矢野穂積・東村山「市議」が児童相談所「攻撃」勢力に合流か?


4月12日付で東村山市民新聞のトップページが更新され(2010/04/11 19:28:10)、〈緊急告知〉として次の囲みが登場しました。


小平児童相談所が人権侵害!
 父子関係の「調整」を相談したら、小平児相が勝手に小学生の長男を「一時保護」し、親権者・監護権者父親に「一時保護」の必要に関する説明もせず、その意思に反して、勝手に昨年9月末から現在まで「一時保護」を強制し、長男を自宅にも帰さないし、親権者・監護権者父親に面会もさせないという人権侵害を継続!親権者・監護権者父親には虐待の事実はない。(離婚し、別居している母親が過去に虐待した事実あり)
 近々、担当者の実名を公表する。他児相にも同様例あり。


平成22年3月定例会の一般質問で、矢野穂積「市議」が次のような形で取り上げていた件ですね。

《1−2》子ども家庭支援センターの事業と子どもの人権、保護者の権利について
1.治療指導の対象となっている児童と家庭再統合について

(1)子ども家庭支援センターが関わって児相の治療指導の対象となっている児童が児相の勝手な判断で、当該児童をかえしてほしいという親権・監護権者の意思に反して4カ月以上も「一時保護」する状態が続き、事実上、児相により監禁され、保護者及び当該児童は権利侵害を受けている。
 治療指導のあり方として、このような親権・監護権者の意思に反した取り扱いが、許されるのか。親権・監護権者の意思に反して当該児童を帰さない事実を、関係所管としてどのようにうけとめ、児相に対してどのような働きかけを行っているか。児童の動きは治療指導の目的である家庭再統合とは逆行しているのではないか。


てっきり、DV防止法犠牲家族支援の会等が「小平児童相談所の拉致監禁虐待から子供を救ってください!」と呼びかけている件(小1女児)の件のことかと思っていましたが、違ったようです。


どのような理由で一時保護されたのか、矢野「市議」がどの程度事実関係を把握しているのか等が不明なので何とも言えませんが、一般論として、児童相談所による一時保護には親権・監護権者の同意は必要ありません。児童相談所運営指針(平成17年改正)では次のように定められています。

3.一時保護の強行性
(1) 一時保護は原則として子どもや保護者の同意を得て行う必要があるが、子どもをそのまま放置することが子どもの福祉を害すると認められる場合には、この限りでない。
(2) 現に一時保護を加えている子どもが無断外出した場合において児童福祉上必要と認められる場合には、その子どもの同意を得なくても再び保護することができる。なお、この場合においても、子どもや保護者の同意を得るよう十分な調整を図る。
(3) 一時保護は、子どもの親権を行う者又は未成年後見人の同意が得られない場合にも行うことができる。これは、一時保護が終局的な援助を行うまでの短期間のものであること等から例外的に認められているものである。なお、この場合においても親権を行う者又は未成年後見人の同意を得るよう十分な調整を図る必要がある。


一時保護の期間にしても、いちおう「一時保護の期間は2ヶ月を超えてはならない」という定めがありますが、但し書きで児童相談所長又は都道府県知事等は、必要があると認めるときは、引き続き一時保護を行うことができる」とも定められています(2.一時保護の期間、援助の基本)。


児童相談所の対応が常に正しいわけではないのは当然ですが、一時保護に対して異議がある場合には行政不服審査によって争うことが可能であり、なぜ矢野「市議」がわざわざ東村山市議会でこの問題を取り上げなければならないのか。また、東京都によって設置され、高度の専門性を備えた機関として市町村を援助する立場にある児童相談所に対し、市の関係所管に対してどのような「働きかけ」を期待しているのか。りんごっこ保育園に対する市所管の働きかけや指導や協力要請には一貫して拒否反応を示してきた矢野「市議」がこんなことを口にするのですから、なおさら疑問です。


近年、児童虐待防止法やDV法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律)を「家族破壊」のための法律と位置づけ、DV被害者シェルターや児童相談所を激しく攻撃する勢力が台頭してきました。こうした勢力の中心となっているのが前掲「DV防止法犠牲家族支援の会」の代表である野牧雅子氏(のまりん)らですが、たとえばこんな調子です。



有門大輔ブログ〈家庭破壊から為政者らの存在意義を問え!〉にも見られるように、矢野「市議」らと交流の深い襲撃する運動関係者もこのような主張に同調してきました。「広島瀬戸内新聞ニュース」でも次のように報告されています。

現役教師ら、児童相談所に押しかけ、業務妨害繰り返す
東京などでは、いわゆる「行動する保守」(西村修平さんら)とも連携している現役教師・野牧雅子さんらが、児童相談所に押しかけ、虐待被害児童を「返せ」などと要求しています。
児童相談所側は、やむを得ず警官を依頼して対抗する場合も出ています。
2009年8月には二度にわたり、十数人で墨田児童相談所に押しかけました。
この墨田児童相談所管内では、全国にも衝撃を与えた岡本海渡くん虐待死事件がありました。
しかし、野牧さんらは、相次ぐ虐待死について「例外中の例外」であり、虐待防止法の廃止を訴える有り様です。
彼女らのやり方は、右翼の中からも反発を受けていますが、一方で自民党古賀俊昭都議らが彼女らを支持しています。
また、彼女らとつながりが深い右翼団体の集会には残念ながら民主党の現職議員も参加しています。
与党の議員が、子どもの人権を守る行政を暴力的につぶそうとする方々に肩入れするのは由々しき事態でもあります。


維新政党・新風静岡本部幹事長の松島弘容疑者が、静岡市児童相談所における器物損壊容疑で逮捕されたのも記憶に新しいところです(凪論〈維新政党・新風静岡本部幹事長が器物損壊で逮捕 〜なぜ維新政党・新風界隈では逮捕者が続発するのか〜〉参照)。



松島容疑者が起こした裁判で代理人を務めているのが、
児童相談所は児童を一人『拉致』することによって40万円の『拉致報奨金』を得ている」
「予算消化のために児童相談所は一定人数の『拉致』を行っている」
児童相談所は)『拉致』した児童を新薬の向精神薬で薬漬けにして洗脳している」
などというトンデモ発言(いずれも趣旨)を繰り返す南出喜久治弁護士です(凪論〈真・保守市民の会主催「『家族と憲法』児童相談所の大問題!」観察記〉および〈真・保守市民の会代表遠藤健太郎氏のますますの迷走 〜シンポジウム「『家族と憲法』児童相談所の大問題!」の大いなる虚構〜〉参照)。同弁護士の主張内容については國體護持塾〈児童相談所による児童拉致事件訴訟とその背景について〉も参照。


矢野「市議」の書きぶりや交流関係からして、今回〈小平児童相談所が人権侵害!〉などと騒ぎ出した背景には、このような勢力の影響がある可能性は否定できません。だとすれば、これはきわめて重大な問題だと考えます。


そういえば那田尚史サンも、妻子が創価学会の手によってDVシェルターに拉致監禁されたなどと騒ぎ、相手方弁護士に嫌がらせをするよう掲示板で呼びかけていましたね(2009年11月1日付12月3日付同8日付および2010年1月30日付の記事など参照〔いずれも末尾〕)。



「近々、担当者の実名を公表する」と脅しをかける矢野「市議」は、私には那田尚史サンと似たようなことをやっているとしか思えないのですが、いかがでしょうか。この問題については引き続き取り上げる予定です。


〔この記事は4月13日の午前中にアップしたものです。〕