2010年回顧(1)法治主義の発動によってようやく追い詰められてきた「襲撃する運動」勢力


東村山市民新聞では相変わらず「最終更新日」だけが修正され続けています*1第4四半期(9〜12月)の更新状況は新年早々にまとめるとして、矢野穂積・朝木直子両「市議」とも決して無縁ではない襲撃する運動勢力の1年を回顧しておきましょう。


昨年末の〈逃走マスター・瀬戸弘幸サンとそのお仲間の2009年〉(2009年12月31日付)で、私は次のように書きました。
(1)1月末の「創価問題新聞」事件・東京高裁判決(7月に確定)で朝木明代市議「殺害」説が粉砕される一方、お仲間が次々と訴えられ、次第に事件については何も言えなくなってしまう。「内部告発」がガセネタだったことも確定。
(2)洋品店襲撃事件を彷彿とさせる事件が次々と勃発し、「行動する保守」の暴力的自警団体質が露わに。
(3)「ニューリーダー」のひとり・遠藤健太郎氏のほか、お仲間が複数逮捕されるも、ほぼダンマリを決め込む。
(4)残る「ニューリーダー」、有門大輔とクロダイくん(行政書士黒田大輔)もますます迷走を続けるばかり。


今年はこのような動向がますます加速していったと言ってよいでしょう。(1)についてはあらためて記事を起こしたいと思いますが*2、(2)および(3)については、
「来年は、まきやすともがこのままシャバにいられるかどうか、そして在特会関西支部の関係者が逮捕されるかどうかに注目が集まりますが、果たしてどうなるでしょうか」
と書いた点も含め、予想をはるかに超える展開を示しました。まきやすともは処分保留でシャバに戻ってきましたが、まとめWiki自称「行動する(社会)運動」の襲撃事件等〉にあるように、少なくとものべ13名が逮捕され、うちのべ11名が起訴(略式起訴含む)されて3名について有罪が確定したほか、のべ32名が書類送検されるという状況です。また、まとめWikiには載せていませんが、瀬戸弘幸サンがかつて副代表を務めていた維新政党・新風の関係者からも、静岡本部幹事長(器物損壊容疑)和歌山県本部代表(暴行容疑)等の逮捕者が出ています。


とりわけ、京都朝鮮学校襲撃事件逮捕者が出た件については、読売新聞京都版の2010年回顧特集でも取り上げられるほど注目を集めました。


 10日 京都朝鮮第一初級学校(南区)周辺で児童を中傷する発言を繰り返し授業を妨害したなどとして、府警が「在日特権を許さない市民の会」(在特会、本部・東京)のメンバーら4人を名誉棄損、威力業務妨害容疑などで逮捕。


桜井誠在特会会長も、今年を回顧するにあたって真っ先にこの件に言及しています。


振り返りますと1月の在特会臨時大会後の新宿デモへの襲撃事件など、今年は冒頭から波乱含みのスタートを切ることになりました。8月には京都勧進橋児童公園の不法占拠事件に抗議した在特会の会員が逮捕される緊急事態に陥り、各所から猛烈なバッシングを受けることになりましたが、一方で朝鮮人の無法ぶりに憤る多くの方のご支援ご声援を受け在特会として団結して事にあたることができました。
当時の国家公安委員会議事録などの資料を分析すると、現政権へもっとも打撃を与え得る組織として前国家公安委員長中井の時点で政権中枢が在特会への危機感をあらわにしていたことが判明しています。〔後略〕


しかし、7名の逮捕者のうち6名が起訴され、さらに12名が書類送検された徳島県教組襲撃事件については、すでに3名について有罪が確定したにも関わらず、あるいは有罪が確定したからこそなのか、触れていません。また、京都朝鮮学校襲撃事件については今後民事裁判で本格審理が始まるわけですが、これについてもスルーしています。こんな調子では、
「日本最大の保守系市民団体を率いる私は、これからも皆さまに道を指し示す道標であり続けたいと願っています」
などと大見栄を切っても虚しく響くばかりです。


ちなみに、「現政権へもっとも打撃を与え得る組織として・・・政権中枢が在特会への危機感をあらわにしていた」という件ですが、これはおそらく、国家公安委員会定例委員会(9月2日)議事概要に次のように書かれていたことを指すと思われます。

(9)右派系市民グループの動向と対策について
 警備局長から、「最近、極端な『民族主義・排外主義的主張』に基づき、『外国人参政権反対』などと訴える市民運動が各地で展開され、反対勢力とのトラブル事案もみられることから、各都道府県警察で諸対策を実施している」旨の報告があった。
 委員長より、「『右派系』と言うより、『極右系』と呼称すべきなのではないか」旨の発言があり、警備局長から、「こうしたグループは、今のところ暴力的な破壊活動を行っていないので、『極右』というにはなじまない」旨の説明があり、葛西委員より、「『極右』と表現すべきなのは、暴力的な場合であると思う。また、『極端な民族主義・排外主義』と言えるのか」旨の発言があり、委員長より、「彼らは朝鮮半島の民族を蔑視するような発言を行ったりしており、『市民グループ』という呼称はいかがなものかと思う」旨の発言があった。
 葛西委員より、
「このグループの出現は、非常に象徴的で、これまでは組織化された意見だけが強くアピールされ、また、マスコミによる国民の知る権利の事実上の統制御が行われていた。最近、新聞の発行部数が大幅に減る一方、インターネットの台頭・普及という中で、これまで表現の機会を抑えられていたこの種の動きというのは、これから様々な形で強まると思う。特に、日本は、この65年間において、国家というものが国際社会において占める役割や、あるいは国内において果たすべき役割といったものを軽視・否定する方向での報道ばかりがなされてきたが、これからはこのようないわゆる『声なき声』を取り上げる形でインターネットによる情報交換が出てくる。これからは様々な方向に様々な意見が出てくると思う。こうしたものに対する今後の対応策については、相当慎重に考えておかないと、後手を踏む可能性もあると思う。このグループについては、『極右』と呼ぶべきものではないと思う。事前に、よく実態を知り、適正に評価することが大事なのではないかと思う」
旨の発言があり、長官から、
「こうした市民グループは、新しい動きであり、今後、更に大きくなってくる恐れもあると思う。委員御指摘のような時代状況であるので、既成の右翼が吸収できない考え方を表現できる市民グループの方が、今のところ形はきちんとしていないが、大きくなっていく可能性もあり、今から注意深く見ていく必要があると思う」
旨の説明があり、葛西委員より、
「左翼についても、これまでのそれぞれのセクトというような形ではなくて、散発的にゲリラ的な者がインターネットを通じて活動するような世の中になる恐れがあり、既にテロリストの組織がそういうふうになっている傾向がある。その意味で、日本は今いろいろな意味で転換期にあると思う」

旨の発言があり、長官から、
「失業者の増加、来日外国人による犯罪、就職できない学生の問題など、国民が社会に対する不満を持つ恐れは十分にあり、油断しないように対処してまいりたい」
旨の説明があった。
(引用者注/読みやすさを考え、カギカッコの発言部分を太字にするとともに、第3段落については発言ごとに行替えした。)


在特会をはじめとする襲撃する運動勢力を念頭に置いていることは明らかですが、どう読んでも“まだ実態がよくわからないけど何かやらかす可能性がある要注意団体”として扱われているだけです。「現政権へもっとも打撃を与え得る組織」などというのは、在特会全国大会(1月9日)における運動方針説明を米国大統領気取りで年頭教書演説と言ってしまうのと同様、また何のためらいもなく「日本最大の保守系市民団体を率いる私」などと書いてしまうのと同様、自分(達)を大きく見せたい願望の表れに過ぎないでしょう。


もちろん、襲撃する運動勢力に対する治安当局の関心が高まっていることは事実です。警察庁2010年APECの成功に向けてでも、〈テロ等を引き起こすおそれのある右翼〉として
(APEC)会場周辺では民族主義・排外主義的主張に基づく市民運動が展開されることも予想され、反対勢力とのトラブルも懸念されます」
と警戒感を表明されていましたが、12月17日に公表された公安調査庁内外情勢の回顧と展望平成23年版(PDFファイル)では、p.60のコラムが丸ごと襲撃する運動勢力に充てられています。


コラム 排外的主張を掲げ執拗な糾弾活動を展開する右派系グループ
 近年、インターネットを通じて活動への参加を募り、集会やデモ行進など大衆運動の形態をとりながら、右翼的な主張を展開して執拗な抗議活動を行う「右派系グループ」の動きが活発化している。特に、在日韓国・朝鮮人の追放を主張するグループの中には、差別的な言葉で相手を罵倒し、誹謗中傷を繰り返す行為をエスカレートさせ、逮捕される者も出た。
〔後略〕


12月上旬に報道され、瀬戸弘幸サンが
自分の家に無断で入ろうとするよそ者に抗議の声を上げて何が悪いのか?
とブーメランを飛ばしながら立腹していたやつですね。具体的事例としては、『ザ・コーヴ』上映粉砕行動京都朝鮮学校襲撃事件、そして威力業務妨害罪や建造物侵入罪で6人が起訴された徳島県教組襲撃事件が挙げられています。


このうち、刑事・民事両面で責任の追及が進められている京都朝鮮学校襲撃事件、刑事裁判ですでに3名の有罪が確定した徳島県教組襲撃事件に加え、『ザ・コーヴ』上映粉砕行動では、配給会社とその社長宅前等で執拗な街宣を行なった西村修平らに対して計110万円の損害賠償が命じられました


このような状況にあって、在特会住民監査請求等の合法的な手段に重点を移さざるを得なくなっているようですが、排害社の金友隆幸などは依然として自警団的発想を加速させており、〈排害社、平成22年戦いの軌跡〉と題した回顧記事でも、「小競り合い」をしきりに強調しながら今年の活動を報告しています。中国人観光客らしい女性2名に集団で襲いかかり、警官から引きはがされた後も追いすがって暴力的罵倒を浴びせる蛮行までしらっと「小競り合い」と書いているのには驚かされますが、この調子で活動を続けるのであれば、来年は果たして無傷でいられるでしょうか。


なお金友と同様に排外主義を称揚する有門大輔は、追手門学院大学(大阪府茨木市)で起きた、人種差別的嫌がらせが背景にあるとみられるインド人学生自殺事件をめぐり、
「仮に自殺に追い詰めるまでのイジメがあったことが事実であったとしても、外国人が公然と日本国内の学校に通っていられること自体がそもそもの問題の発端である」
「外国人生徒へのイジメが問題だとするなら、全ての外国人の権利を際限なく受け容れろという強要こそは壮大なスケールでの『日本人イジメ』だと言える」
「インド人のようにIT分野などごく一握りの知的階層の他は、圧倒的多数が土人も同然のような暮らしぶりをしてきた連中に日本の文化・習慣に馴染ませるように注意しようが教育しようが土台無理なのである」
「日本で差別され自殺にまで追い込まれたと被害を主張する外国人は、母国へ帰れば身分制度や貧富の差によってそれこそ熾烈な差別や偏見・迫害にさらされるような連中なのだ。そんな連中から外国人に最も優しいとされる日本が被害を訴えられるような謂われはどこにもない」
「外国人は日本で暮らしてこられただけ有り難いと思え!」

などと反吐の出るようなセリフを吐きまくっています(有門大輔ブログ〈不逞者を斥(しりぞ)ける至高の徳〉)。ヘイトスピーチを直ちに規制すべきかどうかは賛否両論あるにせよ、少なくとも差別や憎悪を背景にした犯罪については量刑を加重する等の対応を、そろそろ本気で考える時期に来ているようです。


ちなみに瀬戸弘幸サンが活動からの“ほぼ撤退宣言”を行なったことも話題ですが、これについては気が向いたら改めて触れる予定です。


【追記】(2011年1月1日)
有門がさらに反吐の出るような妄想を展開し始めましたので、記録だけしておきます。


☆緊急! 仕立て上げられた「加害者」を救え
 大阪の『追手門学院大学』で在日インド人の男子学生がイジメを苦に自殺したとされる問題で、先のエントリー(不逞者を斥ける至高の徳)で触れましたが、同エントリーのコメント欄に寄せられたご意見をご紹介します。
 何の理由で自殺したのかも判然としない外国人学生の死について、何らの非もない大学側を「加害者」に仕立て上げることでこれを貶める「謀略」の可能性が否めません。
 つまり学内でイジメがあった…のではなく、左翼・人権派・在日からなる「反日ネットワーク」によって追手門学院大学をイジメる総がかりでのリンチが繰り広げられているのかも知れないのです。
 少子化によって各学校における学生数の確保が困難になっている中、より学生を確保する観点から外国人の受け入れを積極的に推進しようという動きが強まる一方、日本人学生が真っ当に学ぶ場を壊す策略がでっち上げられた、有りもしない「外国人差別」「外国人イジメ」を口実に繰り広げられることが憂慮されるでしょう。