最高裁に言いがかりをつける矢野・朝木両「市議」の恥知らずな態度


ミハルさんに言われるまで忘れていましたが、そういえば今日(15日)は「越境通勤市議」名誉毀損裁判*1の弁論準備手続でしたね。2008年の裁判回顧の前に、2008年12月8日の最高裁決定に関する矢野・朝木両「市議」の言い草を取り上げておきましょう。なお、「東村山市民新聞」の「最終更新日」は依然として1月13日付のままです。


本題に入る前に、クロダイvs千葉裁判の第1回口頭弁論は2月6日(金)から2月16日(月)に変更になったとのこと。場所は東京地裁八王子支部で変わってないみたいですから、移送申立てを理由とするものではないのでしょう。また、クロダイvsウルシマ裁判についての移送申立ては却下されたそうです。


ついでに、来週1月19日(月)には、市議会厚生委員会による市内私立認可保育園の視察が行なわれる予定です。市内には私立認可保育園が8園あり、りんごっこ保育園は当然、優先的視察対象であると思いますが、はたして視察を受け入れるんでしょうか。


さて、矢野・朝木両「市議」が佐藤市議に「越境通勤市議」などと言いがかりをつけてきた件については、2008年12月8日の最高裁決定で決着がつき、両「市議」は「東村山市民新聞」の大幅修正を余儀なくされました。このあたりについては、次の一連の記事で報告済みです。


他方、矢野・朝木両「市議」は次のようにも述べています。


最高裁は自ら審理しなかったため、過去の最高裁判例との関係は不透明のままとなりましたが、市民新聞は今後も問題の追及を続けます」(トップページ
最高裁は過去の最高裁判例を無視、前代未聞の佐藤さんの行動を審理しませんでしたが、市民新聞は今後とも追及を続けます」(〈親創価・佐藤真和市議問題〉のページ)


こんな言い草が通用すると思っているみたいですから、有権者を馬鹿にした、そして司法制度をないがしろにした姿勢はあいかわらずのようです。そうでないとすれば、司法制度についての根本的無知を自ら実証したことになります。


最高裁による今回の決定は、2008年4月30日の東京高裁判決に対して矢野・朝木両「市議」が行なっていた上告を受理しない、というものでした。「上告不受理」というやつです。この上告不受理がどのようなものかについては、凪論〈法律も裁判にも無知な矢野穂積、朝木直子東村山市議会議員の呆れた言動〉が解説してくれていますので、それを参考にしつつコメントします。


民事訴訟法第318条によれば、最高裁が上告を受理できるのは、「原判決に最高裁判所判例・・・と相反する判断がある」場合、あるいはその事件が「その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる」場合です。簡単に言えば、今回の事件については、
(1)4月30日の東京高裁判決では最高裁判所判例と相反する判断は行なわれておらず、
(2)法令解釈に関する重要な事項も含まれていない、
と判断されたということになります。凪論で指摘されているように、上告不受理の決定自体、最高裁としての判断を示したものにほかならないのです。


したがって、矢野・朝木両「市議」らが言うように、最高裁が「自ら審理」しなかったことには何の問題もありません。最高裁への上告を何でもかんでも認め、そのすべてについて最高裁が「自ら審理」しなければならないとなれば最高裁はパンクしてしまいますから、上告をある程度制限するのは当然です。


また、「過去の最高裁判例との関係」が「不透明のまま」になったわけでも、最高裁が「過去の最高裁判例を無視」したわけでもありません。悔し紛れの言いがかりもたいがいにしてはいかがでしょうか。


こんな負け惜しみを言うなら、上告受理申立ての理由を明らかにするとともに、どのような最高裁判例を念頭に置いているのか、具体的に提示するべきでしょう。しかし矢野・朝木両「市議」は、「過去の最高裁判例」とは何を指しているのか、サイトでは一切述べていません。


それもそのはず、「過去の最高裁判例」を問題にするのであれば、凪論でも言及されている議席譲渡事件判決に触れないわけにはいかないからです。佐藤市議は攻撃したいけれども、自分たちが起こした議席譲渡事件について蒸し返されるのは避けたいというところでしょうか。無駄だってば。


今回の裁判に関わる最高裁判例については、2008年3月23日付〈「生活の本拠がない」といえば議席譲渡事件〉と同5月6日付〈矢野・朝木両「市議」の幻覚だった「最高裁判決の壁」〉でいくつか紹介しておきました。


(1)昭和29年10月20日判決公選法上の「住所」とは各人の生活の本拠を指す)
(2)昭和35年3月22日判決公選法上の「住所」とは、「その人の生活にもつとも関係の深い一般的生活、全生活の中心」を指す)
(3)昭和58年12月1日判決(住民票では住所があっても、生活実態がなければ、選挙人名簿に登録される資格はない)
(4)平成9年8月25日判決(議席譲渡事件判決


矢野・朝木両「市議」は、東京都選挙管理委員会に起こした訴えでは、「最高裁判所大法廷昭和29年10月20日判決等」として(1)に言及していたようです(3月23日付の記事参照)。他の判例にも言及していたのか、それともさすがに(4)の議席譲渡事件判決については触れられなくて「」で済ませたのかは、東京都選管の裁決書(PDF)からはわかりません。いずれにせよ、東京都選管は(2)や(4)も踏まえて矢野・朝木両「市議」の訴えを却下しました。


そうであれば、東京都選管の裁決を不服として東京高裁に訴えを起こした段階で、(2)や(4)の判例にも具体的に触れながら反論を行なう必要があります。しかし、「くしくしこねこね」で公開してくれている東京高裁判決を見ると、どうやら新たに(3)の判例を持ち出してきたに過ぎないようです。この判例について東京高裁は、「本件とは事案を異にするものであり、原告らの主張は採用することができない」と一蹴しました(5月6日付の記事参照)。


矢野・朝木両「市議」の言う「過去の最高裁判例」が(3)を指しているなら、それについてはこのようにすでに東京高裁で判断が行なわれており、最高裁もそれを相当と認めたわけです。したがって、過去の最高裁判例は「無視」されていませんし、過去の最高裁判例との「関係」が「不透明のまま」になったりもしていません。


(2)や(4)についても、東京高裁判決でははっきりと言及されてはいませんが、東京都選管はこれらの判例を踏まえて裁決を行ない、東京高裁もその裁決が妥当であると認めたわけですから、やはり過去の最高裁判例は「無視」されていませんし、過去の最高裁判例との「関係」が「不透明のまま」になったりもしていません。


そもそも日本の民事裁判では弁論主義が基本であり、判例を含む証拠を収集・提出する責任は当事者にあります。矢野・朝木両「市議」が(2)や(4)の判例に基づく主張を行なわなかったのであれば、東京高裁がそれにはっきりと言及していないからといって、非難することはできません。


それでは、上告受理申立てでは(2)や(4)の判例も援用したのでしょうか。申立ての理由が明らかにされていないためわかりませんけど、どうせ触れてないんじゃないですかね。触れているとしても、高裁の段階で主張しなかったんなら、もう手遅れですね。


いずれにせよ、矢野・朝木両「市議」が最高裁を非難するのはまったく筋違いな言いがかりであり、仮にも市議会議員の座にあるものとしては非常に恥ずべき態度であるということです。現在進行中の「越境通勤市議」名誉毀損裁判でも、きっと恥ずべき主張をたくさん行なってくれているのでしょう。詳細が明らかになるのが楽しみですね。


〔この記事は1月16日の朝にアップしたものです。〕

*1:「越境通信市議」と書いてしまっていたことをTomatotic-jellyさんに発見され、日誤会運動の発展のために何か強弁しようとも思ったのですが、いいのを思いつかないので修正しました。