市民の「恐怖心」に想像力を働かせようとしない公職(志願)者たち


ネット上でちょっと懐かしい人に再会していたことに気づき、感慨深い今日このごろ。昨日付の記事の続きをなるべく早く書こうと思いつつ、けっきょく4日の夜になってしまいましたが、記事の方は3日付で載せておきます。ちなみに「東村山市民新聞」の方は、10月2日付・4日付で「最終更新日」が修正されたのみで、動きがありません。


引き続き、柳原滋雄コラム日記「草の根」の闇4 被害者を加害者に仕立て上げる「行動原理」〉について。この記事を読んで、〈洋品店で「あれ、朝木じゃないの?」と言った人は誰ですか?〉というつまらない質問しか思い浮かばなかった瀬戸氏とは違って、私が何よりも注目し、そして心を痛めたのは、冒頭にある次の段落でした(太字は引用者=3羽の雀)。

 数年前のことになるが、朝木明代が95年6月に万引きを働いた東村山駅前の洋品店を取材で訪れたことがある。電話でアポイントをとり同店に赴いたが、取材対象となった店主は、「やっぱり取材をお断りしようか思っている」と筆者に述べた。それでも説得しつつ駅前の喫茶店で1時間ほど話を聞くことができたが、結局、そのときの取材内容を活字にすることはなかった。当時、店主はすでに5件もの裁判を抱えてきており、これ以上、訴訟ざたはこりごりというのが最大の理由だった。要するに「嫌がらせ」を恐れていた。5件のうち、自ら訴えた裁判は1件、さらに訴えられた裁判が4件ということだった。取材の最後には、「念書」に署名させられた。この取材でご迷惑をおかけすることは決してありません、といった内容だったと記憶している。明らかに「恐怖」の感情が支配していた。


洋品店店主にこのような恐怖を抱かせてきたのが、本来は市民の生活を守るべき立場にある、矢野穂積朝木直子という2人の「市議」です。最近起きた洋品店襲撃事件によって、洋品店店主のこのような恐怖心がどれほど強くよみがえったか、想像するのは難しくありません。


しかし両「市議」は、自らも道義的責任を有するこの事件について、事件発生の事実を承知しているにも関わらず、依然としてダンマリを決め込んでいます。それどころか、襲撃事件についてやはり道義的責任を有していながら開き直る自称「ジャーナリスト」*1に、あいかわらず偏った情報提供を続けているようです。


柳原さんが言及している5件の裁判のうち、「自ら訴えた裁判」1件というのは、言うまでもなく、洋品店店主が矢野・朝木両「市議」を名誉毀損で訴えた裁判ですね。矢野・朝木両「市議」が、自らが編集・発行する『東村山市民新聞』(紙版)で、「店主は創価学会公明党と共謀の上、万引き事件をねつ造して故朝木明代を罪に陥れようとしている」という趣旨の主張を繰り返して洋品店店主を誹謗したことにより、店には「人殺し。卑怯者」といった嫌がらせ電話も何度かかかってきたといいます(『民主主義汚染』175ページ)。


矢野・朝木両「市議」側の主張は、「被控訴人洋品店店主〕が確たる証拠もなく故明代を万引き犯人扱いしたという事実の主要な点が真実であると認めることはできない」(高裁判決抜粋参照)などとして否定され、裁判は原告勝訴で確定しました。しかし、矢野・朝木両「市議」は本件裁判の結果を報告しておらず、瀬戸弘幸氏も、本件裁判にはけっして言及しようとしません。


他方、洋品店店主が訴えられた裁判4件とは、おそらく次の裁判を指していると思われます。


(1)「潮」裁判(朝木明代が万引き事件の犯人である「可能性は相当程度に達するものと思われる」としつつ、「断定するに足りない」と判示する一方、洋品店店主に「勝手な思い込みや不注意といった過失があったとは認められない」と認定)
(2)「月刊タイムス」裁判(「被告洋品店店主〕が犯人と亡明代の同一性を間違える可能性は極めて低く、目撃者も3名存在することから、本件窃盗被疑事件の犯人は亡明代ではないかとの疑いが相当の根拠をもつものということができる」と認定)
(3)「聖教新聞」裁判(「被告T洋品店店主〕がA女は亡明代ではないと知りながら、被告創価学会と意思を通じて本件届け出をしたり、本件T発言をしたことをうかがわせるような証拠は何ら存在しない」と認定)
(4)「許さない会」裁判議席譲渡事件を追及していた「『草の根グループ』の議席の私物化を許さない会」が提訴された事件で、洋品店店主も「情報提供者」として訴えられたもの。判決等の詳細はいまのところ不明)


このうち「潮」裁判と「月刊タイムス」裁判については、都合のいい部分だけ恣意的に抜き出す形で「くさぷぅ〜グループ」も言及することがありますが、上で引用した点については無視しています。「聖教新聞」裁判については完全無視のようです。


裁判だけではありません。矢野「市議」は、万引き事件をめぐって朝木明代市議が取調べられた日(1995年6月30日)に洋品店を3回訪れ、「無実の人を訴えると罪になる」などと威迫的言動を行なっていました(エアフォース「万引き被害者威迫事件」参照)。しかも、それを隠すために録音テープの改竄まで行なっていたことが、「東村山通信クラブ」裁判(エアフォース「万引き被害者威迫事件第21回以下参照)における東京高裁判決(2006年12月15日)で認定されています。


このような経緯を少しでも承知していれば、洋品店店主が「訴訟ざたはこりごり」だと考えるのも無理はないと、容易に想像できるでしょう。しかし自称「ジャーナリスト」は、その店主に向かって、「営業妨害などの民事事件で告訴されてみてはいかがでしょう?」などと平気で口にするのです。誠に“人の心がわからない”連中だと、嘆息せざるを得ません。


矢野・朝木両「市議」は、このようなグループの存在を利用して、東村山市民である洋品店店主に、広くは自分たちに批判的な市民に、いまでも恐怖心を植えつけ続けているのです。「凪論」のコメント欄にあった次の投稿は、実に示唆的です。

Posted by 見物人 2008年09月22日 14:09
街宣現場に居合わせた市民の一意見。
現在ウェブ上の各評および議事録で暴言各種を確認した『特定議員』と、一緒にガナリたてている数名。
この風景を見て、反射的に市内外かかわらず関わりたくないのが本音。
しかも異論を唱えると『市内にアジビラ配る特定議員』と『複数の人間が押し掛けて自宅等の現状を確かめに来る集団』。
これは【自由な言論を妨げる集団】が複数存在する異常であり、隣人と噂するだけで風に乗ってどこで密告されるかの恐さが増している。


もちろん、この人が本当に東村山市民であるかどうかはわからないわけですが、普通の市民が「関わりたくない」と感じること自体は、ちっとも不思議ではありません。


9月8日付〈“汚染”どころか“融解”の危機に至る東村山市の民主主義〉で指摘したような状況は、依然としてまったく変わっていないと言えるでしょう。

*1:洋品店襲撃事件をめぐる瀬戸弘幸氏の一連の発言については、ミハルちっく〈ワールドワイドウェブリターンズ【その1】〉参照。