事故を宣伝に利用するりんごっこ保育園のいやらしさ


りんごっこ保育園グループのサイト、トップページ【今月のとりくみ】にまた追加がありました。「また、きりん組さんとぞう組さんは多摩動物公園で楽しい一日をすごしてきました」だそうです。


今回は、「最終更新日」の修正はなし。サイトのとっ散らかりぶりもあいかわらずです。関係者さえ見てないんですかね。「認可保育園 りんごっこ保育園」をクリックすると〈苦情処理について〉に、「東京都認証保育所 りんごっこ第一保育園」をクリックすると〈東京都第3者評価の結果です。〉につながるという状況は、普通なら一刻も早く何とかしようとするはずなんですが。


トップページで、リンク元の見出しとリンク先のページが正しく対応しているのは、次の4項目だけです。


★〈東京都の第三者評価の結果がでました!
★〈NHKで紹介されました。〉〔注・キャンディチーズ事故の件〕
★〈キャンディチーズ窒息事故発生!(でも無事でした。「国民生活センター」HPにも掲載されています。ご参照下さい。)〉
★〈東村山の保育は改革が必要です。〉〔注・「開園妨害」の話と裁判勝訴報告〕


保育内容等の紹介よりも、「第三者評価」で「オールA」をとったのは自分たちだけだとか(3月9日付〈「オールA」と言ってもね〉参照)、裁判に勝ったとか、そういう話の方が重要だということなのでしょう。「草の根」らしい話です。


何よりいやらしいのが、キャンディチーズ事故を園の宣伝に利用していることですね。


3番目の見出し〈キャンディチーズ窒息事故発生!〉のリンク先は、〈キャンディチーズ窒息事故を未然に防ぎました!〉というタイトルのページです。実際には窒息事故は発生しており、保育士と看護師の適切な対応によって死亡には至らなかったという話なので、見出しは間違っています。ともあれ、最悪の事態を防いだ保育士と看護師の対応については、素直に評価するべきでしょう。


しかし、佐藤市議が2008年3月5日の一般質問で指摘したように、「そもそものどにつまらせるような状況をつくらないようにするのが保育園です」。


りんごっこ保育園が「ご参照下さい」と言いつつリンクを張っていない国民生活センターのホームページ(「キャンディー状のチーズを食べた1歳9ヵ月の男児が窒息事故」2007年1月26日公表)を見てもわかるように、製造元によれば、この製品が原因で窒息事故が発生した例はありません。他のメーカーの類似商品で、「1歳2ヵ月の男児が、チーズをのどに詰まらせ、窒息しそうになった事例」が1例あったに過ぎない。


とはいえ、可能性として危険が存在することは確かなので、商品の包装紙には「小さなお子様やおとしよりにはノドにつまらせないようにご注意ください。」という注意書きがあったと言います。国民生活センターも次のように注意喚起していますが、その筆致は“念のために”というニュアンスがにじみ出たものです(太字は引用者=3羽の雀)。


「このような事故が起これば、死亡に至る可能性もなくはありません
「家庭のみならず、幼児を預かる施設などで、このようなタイプのチーズを食べさせる場合は、注意しましょう


つまり、りんごっこ保育園の側で十分な注意を怠っていたのではないかという疑いもぬぐいきれないわけですが、矢野・朝木両「市議」に言わせれば、これはすべてキャンディチーズのせいであり、それを献立に採用した東村山市のせいだということになってしまいます。何しろ、〈キャンディチーズ窒息事故を未然に防ぎました!〉のページの小見出しは、「メーカー側、そして市側にも責任があります。」です。


そこで矢野「市議」は、「キャンディチーズの製造メーカーにみずから連絡して、運営委員と名乗り、どうしてくれるのかと責め立て」る一方(佐藤市議の一般質問より)、あたかもりんごっこ保育園には何の問題もなかったかのように、市の責任を追及しました。あわせて、りんごっこ保育園の職員の対応がいかに適切だったかを、言葉の端々で強調しています。その際、キャンディチーズ事故の翌日に伊豆の保育園で起きた窒息死事故(原因はミニトマト*1をしばしば引き合いに出すのが、さらにいやらしいところです。

 7月26日、市内の認可保育園「りんごっこ保育園」で、東村山市児童課の管理栄養士が作成配布した「市立保育園」用の献立表に基づいて、昼食用に「キャンディタイプチーズ」を出したところ、1歳9ケ月の園児が、二噛みほどした直後、つまらせて窒息状態となり、みるみるうちに顔面が紫色のチアノーゼ化し、動かなくなった。
 そばについていた保育士と看護師が・・・救急処置を施したため、園児は・・・大声で泣き出し、危うく窒息死を免れることができた が、この事故の翌日、伊豆の「稲取保育園」では、ミニトマトをつまらせて園児が窒息死した。この保育園では、叩打法など園児への救急法を施すことができる職員がいなかったという
 問題の市立保育園の「献立表」は私立保育園にも配布され、殆どの保育園で市立の献立表を参考として給食が調理されている。
 このため、りんごっこ保育園側は、窒息事故の翌々日には、担当の市児童課に経過報告書を提出、「キャンディチーズ」使用は見直すよう、求めた。
 が、この問題を草の根・矢野・朝木議員が議会でとりあげることを通告するまで、市児童課長は、私立保育園にはこの窒息事故について連絡さえしなかった。
 再発しないよう「キャンディチーズ」使用は中止すべきだと議会で矢野議員らが質したが、市立保育園ではまだ使用し続けている。
(りんごっこ保育園〈キャンディチーズ窒息事故を未然に防ぎました!〉より)

窒息事故を未然に防いだ職員の熟練
 まず、佐藤さんたちの誹謗中傷にもかかわらず、りんごっこ保育園の職員がいかに職務に熟達していたかを示したのは「キャンディチーズ」窒息事故でしょう。あやうく窒息寸前で顔面チアノーゼ状態になった幼児を救うことができ、市内保育園の多くが乳幼児の救急救命講習を受けるきっかけとなりましたし、佐藤さんはご存知ないでしょうが、「国民生活センター」のサイトにも、「キャンディチーズ」の窒息に、注意を呼びかける記事が掲載されることとなりました。翌日には伊豆稲取保育園で窒息死事故が発生した時期だったからです。
 しかし、東村山市の担当は、いまだに、「キャンディチーズ」を献立表に掲載して使っている。保育に一知半解の佐藤さんのような人物がいることも影響しているといわざるをえません。まず自分たちの頭のハエを追ってから、他園のことを気にしましょう!
東村山市民新聞〈りんごっこ保育園を、またも事実無根の攻撃!(佐藤「市議」)〉より)


次の記事も市の責任に触れていますが、これはもう事故に乗じた単なる宣伝で、情けないとしか言いようがありません。

 6月5日(火)朝7時46分から、NHKTVの「おはよう日本」で、りんごっこ保育園で、昨年、市の献立表に載っていた「キャンディタイプチーズ」を食べた園児が窒息しそうになった事故が起き、救急救命措置を知っていた保育士・看護師の力で、危うく一命をとりとめたことが、紹介されました。
 りんごっこ保育園では、すぐに「キャンディタイプチーズ」は使用をとりやめましたが、まだ市の献立表には食材として使われているのを知って、番組担当の方も、驚いていました。
 この事故の件は、独立行政法人国民生活センター」のホームページでも紹介され、「キャンディタイプチーズ」には注意するようよびかけられています。
(りんごっこ保育園〈NHKで紹介されました。〉より)


おまけに、事故報告書には、保護者が口にしたという次のような言葉が引用されています。


「家庭で過去にS君は丸呑みの癖があり、氷をつまらせた事があったことを園に伝えてなかったのは申し訳なかった」
「事故が起きたのが自宅だったら、自分では何もできないので、助からなかったかもしれなかった。感謝しています」


この点については東村山魑魅魍魎ブログ〈キャンディチーズ窒息事故の私の素朴な疑問(りんごっこ保育園)〉がつっこんでいますが、本当にこのような発言があったとして、それが自然に、自発的に出てきた言葉なのかどうかは、疑問が残るところです。


また、本当にこのようなやりとりがあったとしても、報告書にいちいち書くことではない。最初の点については書いてもよいと思いますが、「保護者からの情報収集が不十分で、S君に丸呑みの癖があることを把握していなかった」などの表現にするのが普通だと思います。この書き方だと、どう見ても責任転嫁を図っているとしか思えません。


いずれにせよ、りんごっこ保育園で万一また事故が起きてしまったときに、高野園長および矢野・朝木両「市議」がどのような対応をするかは、この事例からも容易に予想できます。〈何でも他人のせいにする逆ギレ「市議」〉という特質は、保育園の運営においても貫徹されているわけです。


なお、本件については松沢呉一の黒子の部屋〈お部屋1621/朝木明代市議転落死事件「懸賞金1千万円」の謎を解く〉も参照。

*1:【追記】(2009年12月10日)伊豆の保育園で窒息死事故が起きたのは、実際にはりんごっこ保育園における窒息事故の前日(2006年7月25日)。報道されたのが27日だったため、東村山市民新聞」等では「翌日」と勘違いしたのだと思われる。