保育士の大量辞職は改善勧告対象


今日も「最終更新日」の修正のみ。6月26日付であまり意味のない「裁判資料」を得意げに掲載して以降(6月26日付「やっぱり虚しい勝利だった『FORUM21』裁判」参照)、ぜんぜん動きがありませんね。


ところでエアフォース「りんごっこ保育園問題とは何か(第2部)」第14回の最後に、「わずか半年の間に14人もの職員がなぜ次々と辞めていくのか」(太字は引用者=3羽の雀)と書いてありましたが、またひとり辞めちゃったんでしょうか。不適切な処遇で改善勧告を受けた宇都宮の民間保育所でも辞職者は4年間で18人だったそうですから(7月9日付記事参照)、「東京一名誉毀損の多い放送局」の地位が確定した多摩レイクサイドFMの向こうを張って、「日本一、年間辞職者数が多い保育園」の座を狙っているのかもしれません。


当然のことながらそんな保育環境が望ましいわけはなく、練馬区などは、公立保育園の運営を株式会社に委託した際の仕様書において、年度内に3名超の常勤保育士が異動した場合は改善勧告を行なうことにしています。区立光が丘第八保育園の運営を委託されたピジョン(株)と練馬区との間の取り決めです。この業務委託をめぐっては住民訴訟が提起されており、「練馬の保育園民営化裁判追っかけ隊」というブログで随時詳細が報告されていて参考になります。


まず、仕様書の抜粋です(乙=ピジョン(株)、甲=練馬区)。

                                                                                                                            • -

乙は、職員の配置に当たっては、在籍園児との関係を重視して、原則として年度途中での交代は行わないこと、また雇用の継続性を最大限考慮すること。ただし、年度内で常勤保育士の異動があった場合は、ただちに保護者へ報告する。さらに、年度内で3名を超える常勤保育士の異動があった場合は、甲は乙に対して改善勧告を行うとともに運営委員会または協議会に諮るものとする。

                                                                                                                            • -


しかし、業務委託が開始された2005(平成17)年12月1日から翌年3月31日までの4か月で計8名の常勤保育士(全保育士の3分の1に相当)が退職し、2006年3月17日付でさっそく最初の改善勧告が出されました。練馬区では、大量退職の原因として、(a)厳しいローテーション、(b)園長の管理能力、ピジョンの組織的な支援体制の問題の2つを挙げています。勧告では、「多数の退職者を出すに至った原因を究明し、これ以上同じ原因による退職者を出さないこと」など、4項目の改善項目が掲げられていたそうです。


しかし翌2006(平成18)年度には常勤保育士9名が退職し、短時間保育士その他も含めた総退職者数は26名にのぼったことが判明。常勤保育士7名の退職が判明した2007年12月5日の段階で、練馬区ふたたびピジョン(株)に改善を求めました。「今後、このように多くの退職者を出し運営に支障を生じることのないよう、さらに万全の体制を整える」よう「強く改善を要請する」としていますが、これは「勧告」ではなく「要請」に留まっています。


ところが2007(平成19)年度にも常勤保育士10名が退職し、2008年4月1日付で2度目の「改善勧告」が出されました。「改善要請」も含めると3度目の改善要求です。もっとも依然として業務委託の撤回には至っておらず、「改善勧告」を読んでも、練馬区はいいかげん腰が引けているのではないかという思いを禁じえません。


とはいえ、東村山市では、りんごっこ保育園にいったい何人の保育士がいるのか正式に確認することすらできない状態です。りんごっこ保育園は、このままでは光が丘第八保育園の2006年度の記録(総退職者数26名)を本当に抜いてしまうかもしれない。これが日本の保育園のワーストレコードなのかどうかは知りませんが、異常事態であることは確かです。練馬区と同様に取り決めの締結を申し入れ、それに応じないなら認可を再考することもやむをえないのではないでしょうか。