける社会となるよう、心から願うばかりである。
我々学校関係者は、その様な願いを一つの礎石として、多くの良心的な日本市民の支援・賛同に鼓舞されながら、民族教育の発展になお一層努めて行きたい。
2011年4月21日
学校法人京都朝鮮学園
京都朝鮮第一初級学校 


私も今回の判決が「一罰百戒」の効果を持つことを願うものですが、残念ながらなかなかそうはいきそうにありません。2010年4月1日付〈「襲撃する運動」が野放しにされている状況こそ「世界の非常識」〉でも述べたように、憎悪犯罪(ヘイトクライム)概念を刑事法に導入し、人種主義的・民族差別的動機に基づいて行なわれた犯罪については刑を加重することを真剣に考えるべき時期が到来したように思います。


【追記】(4月23日)
5月7日に報告集会が開かれるようです。ちいとも反省していない様子がありありと伺えます。



第二部
京都・徳島事件 報告集会
平成23年4月21日、京都・徳島事件の判決が下されました。これを一つの区切りとして、今回の刑事裁判を闘った方たちから裁判支援をいただいた皆さまへの感謝と経緯説明の報告を行わせていただきたいと思います。
【時間】
開始 15:00 終了:16:30
【参加費】
500円(公安関係者は8000円)
※ 特別会員は無料となりますのでバッジを着用の上お越しください。
※ 1部で参加費を支払っている場合は、2部の参加費を支払う必要はありません。
【出席者】
桜井誠、川東大了、西村斉、荒巻靖彦、中谷辰一郎、岡本祐樹、Jelly(希望により匿名)、星エリヤス、松本修一
※諸般の事情により、出席出来ない場合もございます、ご容赦下さい。
【プログラム】
1.在特会会長より挨拶と支援へのお礼
2.西村斉京都支部長より事件の経緯説明
3.出席者一人ずつのコメント
4.質疑応答
【注意事項】
当日は撮影が入りますので各自対応お願いします。
【主催】
在日特権を許さない市民の会 京都支部
【協賛】
在特会 大阪支部/滋賀支部/奈良支部/兵庫支部/大阪支部/和歌山支部


【追記2】(4月23日)
川東大了・在特会副会長(懲役1年6カ月・執行猶予4年)の、反省のかけらも感じられない声明もアップされました。


〔前略〕
逮捕・起訴、そして公判となり、多くの心有る愛国者の暖かい支援の甲斐があり、恥ずかしくない法廷闘争が出来ました。皆様の支援がなければ、我々の意思に反して「罪を認め」ざるを得なかったでしょう。法廷で「朝鮮人の方々に対して、申し訳ない事をしました。すいませんでした。二度とこのような致しません。お許し下さい」と頭を下げなければならなかったかもしれません。・・・
「無罪判決」を勝ち取る事が出来なかった事は、残念ではありますが、そんな事よりも、もっと大事な物があります。私達は、日本人として、人間として、「何も恥ずかしい事はしていない」と言う事です。最後になりますが、ご支援、ご協力を頂いた多くの同志に対して、心からお礼を申し上げます。今後は、そのお礼を行動で示して行く所存であります。
平成23年4月23日(土) 在特会副会長 川東大了

*1:柳原滋雄コラム日記〈低劣右翼がまた敗訴 東京高裁〉〈デマの根源〉参照。