ミスに乗じて所管をあざ笑う「市議」に〈児童福祉の基本〉を語る資格はあるか(いやない)


この攻勢ぶりはやはり、りんごっこ保育園の再認可申請に関する市の意見書が19日までにまとめられることと関係しているのでしょうか。14日午後6時前、「東村山市民新聞」のトップページに次のような見出しが登場しました(9月15日付)。


東村山市保健福祉部、ついに答弁を訂正し誤りを認める。(9月4日) 7ヶ月デタラメ続けた責任は、誰が。


リンク先の新規ページは、こちら↓。


児童福祉の基本も知らなかった児童課長、保健福祉部長、市長
http://www.geocities.jp/higashimurayamasiminsinbun/page179.html


要するに、“保育所に乳児が6人以上入所している場合、当分の間、保健師または看護師1名を保育士と見なすことができる”という国の基準をめぐり、これまでの市所管の答弁にミスがあったことが公式に認められたので、勝ち誇っているというわけです。


確かに、平成10(1998)年4月9日付の厚生省児童家庭局長通知「保育所における乳児に係る保母の配置基準の見直し等について」にはそのような趣旨の規定があり(3月20日付の記事の最後に抜粋)、これはその後、児童福祉施設最低基準にも附則(平成10年4月9日厚生省令第51号)として組み込まれています。


この点について市所管が誤った理解をしていたことは、確かに問題です。しかし、この規定はいわば技術的な見なし規定にすぎず、〈児童福祉の基本〉と呼べるようなものではありません。にも関わらず、このような大仰な表現を用いる裏には、もちろん何かがあるはずです。


まず、この問題の経緯については以下の記事を参照。


さて、6月16日付「保育関係者とは思えない攻撃性と口汚さから透けて見えるのは?」で指摘したように、上記の見なし規定を適用したとしても、りんごっこ保育園では2月1日の時点で保育士が少なくとも1名、足りなかった可能性があります。したがって、市からの改善指導そのものが無効になったわけではない。改善指導そのものが誤りであったとして撤回されたなら、それこそ勝ち誇って大騒ぎするでしょうから、それはなかったと思われます。


そもそも、矢野「市議」が3月14日17日の予算特別委員会(市議会3月定例会)でこの問題をねちねちと取り上げたときは、もっぱら厚生省通知のことを問題にしていて、児童福祉施設最低基準の附則のことには触れていないんですよね。これも6月16日付の記事で取り上げたとおりです。附則のことを持ち出したのは6月定例会の一般質問ですから、矢野「市議」ご自身も、少なくも3月の段階ではこの〈児童福祉の基本〉をご存じなかったのではないかと思われます。


その6月定例会における矢野「市議」の一般質問が、これまたひどい。最初の質問では児童福祉施設最低基準の附則については触れず、市保健福祉部長が「児童福祉施設の最低基準第33条には、このようなみなし規定はございませんので、したがいまして、基準を確保するよう要請をしているところでございます」と答弁したのを確認してから、「恥をかかしてあげましょう」と前置きして、次のように述べているのです。

 恥をかかしてあげましょう。あのね、このみなし規定というのはね、この児童福祉施設最低基準の中に入ってんですよ。知らなかったでしょ。部長も勉強してくださいよ。児童課長にきちんと教えなきゃだめだ、市長も。どこに書いてあるか、教えてあげましょう、ね。このですね、残念ながら、附則の、いいですか、後ろのしっぽのところにちゃんと書いてある。どこに書いてあるかというと、いいですか、附則、平成10年4月9日厚生省令第51条の2、経過措置、乳児6人以上を入所させる保育所にかかわる改正後の第33条の第2項に規定する保育士の数の算定については、当分の間、当該保育所に勤務する保健師または看護師を、1人に限って保育士とみなすことができると書いてある。これは、最低基準なんですよ。いいですか、あなた何て答弁した、さっき。最低基準の33条の2項にはみなし規定がないと言ったでしょう。附則には書いてあるの、ちゃんと。どういう気持ちでそういうことを言ったのか。ごめんなさい、間違ってましたって答弁するんでしょう、後で。
 それから、次、何回も言ってるけど、だからですね、改善命令とかお願いとか言ってたけれども、誤りなんですよ、あなた方の言ってるのは。知らないんだからね、そういうイロハを知らないのにですね、改善命令だなんていうね、百年早いっていうんですよ、わかった。(不規則発言多し)それからですね、次、騒いでんのがいますけどね、一緒になってやってる騒いでる人がいますが、恥を知りなさい、恥を(不規則発言多し)最低基準も知らないのが。


何でしょうか、この引っかけ質問と、答弁ミスに乗じたかさにかかった態度(もちろんこんなのに引っかかる所管にも問題はあります)。これに対し、市保健福祉部長はあくまで“最低基準第33条2項には見なし規定はない”という趣旨の答弁をしたのですが、矢野「市議」はさらに次のように畳みかけます。

 いいですか、この最低基準そのものの中にね、みなしが入ってんの、それについて知らなかったらごめんなさいと言うべきでしょう。恥ずかしい話なんだよ、部長も児童課長も市長も。それでいて、改善命令とやらを出したわけ、○○○○○○○○○いうふうに私なんか思うね。だから、早く答えなさい、これについて。


伏字の部分は議事録では空白になってますが、「アタマがおかしいと」あたりですかね。りんごっこ保育園の運営委員は、たいへん立派な言葉遣いをなさる方のようです。どっちにしても、しかるべき書類を提出して保育士が足りていることを証明すればそれで済む話で、「7ヶ月」続いた混乱の責任は、基本的にはりんごっこ保育園の側にあると言わざるを得ません。


だいたい、〈児童福祉の基本〉などというたいそうな言葉を口にするなら、まずはりんごっこ保育園で退職者が相次ぐ状況を何とかするべきでしょう。「市議会だより」8月1日号(8月2日付記事参照)と9月4日の一般質問(佐藤市議の報告参照)で明らかになった状況を総合すると、今年に入ってからのりんごっこ保育園の入退職者数は次のとおりです(「未」は未確認)。

  • 1月 入職 0/退職 4
  • 2月 入職 4/退職 未
  • 3月 入職 未/退職 6
  • 4月 入職 4/退職 0
  • 5月 入職 0/退職 3
  • 6月 入職 2/退職 3
  • 7月 入職 3/退職 1
  • 8月 入職 0/退職 4


ご覧のとおり、確認されただけで21人が退職しています。〈児童福祉の基本〉は何よりもまず“人”であり、だからこそ練馬区では、保育園の運営を株式会社に委託した際、年度内に3名超の常勤保育士が異動した場合は改善勧告を行なうこととしているのです(7月12日付「保育士の大量辞職は改善勧告対象」参照)。答弁ミスにつけこんで所管を責め立てる前に、運営委員としてこのような異常な状況をどのように考えているのか、きちんと説明するべきではないでしょうか。


にも関わらず、東村山市民新聞〈児童福祉の基本も知らなかった児童課長、保健福祉部長、市長〉は、〈やはり、最大の責任者は、部下の指摘も無視して、デタラメの横車押した中島芳明児童課長〉として、次のように書いています。

 とすると、保育園側に、間違ってデタラメな文書をおくりつけていた中島芳明児童課長らは責任をどうとるんでしょうかねw!?
 先ず、法令を知らずに行政執行を続けている課長をはじめ児童課内部の行政監査が必要ということになります。
 市立第8保育園の指定管理者問題でも、「不正」の張本人では、と名指しで追及されている中島児童課長ですが、市長は放置するつもりですかねw!


文末に“(笑)”を意味する“w”がついているのはこれまで見られなかった芸風ですが、最近とみに親密になった“一部の街宣ネット族”の影響でしょうかwww


それはどうでもいいとして、ここでいきなり指定管理者問題を持ち出しているのも、子どもたちや保護者のことを真剣に考えてのことではなく、所管を攻撃してりんごっこ保育園の問題から目をそらせようとしているだけなのは、明らかでしょう。


それを証明するかのように、15日午後3時半ごろ、「東村山市民新聞トップページに〈市立第8保育園業務委託(指定管理者選定)契約で、市児童課長らに官製談合の疑惑!疑惑急浮上で決定業者が返上騒ぎ。〉という見出しが登場し(9月16日付)、〈官製談合の「内部告発」も〉という新規ページが登場しました。


といっても、「内部告発」文書の書き出しを思わせぶりに抜粋するだけの、中身のないページ(魚拓)。この「疑惑」については市の方でも調査・確認を行なっていちおうの見解が発表されているわけですが、それにはいっさい触れずに「疑惑」だけを強調しています。あまりにも市民を、そしてとりわけ第8保育園の子どもたちやその保護者を馬鹿にした対応ではないでしょうか。これはやはり、りんごっこ保育園の再認可審査を前にした、矢野・朝木両「市議」のなりふり構わぬ姿勢を反映しているとしか思えません。


長くなったので、この点については明日15日付の記事であらためて触れましょう。ちなみに、この記事は15日午後5時半ごろ書き上げたものです。なんで市外の人間が、東村山「市議」の不誠実な対応ぶりをこんなに丁寧に指摘しなきゃいけないのかな。「東村山魑魅魍魎ブログ」の祐天寺美桜さん、そろそろ地上に出てこないかな。


【追記】(9月15日午後10時現在)
15日付の記事に移しました