覚えておこう!「職務強要罪」


週刊金曜日「金曜アンテナ」(6月6日付)に「東村山市の市議が同じ市議を提訴」という記事が載っていました。6月2日に開かれた薄井市議名誉毀損裁判の第1回口頭弁論を受けた記事ですね。書き手は前に「東村山市議が運営委員の認可保育園に法令違反か」を書いていた田原大輔さんで、例によって取材拒否されたそうです。


下のほうには、「【DV】DV母子の転居先を教えろと市議が小学校長に強要、逮捕 美作市 5月30日」という短信も。背景がよくわからないのですが、岡山県美作市の市議が、児童の転校を取り消させようと小学校長に圧力をかけて逮捕されたそうです。5月30日付山陽新聞によれば、校長室に押しかけて「今すぐ転校を止めて連れ戻してこい」などと脅迫したほか、「早くせにゃどうなるか分かっとんか」「住所を聞き出せ」などと校長室に6回電話をしたそうです。


同市では今年2月にも別の市議が職務強要容疑で逮捕されています。知人が水道料金を滞納して給水を止められたことに腹を立て、「(受水権があるのに水を送らない職員は)盗っ人しとるんじゃけん。始末せい」などと、副市長に担当職員の懲戒処分を要求したとのこと(日刊スポーツ2月18日配信記事)。


思わずあきれ返ってしまいますが、よく考えると東村山市とも無縁ではないような。そういえば、2月の事件については佐藤市議も3月定例会の一般質問で言及し、「ぜひ関係所管には参考にしていただきたい」と述べていました。参考にしていただくために条文を抜粋しておきましょう。

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刑法95条2項
公務員に、ある処分をさせ、若しくはさせないため、又はその職を辞させるために、暴行又は脅迫を加えた者も、前項と同様〔3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金〕とする。

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条文解釈としては、布野貴史弁護士による解説がわかりやすいと思われます。「暴行」「脅迫」の理解は95条1項の公務執行妨害罪と同様で、「暴行」とは「不法な有形力の行使」を、「脅迫」とは「(恐怖心を起こさせるために)害悪を告知すること」を言うそうです。


りんごっこ保育園の開設認可にストップがかけられそうになったとき、矢野「市議」は予算特別委員会の開催中にも関わらず市庁舎内の政策室に押しかけ、政策室長や保健福祉部長らを相手に、「認可しないつもりか」「(損害賠償金を)2億円払ってやめるか?」「家を抵当に入れておけ」などと大声で迫りました。挙句の果てには、「政策室長や保健福祉部長と矢野が互いに後ろ手にして体をぶつけ合い、押し合う場面もあった」そうです(エアフォース「りんごっこ保育園問題とは何か」第1部第13回より)。


このときに警察に通報しておけばよかったんじゃないかな。


まあ、「手で押せば暴力沙汰になりかねないことを矢野は知っている」(エアフォース)からわざわざ手を後ろに回してぶつかりにいったのでしょうし、このときは弁護士もいっしょにいたそうですから、ぎりぎりで職務強要罪には該当しなかったのかもしれません。ちなみに、後ろ手で押し合うというのは矢野「市議」が学生紛争で〈斗〉っていたときに覚えた技ではないかと思いますが、機動隊とぶつかりあうときならまだしも、行政職を相手にそんな“昔とったきねづか”を発揮しないでほしいものです。


ともあれ、りんごっこ保育園問題が佳境に入ってくるとこのようなシーンが再現されないとも限りませんので、東村山市と東京都の関係職員は刑法95条を大書して壁に貼っておくといいんじゃないでしょうか。