他園での死亡事故は、矢野穂積・朝木直子両「市議」(りんごっこ保育園理事・監事)にとって佐藤市議の攻撃材料に過ぎないのか? ※死亡事故について追記


先ほど12月8日付の記事をアップしたばかりですが、引き続き、東村山市民新聞」の12月9日付更新のうち保育に関わる部分について、とりあえず報告だけしておきます。トップページに次のような囲みが登場しました。


東村山市議会12月定例会 速報
 佐藤、まだ、例の保育園認可の事前協議用「ガイドライン」にしがみつこうとするも、裁判所の見解をふまえた市側の「ガイドラインには法的拘束力はない。」との答弁で一巻の終わり!しかも、市長も「ガイドラインによる協議が不調でも、書類が整っていれば意見書は書きます」と答弁、でケリ。
 何も認可園の実態を知らない「認可外保育所」元事務員にすぎないシロウトの佐藤は、園庭や保育室の面積要件などの「定量的基準」だけにこだわっている。「質」の問題にはいつまでたってもたどり着かないのだ。その発想の誤りを端的に示しているのが、広大な園庭があり広い保育室の認可保育園で、園児はなぜ職員の気づかれないまま「熱中症」で死亡した事故が起きていたのか?伊豆の認可保育園で広い園庭のミニトマトを飲み込んだ園児がドクターへり出動にもかかわらず、なぜ死亡するに到ったのか!ちゃんと学習しなければならない、「ガイドライン」のように。(敬称略)


NPO法人「林檎の木」の理事・監事を務める矢野穂積・朝木直子両「市議」人間性が、幾重にも表れている文章ですね。あえて論評は後回しにして、この文章をじっくり味わっていただきたいと思います。吐き気がするかもしれませんけど。


〔ここまでは、12月8日の午後9時半過ぎにアップしたものです。〕


【追記】(12月10日)
ちょっと間が空いてしまいましたが、最低限の追記として、矢野穂積朝木直子両「市議」が取り上げている2つの死亡事故について触れておきましょう。


「伊豆の認可保育園で広い園庭のミニトマトを飲み込んだ園児がドクターへり出動にもかかわらず、なぜ死亡するに到ったのか!」という件については、ご記憶の方もいらっしゃるかもしれません。そうです、りんごっこ保育園でキャンディチーズ窒息事故が起きたときに、高野博子・りんごっこ保育園園長や矢野穂積「市議」が持ち出していた事件です。キャンディチーズ窒息事故については、次の記事を参照。


川崎・保育園ファイターズ保育園・幼稚園 死亡事故事例〉によれば、伊豆の認可保育園(社会福祉法人立)で起きたのは、このような事故でした。

2006.07.25.
ミニトマトで1歳女児窒息死
 静岡県東伊豆町の「稲取保育園」(鈴木八重子園長)で、1歳の女児がミニトマトをのどに詰まらせて窒息死していたことが27日、分かった。 下田署などによると、25日午前10時半ごろ、女児は園庭で遊んでいて、急に苦しみだした。職員が119番し、ドクターヘリで同県伊豆の国市の病院に搬送したが、間もなく死亡したという。女児ののどからは、直径約2センチのミニトマトが見つかった。
 園庭ではミニトマトを栽培しており、同署はミニトマトを女児がのみ込んだとみて職員から事情を聴いている。
 当時、園庭では保育士7人と実習生3人の10人が、女児を含む3歳以下の園児約30人を遊ばせていたという。


この事故について、りんごっこ保育園と東村山市民新聞」は次のように説明しています。


【7月26日窒息事故に関する市民新聞掲載記事より】
〔中略〕
 そばについていた保育士と看護師がすぐ園児を逆さまにして背中を強く叩く叩打法や舌根を強く押すなど救急処置を施したため、園児は粘りのある「キャンディチーズ」を嘔吐して、大声で泣き出し、危うく窒息死を免れることができた が、この事故の翌日、伊豆の「稲取保育園」では、ミニトマトをつまらせて園児が窒息死した。この保育園では、叩打法など園児への救急法を施すことができる職員がいなかったという


矢野・朝木両「市議」は、市議会でもこの事件について触れていました。

 このとき、乳幼児の救急救命の訓練を受けた経験のあるベテラン保育士と看護師が当該幼児のそばにいたため、懸命の背面叩打法などによって適切に対処したので、あやうく窒息死は免れたのでありますが、くしくも本件事故の翌日には、伊豆稲取保育園で1歳女児がミニトマトを飲み込み、喉頭に引っかかって窒息死するという事故が起きているのであります。救急隊関係者の話では、この伊豆の場合は、乳幼児の窒息事故につき、背面叩打法などとっさの救急救命措置ができる職員がいなかったのが窒息死の原因だとされているようであります。医師によれば、このような喉頭蓋をふさぐ事故の場合、放置すればわずか数分で窒息死するとされているのであります。
矢野穂積「市議」、平成18〔2006〕年9月12日・本会議

 それから、半分に切って出せば問題ないというふうな答弁をしておりますが、その根拠は何なのか。チーズキッスは食べてみたことありますか。私は、食べてみましたが、確かにあれはかなりくっつきますね、大人でも。これは危ないなというふうに思いましたので、ミニトマトを丸飲みしたというのとまた違いますから、その点どのように考えているのか。
朝木直子「市議」、平成18〔2006〕年9月12日・本会議


つまるところ、「伊豆の認可保育園で広い園庭のミニトマトを飲み込んだ園児がドクターへり出動にもかかわらず、なぜ死亡するに到ったのか!」という疑問に対する矢野「市議」らの答えは、「背面叩打法などとっさの救急救命措置ができる職員がいなかった」ことに尽きるということになりそうです。果たして、問題はそこだけに集約できるでしょうか。


次に、「広大な園庭があり広い保育室の認可保育園で、園児はなぜ職員の気づかれないまま『熱中症』で死亡した事故が起きていたのか?」というのは、(おそらく)埼玉県上尾市の市立保育園で起きた事故です。再び、川崎・保育園ファイターズ保育園・幼稚園 死亡事故事例〉で事故の概要を見てみましょう。

2005.08.10.
本棚で熱中症?かくれんぼ4歳男児が死亡
10日午後0時25分ごろ、埼玉県上尾市本町の同市立上尾保育所で、4歳男児が、廊下の本棚の中でぐったりしているのを、所長(59)が見つけ119番通報した。 病院に運ばれたが、約1時間半後、死亡した。死因は熱中症とみられる。
 上尾署によると、昼食をとろうとした午前11時30分ごろ、男児がいないことに所長が気付いた。所内を捜したところ、廊下の本棚(高さ1・2メートル、横90センチ、奥行き43センチ)の下段の物入れの中に座った状態でぐったりしている男児を見つけた。友人らとかくれんぼをして遊んでいたらしい。


事故発生直後の状況については、杉の子連合会(上尾市保育所保護者会連合会)ホームページの〈上尾保育所園児死亡事故〉にまとめられています。その後の状況についても同連合会のブログでフォローされていますので、特に「上尾保育所死亡事故に関する情報」と「事故防止委員会」のカテゴリーをご参照ください。上尾市の責任をめぐって民事裁判も提起されており、来週12月16日に第1審判決が言い渡される予定とのことです(追記〔12月16日〕:第1審では園側の過失が認められ、上尾市に対し、約3300万円の損害賠償が命じられました)。


また、同年12月には上尾市立上尾保育所事故調査委員会による「上尾保育所事故調査委員会報告書」(PDFファイル)がまとめられ、その後、平成19〔2007〕年3月には「上尾市立保育所危機対応要領」(PDFファイル)が作成されました。事故調査委員会は、
「本件事故は誰にも予見できない偶然の事故とは言えない」(35ページ)
「仮に本件のような上尾保育所の保育の取り組みや実態が続けば、どこの保育所でも本件事故と似たような事故が発生したとしても不思議ではない」(40ページ)
として、次の8つの要因を挙げています(35ページ)。


(ア)園舎の構造が死角を作り出していること
(イ)その死角に本棚を無造作に置いていたこと
(ウ)計画性のない保育をしていたこと
(エ)保育中の子どもの動静の把握が不十分であったこと
(オ)児童の人間関係や遊びの把握と発達及び子どもの心情への理解が不足していたこと
(カ)保育士の危機管理意識が希薄であったこと
(キ)危機場面への組織対応ができなかったこと
(ク)保護者との連携が十分できていなかったこと


特に最後の「保護者との連携が十分できていなかったこと」という点について、杉の子連合会の事務局担当者はブログで次のように書いています(改行は適宜修正)。

裁判の中で見えてきたことは、ご両親は『心配だからこの子をみていてください』と何度も担任に伝えていたこと。そして、ご両親やお子さんの出すサインを、当時の担任を含め保育所が受け止めていなかったこと。
事故調査委員会の報告書では、日々の保育士と保護者のやりとりが、納得のいくものではなかったことが、事故の背景のひとつだと指摘され、「この事故はどこの保育所でも起こりうる事故だ」とあります。
なぜ事故がおきたのか。
どうすればもう二度と起きないのか。
私たち保護者は何をしたらよいのか、
何ができるのか。
4回目の命日に、あらためて考えます。
(杉の子連合会ブログ〈4年目の、夏〉)


亡くなった園児のご両親も、裁判に提出した陳述書で次のように怒りと無念を表明しています。


「私たちが侑人を預けた上尾保育所は、子どもに対して何の愛情のかけらもなく、命を預かっているという意識や緊張感もない人たちが、ただ漫然とルーチンワークでやっているだけの保育所でした」(お父さん)
「もっと許せないのは、侑人が他の子たちとうまくいっていなくて、私たちは心配だったので担任保育士たちに、注意してみてほしいとずっと訴えてきたのに、保育士たちは何もしてくれなかったばかりか、目配りすらしてくれなかった中で、侑人は死んだ、ということです」(同)
「前々から、『あの子の心が傷つかないように。ちゃんとみていてください。意識を向けてあげてください。助けてあげてください』と保育所の連絡ノートに何回も繰り返し書いて、また直接口頭でも担任保育士に何度も頼んでいたのに、どうして、1時間半も目を離して、いたのでしょうか。私にはわかりません。どうしてもわかりません」(お母さん)


あえて特定の保育園名は出さずに言いますが、東村山市の保育園は果たしてこのような問題とまったく無縁なのでしょうか。幸いにしてこれまで重大な事故は起きてこなかったとしても、このような悲劇に学び、自分達の保育をあらためて見直すことが保育関係者の使命ではないかと思います。


しかし、佐藤市議を「『認可外保育所』元事務員にすぎないシロウト」と罵倒し、他園での死亡事故を引き合いに出して居丈高な問いかけをし、「ちゃんと学習しなければならない」と要求する矢野穂積朝木直子両「市議」の書きぶりからは、このような姿勢がまったく感じられません。ただひたすら、これらの事故を利用して、りんごっこ保育園に園庭がないこと、園児一人当たりの保育面積が最低基準(3.3平米)をわずかに上回るに過ぎない(3.96平米)ことを正当化しようとしているとしか思えない。それどころか、保育中の事故によって園児が死亡したという事実に対する痛みの気持ちさえ、伝わってきません。このような人物が認可保育所の運営に密接に関わり、のみならず保育行政にさまざまな圧力をかけていることを、東村山市民はもっと重大な問題としてとらえるべきではないのでしょうか。


事故後の市議会で、新井弘治市長(当時)は、
「市内には・・・民間の保育所も多数ありますがありますが、今回のような事故は発生しておりません」
「今後の運営については、公設公営だけではなく公設民営、あるいは指定管理者への移行を含めて検討していかなければならないと思っている」

などと答弁し、強い批判を浴びました(「赤ちゃんの急死を考える会」や杉の子連合会の申入書を参照)。亡くなった園児のお父さんも、
「こともあろうに、市長に至っては保育所の民営化という自らの施策に、息子の死を利用しました」
と憤激しています(陳述書)。


私には、東村山市私立保育園設置指導指針(ガイドライン)「参入障壁」として全面的に否定し、保育の規制緩和を無批判に容認・推進する矢野穂積朝木直子両「市議」の姿が、この市長にだぶって見えます。いちおう今回の記事のタイトルでは〈・・・佐藤市議の攻撃材料に過ぎないのか?〉とハテナマークをつけておきましたが、必要なかったでしょうか。とりあえず、両「市議」の今後の発言・行動を注視することにしましょう。


今回の更新に対する疑問はまだまだあるのですが、記事が長くなり、気分も重くなったので、今日はこのぐらいにしておきます。