未解決!朝木明代市議転落死事件「懸賞金1千万円」の謎


日付が13日に変わっても「最終更新日」は修正されません。昨日の修正時間がやけに早かったことも考えると、ひょっとしたらお盆でお出かけかもしれませんので、何かあったらあとでフォローすることにして、さっさと記事をアップしておきます。


柳原滋雄さん松沢呉一さんが触れていた、段 勲『未解決凶悪事件ファイル』(小学館文庫)の情報をチェックしてみました。本そのものは見ていませんが、見る必要もなさそうなので、見ないことにします。


ちなみにこの本、正式には『高額懸賞金付き!未解決凶悪事件ファイル』というタイトルなのですね。柳原さんが、「29の事件が紹介されているなかで、そこに明記されている懸賞金に関する『連絡先』が警察署でないのは、この東村山事件だけである。同事件では東村山市民新聞社が連絡先となっている」と書いている意味がわかりました。それにしても、著者の“人柄”を象徴していそうなタイトルです。


アマゾンには次のような内容紹介が掲載されています(リンクは雀が張りました)。

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出版社/著者からの内容紹介
あなたの通報で逮捕へ! 最高1000万円
世田谷一家4人殺人事件」「八王子スーパー女性従業員射殺事件」「京都精華大学マンガ学部生刺殺事件」「英語講師リンゼイさん殺害・死体遺棄事件」、そして信者3人が逃走する「オウム真理教事件」など、未だ解決を見ない凶悪事件の数々。これらの事件には、2007年5月から実施された公費懸賞金制度による公的懸賞金、および遺族などによる私的懸賞金がかけられている。犯人逮捕につながる有力情報に対しては最高100万円〜1000万円! すべての現場を取材。また現役刑事による見立てなどをまとめた事件ファイルで、全国29の事件を追う!

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最高1000万円」というのがずいぶん強調されていますが、私の知るかぎり、これほど高額な懸賞金が設定されているのは東村山・朝木明代市議転落死事件ぐらいです(後述)。
【追記】後掲のJR・池袋構内大学生殺人事件で、遺族が当初200万円の懸賞金をかけ、その後、金額を1000万円に引き上げた例があったようです(防犯ドットコムの記事より)。


Yahoo!ブックスには、どのような事件が取り上げられているのか、もう少し詳しく載っていました(雀の方で若干体裁を整え、リンクを張っておきました)。

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懸賞金付き事件ファイル

情報求む!捜査継続・期限切れ事件ファイル


事件名のつけ方からして、懸賞金付き事件等の情報を集めた「人助け.COM」に多くを負っているようです。ここでは警視庁および各道府県警の関連ページにリンクを張っておきました。他に、警察庁のページでは計21件の懸賞広告事件(以上の事件と重複しているものもあり)が掲載されています。朝木明代市議転落死事件を本書に含めるような著者の“現場取材”などたかが知れていますから、やっぱり本を買う必要はなさそうです。


ところで、上記内容紹介にはその朝木明代市議転落死事件が含まれていません。すべての事件を紹介することはできないでしょうが、最高額の懸賞金が設定されている事件なのですから、載せておいてもよさそうなものです。内容紹介をまとめたのは版元だと思いますが、やはり何かためらうところがあったのでしょうか。


その懸賞金についてですが、紙版「東村山恐怖新聞市民新聞」では、ウェブ上で確認できるかぎり遅くとも152号(2006年10月号)から、次のようなお知らせが最終面に掲載されています。

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★おしらせ
朝木議員殺害事件の犯人逮捕につながる情報を提供して下さった方に、懸賞金1千万円を差し上げます。ご協力を!
 ご連絡は市民新聞へ。
★「潮」「タイムス」判決で、他殺がはっきりした朝木議員殺害事件の次の目標は、犯人逮捕へ情報提供を。

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このうち「月刊タイムス」事件判決については3月16日付の記事で紹介しておきましたが、私の知るかぎりこれは「万引きを苦にした自殺」と考える相当の理由があると認定した判決で、どうして「他殺がはっきりした」という結論になるのかわかりません。


「潮」事件については、「職業差別を許しません!」の〈朝木・矢野両市議関連裁判まとめスレッド〉で次のようにまとめられています。

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●2002.03.28 東京地裁(確定) 『潮』事件
 朝木明代は万引きを苦にして自殺したとする月刊誌『潮』(1995年11月号)の記事に関して、矢野穂積朝木直子潮出版社・東京都等を名誉毀損で提訴。明代が万引きの犯人であること、および、万引きを苦にして自殺したことを信じる相当の理由があるとして、名誉毀損は成立せず矢野・朝木が敗訴。矢野らが控訴せず判決が確定している。
〔引用者注/鸞鳳日記によると、第1審の原告は朝木大統・直子親子と矢野穂積で、この段階で控訴を断念したのは朝木親子のみ。矢野のみ控訴したが2002年11月13日に東京高裁で棄却され、確定した。エアフォースによると、この事件の判決では確かに“自殺と断定するに足りる証拠はない”という趣旨のことが述べられているらしいが、記事執筆者が「自殺」と考えたことについては相当性が認定されているわけであり、ましてや「他殺」と認定されたわけではない。〕

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これもやはり、どうして「他殺がはっきりした」という結論になるのかわかりません。いずれの事件についても関連の判決全文を入手していないので確かなことは言えませんが、それほど決定的な判決であれば矢野・朝木両「市議」はとっくに判決全文をサイトで公開しているでしょうから、そうではなかったと推測しても問題はない。


したがって、前にも誰かがどこかで書いてましたが(文末の追記参照)、「懸賞金1千万円」といきなりぶち上げたのはむしろ、“他殺ではないことがはっきりしている”からこそと考える方が自然でしょう。他殺でなければ犯人など存在せず、したがって「犯人逮捕につながる情報」の提供などありえませんから、懸賞金を払う必要もありません。そもそもこの人たちが素直にこんな金額を払うとも思えない。


確かに、情報提供があってもなんだかんだと難癖をつけて払わないつもりでいることも考えられますが、単純に、“私たちはこれほど真剣に犯人の検挙を願っているのです”というポーズを示したいだけと見るのが妥当だと思います。見せ金、というよりどうせ現金は用意していないでしょうから、空手形ですかね。


創価問題新聞」の〈犯人逮捕へ1000万円懸賞金〉というページではそのための「基金」への協力まで呼びかけられていますから、家屋敷を処分してでも、という覚悟があるわけでもなさそうです。

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懸賞金の目標1000万円達成にご協力を!
 2度の判決で、朝木明代議員が殺害されたことが判明しました。
 犯人逮捕のために、1千万円の懸賞金を用意するための基金へご協力を呼びかけたいと思います。
 詳細は、近々おしらせいたします。また犯人逮捕につながる情報の提供をお願いいたします。(Tel 042-393-2663 朝木)

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早く「詳細」をお知らせしてほしいものですな。こんな呼びかけにホイホイと協力する人はあんまりいないと思いますが、うっかりすると詐欺罪で訴えようという人も出てくるかもしれませんから、本当に「基金」を設けてお金を集めているなら、よくよく注意した方がいいでしょう。


【追記】「職業差別を許しません!」の掲示板でした。2007年7月8日付で次のような投稿があります。

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おかしいですね。「東村山市民新聞」には金がないはずなのですよ。なのに、1千万円。つまり、犯人逮捕なんてあり得ないことをよーく知っているってことです。百万円くらいにしておけばよかったのに。

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また、「東京ジャーナル」2007年10月27日付の記事にも次のように書かれていました。

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 余談だが、この「草の根」の呼びかけに対して、市民の間では次のような揶揄する声も上がっているのだ。
「(自殺なので)いるはずの無い犯人捜しをするのだから、懸賞金はいくら高くしても損はしない訳だよね(笑)」

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